追究

2020年01月29日

2019年度 第5回 文学部講演会「能とは何かー世阿弥を中心にー」

2019年度 第5回 文学部講演会「能とは何かー世阿弥を中心にー」

2019年11月29日(金)長久手キャンパス512教室

能の大成者として称された世阿弥について、
能楽論や後世まで受け継がれてきた理由などを学びました。

 国文学会の学生たちが運営を務める「第5回 文学部講演会」が2019年11月29日に開催されました。お招きしたのは早稲田大学名誉教授の竹本幹夫先生。日本中世文学を専門に研究されており、なかでも「能」に関する研究や多くの著書の出版など、精力的に活動されています。「能とは何か-世阿弥を中心に-」という演題で、能の大成者である世阿弥の能楽論について講演。学生たちは、自分の知識と結びつけながら内容を理解していきました。

2019年度 第5回 文学部講演会「能とは何かー世阿弥を中心にー」

2019年度 第5回 文学部講演会「能とは何かー世阿弥を中心にー」

 はじめに、「能」に馴染みのない学生へ向けて、能についてわかりやすく説明されました。「能というのは特定の芸能をさすものでなく、物語のある芸能を全般に表す語であった。それが世阿弥によって猿楽が盛んになると、その代名詞として能が使用された」と説明。「能は世界最古の継続的に続いている劇でもあり、物語を知れば知るほど、今の能の枠組みを作った世阿弥の素晴らしさを感じることができる」と、能と世阿弥の深いつながりなどを伝えられました。
 次に世阿弥の実績について紹介。「能役者として将軍の愛顧を獲得し、大和猿楽の地位を高め保持したこと。優れた能作の実績により、能の文学史的な位置を確定し、高い評価を得たこと。後進を体系的な稽古思想に基づいて教育し、能楽600年の計を定め、能楽論の執筆はその一環であったこと」と、大きく3つを紹介。「世阿弥は、能が後世に残ることを予想していた。実際に今でも人気があることは間違いない」などと世阿弥の功績を称えました。

2019年度 第5回 文学部講演会「能とは何かー世阿弥を中心にー」

2019年度 第5回 文学部講演会「能とは何かー世阿弥を中心にー」

 そのほか、世阿弥の家系や、その子孫が残した素晴らしい作品などを紹介。世阿弥の能の特色についても歌舞伎の基本様式を交えて説明しました。「具体的に神能型構造と物狂能型構造の2つがある。神能型構造は、中心的な題材である本設が著名な文学作品。それに対して物狂能型構造は中心的な素材は物語の主筋とは無関係の古典的な詩歌の世界で、そうした古典世界のイメージに自らをなぞらえた物狂が登場、歌舞を演じる」と、基本的な説明に併せ、それぞれ作品や例を交えてわかりやすく教えてくださいました。

 竹本先生の講演から、世阿弥が大成させた能の基本をはじめ、能という芸術が歴史の中で、どのように存在し現代まで伝わってきたのかを理解することができた学生たち。能に深く興味を抱いたことに加えて、歴史文学を学ぶ意欲が増進したことでしょう。