追究

2020年04月10日

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

2020年2月18日(火)~23日(日) 名古屋市民ギャラリー栄

1~4年生の優秀作品を学外のギャラリーで展示。
学年を越えて互いの作品から学びを深めました。

 建築・インテリアデザイン専攻では4年間を通してさまざまな設計課題に取り組み、建築やインテリアにおける知識や思考を身につけます。そして、その学びの集大成として4年生は卒業プロジェクトの設計制作または論文に取り組みます。

 今年度も、1月下旬に学内にて卒業プロジェクト展を開催し、4年生の設計制作・論文を学内に展示。その最終審査会では、学生たちが教員に対してポスターセッションやプレゼンテ―ションをおこない、設計意図などを伝えました。結果、設計制作と論文からUAD賞各1点、優秀賞各2点が選出されました。

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

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■最終審査会|論文

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

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■最終審査会|設計製作

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

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建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

■2020優秀作品展

 そして、2月18日(火)~23日(日)にかけては、名古屋市民ギャラリー栄で優秀作品展が開催されました。展示されたのは卒業プロジェクトで評価の高かった設計制作・論文と、1~3年生の実習課題の中から選ばれた優秀作品。住宅や施設の設計の他、1年生のデザイン課題から選出されたリュックやイスなどバラエティ豊かな作品が並びました。

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

 2月21日(金)には建築家の門脇耕三氏をお招きし、ミニレクチャーを開催。さらに、展示作品の中から優秀作品を選出いただきました。ミニレクチャーでは門脇氏が設計した建築や、今年開催予定の「第17回 ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」で自身がキュレーターを務める日本館の展示企画や制作について写真とともに紹介しました。レクチャーの後の審査会では、門脇氏に学生が一組ずつプレゼンテーションをおこないました。学生たちの説明を聞いた上で、門脇氏は設計やデザインについて一歩踏み込んだ質問を投げかけ、「デザインのかっこよさだけではなくて、それ以上の付加価値をつけるといい」「そのスペースからどういうことが期待されるかというところまで考えて」など具体的なアドバイスを送りました。審査終了後、最優秀賞1名と奨励賞2組を発表。選ばれた学生たちには、門脇氏より建築・インテリアデザイン専攻オリジナルの記念品が手渡されました。

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

 1~4年生がともに作品を出展した優秀作品展で、学生たちは互いの作品に影響を受け合ったことでしょう。就職、進学、進級、それぞれの次のステージに向けて、意欲を高める展覧会となりました。

受賞者のコメント

卒業プロジェクト展 設計制作 UAD賞・優秀作品展 最優秀賞

創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻 4年 平野 哲也さん
「meguriaum―ものと人が新たに巡り会う場所―」

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

 博物館と商業施設を一体化させた新しい形の博物館を設計しました。ガラス張りの棚の中に、文化財や商品を陳列。歩いていくうちにタイムスリップしているような感覚が味わえる空間を考えました。また、ものを売る、買う、見るというように「ものと人の関係性の移り変わり」を楽しめる仕掛けも工夫したポイントです。卒業設計はこれまで取り組んだ設計の中でも特に苦労しましたが、こうして完成できたことで自信につながりました。卒業後は住宅設計の方面に進みます。庭の設計などこれからも新たな挑戦を続けていきたいと思います。

卒業プロジェクト展 設計制作 優秀賞

創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻 4年 山田 理絵さん
「はたらく団地―『住むだけ』の時代は終わった―高蔵寺ニュータウンにおける新しいコミュニティの姿―」

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

 愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンを調査し、高齢化が進む団地のリノベーションを提案しました。空き家率の高さと、若い世代の入居が少ないという課題に対して、住宅以外の使い方ができるよう模索。地域の方が交流できる場や住みながらオフィスやショップとして使用できる場を取り入れました。高齢の方に向けて、バリアフリーに配慮した住居や相談所も設置。将来ここに住む人のことを常に考えながら設計しました。卒業後、ハウスメーカーに就職してからもお客様の要望にきめ細かく応えながら、住宅のリフォームに携わっていきたいと考えています。

