追究

2020年01月27日

司書・学芸員課程講演会 「フリー週刊誌編集者が語る『世渡りするのに必要な頭力、書力、言力』」

司書・学芸員課程講演会 「フリー週刊誌編集者が語る『世渡りするのに必要な頭力、書力、言力』」

2019年11月20日(水) 長久手キャンパス ミニシアター

現代社会で必要とされる力とは?
フリー週刊誌編集者の方が、実例をもとに解説しました。

 教職・司書・学芸員教育センターでは司書や学芸員をめざす学生たちのために、さまざまな現場で働く方たちによる講演会を企画しています。11月20日(水)は、筑波大学 非常勤講師・同志社大学大学院 総合政策科学研究科 委託講師 小峯隆生氏をお招きし、長久手キャンパス ミニシアターで講演会を開催しました。フリー週刊誌編集者として40年活躍し続ける小峯氏に、昨今の出版業界とAI2.0時代に生きる人間に必要とされる基礎力について語っていただきました。過去にオールナイトニッポン水曜一部のラジオパーソナリティーも務めていた小峯氏の流暢な語り口とユニークなエピソードの数々に、会場に訪れた多くの学生たちが惹きこまれていました。
 小峯氏はAIが進出する現代社会において、人間が向上すべき能力として「頭力(ずりき)」「書力(しょりき)」「言力(げんりき)」を挙げられ、この3つの力を身につけるためには、どのようなことをすればよいのか、筑波大学と同志社大学大学院で実際におこなっている授業を例に解説されました。

司書・学芸員課程講演会 「フリー週刊誌編集者が語る『世渡りするのに必要な頭力、書力、言力』」

司書・学芸員課程講演会 「フリー週刊誌編集者が語る『世渡りするのに必要な頭力、書力、言力』」

 「頭力」は、分析力や洞察力など自分で考える力のこと。小峯氏は最も有効なのは企画力を身につけることだと語り、学生が自らイベントを企画した事例を紹介されました。小説家の展覧会を企画した学生の例では、出版社や関係者とのやりとりなどすべて自らおこなうことで、試行錯誤を重ねて成長していく過程を説明されました。
 「書力」は相手に企画を売り込むときに必要となる“書く力”。実際にプロの現場に出て体験することが自分の身になることについて語り、航空自衛隊に取材をして書籍の制作に携わる学生、出版社の編集者のもとで小説の編集に携わる学生たちを例に解説されました。書籍の制作や編集にゼロから携わることで、書籍編集者としての所作や考え方を学びながら、“書いて伝える力”を磨いていく様子を語られました。
 「言力」は相手を観察して、その人に合った効果的なアプローチで話して伝える力のことです。ここでは演劇を取り入れた授業を動画で紹介。学生たちがセリフを自分で考え、人前で演じることによって磨かれる言葉の力について説明されました。

司書・学芸員課程講演会 「フリー週刊誌編集者が語る『世渡りするのに必要な頭力、書力、言力』」

司書・学芸員課程講演会 「フリー週刊誌編集者が語る『世渡りするのに必要な頭力、書力、言力』」

 最後にこれまでの自身の経験を振り返り「相手に聞いてもらえるような企画を考える、企画書に書いて送る、そして相手に実際に会えたら、相手をよく観察して的確なアプローチで伝える。頭力、書力、言力というのは僕の人生です。そしてもうひとつ大切なことがあります。それは多読です。本を通して多くの知識を手に入れて、知恵の基盤をつくってください」と学生たちに読書の重要性を語り講演会を締めくられました。
 雑誌の編集に携わる方の実体験などを伺い、社会に出てから必要とされる力について学ぶことができた講演会。学生たちは、小峯氏が挙げた「頭力」「書力」「言力」を今後の活動や授業を通して磨き、社会で役立てていくことでしょう。