追究

2020年03月23日

創造表現学会主催 8mmフィルム上映会

創造表現学会主催 8mmフィルム上映会

2020年1月9日(木)開催 @ミニシアター

 日頃、映画評論とシナリオ創作を学んでいる創作表現専攻の小倉ゼミ。毎年、小倉ゼミの学生が主体となってフィルム上映会を開催しています。これまでは、劇場用の35mmフィルムの映写機上映を学生自らが修得し、上映イベントを開催してきました。今年は趣向を変え、8mmフィルムを体験するという企画です。35mmとの違いは何だろうか? これまでにないフィルムの魅力を再発見してみたい、との思いで開催が実現しました。

創造表現学会主催 8mmフィルム上映会

創造表現学会主催 8mmフィルム上映会

 ゲストに本学非常勤講師でシネマスコーレの副支配人でもある坪井篤史さんとミッドランドシネマの支配人である森裕介さんを迎え、8mmフィルムの魅力や面白さについて語っていただきました。元々、8mmフィルムは家庭用の映写を目的として普及したものです。8mmフィルムは、家庭のお父さんが、家族旅行や子供の行事を撮影したものを自宅で見ることのできる、比較的安価で手軽な映像メディアでした。この手軽さは、自主映画の世界でも重宝され、ゲストの森さんも、学生時代には8mmで映画を撮影していたのだそうです。

創造表現学会主催 8mmフィルム上映会

創造表現学会主催 8mmフィルム上映会

創造表現学会主催 8mmフィルム上映会

創造表現学会主催 8mmフィルム上映会

 坪井さんと森さんの丁丁発止のトークに続いて、実際に8mmフィルムで映画を観てみよう、ということになりました。35mmの映写機とは違い、簡単に持ち運べるサイズの映写機がひょいっとスクリーンの前に置かれます。銘々の座席に座っていた参加者の皆さんも、次々に映写機の周りに集合し、想像以上に細い帯状のフィルムがいとも簡単に映写機にかけられる様子を見守ります。大きなスクリーンのほんの一角に投影された8mmの映像を観るために、皆さんその場で床に座り、まさにお茶の間で映画を見ているかのような雰囲気になりました。映写したのは有名なSF作品の家庭版。本来なら2時間を超える作品が20分ほどに編集されており、実際に映写が始まると、あまりの大胆な編集ぶりに笑い声や歓声があがっていました。

創造表現学会主催 8mmフィルム上映会

創造表現学会主催 8mmフィルム上映会

 上映後、参加した学生たちも自らの手でフィルムを動かしたり、フィルム映画に関する話で盛り上がったり。それぞれに手で触れることのできる映画のあり方に思いを馳せていました。
 デジタル化の波が押し寄せ、この10年のうちに映画館から急速にフィルムが姿を消しています。映写機で上映している映画館はごくわずかとなり、家庭でも、DVDやBlu-rayだけでなく、配信型の映像で映画鑑賞をする人々が増えている昨今です。フィルムにしかなかった味わい、手に触れることの確かさのうえに成り立っていた映像体験を知ることで、上映形態の多様化の中で得られたものと失われたものについて考える貴重な機会となりました。
 創作表現専攻では、知的財産としての言語・表象文化を継承し、発信することの意義を日々学んでいます。日々の学びを体感するためのこうしたイベントを、今後も継続していきます。