創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻 4年 橋本 佳穂さん
「大きな屋根の街宿」

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

 愛知県常滑市にある観光スポット「常滑やきもの散歩道」に着目。実地調査では、商店の方にヒアリングをおこなうなかで、宿泊施設が不足しているという課題や、地域住民の居場所がなくなってきているという課題が見えてきました。そこで常滑やきもの散歩道に入る手前の敷地に、地域住民と観光客の交流の拠点となるような宿泊施設を建設するプランを考案。周辺の街並みで特徴的な切妻屋根をモチーフに、屋根下や屋根裏の空間を楽しめるような建築にしました。当初の計画を途中で大きく変更しましたが、満足のいく設計ができて確かな手応えを感じています。

卒業プロジェクト展 論文 UAD賞

創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻 4年 石並 真吏さん
「低放射率表面材が放射暖房時の室内温熱環境に及ぼす影響に関する研究」

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

 熱の吸収率が低い新素材を建築空間に用いたときに、室内の温熱環境と消費電力量にどのような影響をもたらすのか研究しました。素材を開発している研究所の協力のもと、部屋に見立てた模型を使って実験をおこない、一定時間、温度の変化を記録しました。素材を壁に貼った場合、天井に貼った場合など9パターンで検証。その結果、低放射率表面材を建築に用いることで、室内温度上昇の立ち上がりが早く、室内温度がより高くなることがわかりました。卒業後は大学院に進学し、引き続きこの新素材に関する研究を深めていきたいと考えています。

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

卒業プロジェクト展 論文 優秀賞

創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻 4年 大橋 拓実さん
「愛知淑徳大学における建築構造力学教育に関する研究~その④鉄筋コンクリート梁の断面応力~」

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

 建物の安全性において重要となる、鉄筋コンクリート構造の許容応力度設計における断面応力。建築を専攻する学生には必須の専門知識です。その理解度を向上させる教育教材を作成し、「建築構造設計法A」の受講者を対象に、教材を使用する前後の習熟度を調査しました。受講生にわかりやすいよう、教材にアニメーションで動きをつけた立体図や、模型を使った実験映像を取り入るなど工夫を凝らした結果、一定数の学生の理解を深めることができました。研究を通して培った実践力を卒業後も活かし、さまざまなことに挑戦して、継続的に努力することを心がけたいと思います。

創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻 4年 山元 里紗さん
「図書館の照明改修に伴う問題点の把握と照明計画の提案」

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

 愛知淑徳大学の図書館の方から、蛍光灯をLED照明に変えたところ書庫の光環境が悪くなってしまったという話を伺いました。そこでまずはシミュレーションソフトを用いて、書庫内のどこが暗いのかを測定。測定結果をもとに、均等に明るくなるような照明の配置を検討し、特に暗かった机上面には、スポットライトを配置することで、現状よりも消費電力を抑え、全体が明るく感じられる照明計画を立てることができました。図書館の方からも感謝の言葉をいただき、1年間かけて取り組んだ研究成果に達成感を得ています。

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

優秀作品展 奨励賞

創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻 4年 石本 紗代子さん、大竹由佳莉さん
「住まいの衣替え」

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

 人が健康で快適に暮らせる住まいの提案として、自然光や風を十分に取り込める住戸の配置計画や、季節やライフステージの変化に合わせて住み替えができる集合住宅を考えました。優秀作品展 審査会のプレゼンテーションでは、1年間かけて完成させた卒業設計を、短時間で伝えることの難しさを実感。今回、門脇さんへ自分たちが考えてきたことが伝わり、このような賞をいただいたことに大変嬉しく思うとともに、今後への自信にもつながりました。この経験を糧に、就職後もお客様に自分の考えを的確に伝えていきたいと考えています。

創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻 4年 松岡 陸斗さん
「立橋の高園 長良川大橋橋上道駅化計画」

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻 2020優秀作品展

 岐阜県海津市と愛知県愛西市の県境にある長良川大橋を道の駅として再設計。街と街をつなぐ拠点としてだけではなく、近辺にある名古屋港や主要工業地帯を行き交う運転手の休憩所としての橋をめざしました。設計の際は現地調査をおこなったり、海外の橋の歴史やルーツとも比較したり、ブラッシュアップを重ねました。門脇さんには、関東地方の海ほたるのように大胆な設計に挑戦したことを評価いただき、4年間の努力が報われたように感じます。大学で得た建築・空間設計の視点、知識、経験を卒業後も役立てていきたいと思います。