追究

2020年01月17日

子ども福祉専攻 授業風景 「絵本の講演会」

子ども福祉専攻 授業風景 「絵本の講演会」

2019年12月7日(土)長久手キャンパス ミニシアター

絵本のプロフェッショナルである2人の先生の講演を通じて、
絵本の持つ力や絵本が子どもに与える影響の大きさを
あらためて実感しました。

 子ども、家庭、地域、社会と向き合い、保育の未来を考える福祉貢献学科の子ども福祉専攻。子どもの保育に欠かせない「絵本」に焦点を当て、授業科目「子どもと言葉」の一環として、12月7日(土)長久手キャンパスで、「絵本の講演会」を開催しました。前半は「福音館書店」の顧問である上田紀人先生による講演、後半は絵本作家・野坂勇作先生による講演という2部構成で進行しました。

子ども福祉専攻 授業風景 「絵本の講演会」

子ども福祉専攻 授業風景 「絵本の講演会」

 第1部の上田紀人先生による講演は「心を育てる絵本の力」と題し、絵本が子どもの心の発育にどれだけ重要なのかを説きました。
 冒頭で上田先生は絵本の定義に触れ「絵本は子どもが読む本ですが、それ以上に『誰かに読んでもらう本』だと思ってください」と力説。幼い子どもに対し、文字が読めないから絵本を読んであげるのではなく、絵本を読むという行為を通して、安心感や自己肯定感を醸成し、それがやがて自立へと促すのだと語りかけます。また、名作と言われる『ぐりとぐら』や『はじめてのおつかい』、『きんぎょがにげた』などを取り上げ、なぜこのような絵本が長年読み続けられているのか、その魅力についても言及。「文字の読めない子どもは『絵を読む』んです」、「絵本の後に感想を聞かないでください」など、上田先生独自の「絵本論」を展開しますが、その理由は聞いて納得できるものばかり。学生はその内容に何度もうなずいていました。最後に先生は保育士をめざす学生たちに向けて、おすすめの本を紹介して終了となりました。

子ども福祉専攻 授業風景 「絵本の講演会」

子ども福祉専攻 授業風景 「絵本の講演会」

 第2部は絵本作家・野坂勇作先生による講演「汗して造る本物の絵本」。野坂先生は1985年に「ゆくまくり」で絵本作家(絵を描く作家)としてデビューした後、数多くの絵本を世に出してきました。その中でも先生の代表作とも言われる「どろだんご」を例に出し、どのような工程を経て絵本がつくられるのかを解説していただきました。
 「どろだんご」の絵本を一通り音読した後、野坂先生は「どろだんごという絵本をつくるからには、まず取材をしなければなりません」と言います。先生は絵本の編集者と一緒にある幼稚園に行き、園児とともにどろだんごづくりを体験。先生はどろだんごづくりの写真を見せながら「絵を描くとき、普通の絵の具では、どろだんごの質感が出ずに悩みました。そこで実際の泥から絵の具をつくりました」と“泥の絵の具”の製作工程も紹介。そのこだわりに学生たちも驚きを隠せない様子でした。その他にも絵コンテや印刷の工程でも細部にわたるこだわりがあることを知ることができました。そして最後に「皆さんが目指す保育士や父母さんは、絵本を届けるアンカーであるとともに、私たちと同じチームなのです」と力強いエールを送っていただきました。
 上田先生、野坂先生の講演を聞き、学生たちはあらためて絵本が持っている力や子どもに与える影響の大きさを実感したことでしょう。