追究

2021年03月09日

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 卒業プロジェクト展2021 最終審査会

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 卒業プロジェクト展2021 最終審査会

卒業プロジェクト展2021:2021年1月23日(土)~28日(木)
8号棟5階 製図室1・2、ミニギャラリー、プレゼンテーションルーム

4年間の集大成として、自らの興味や課題意識をテーマに
論文執筆や建築計画、作品づくりに励みました。

 創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻は、環境、歴史、文化、機能、経済性やエネルギーなどの多様な条件を読み解き、現代社会のさまざまな課題に取り組むとともに、将来にわたる長いタイムスパンで都市や人々の生活を描く構想力を持ち、広く社会に貢献しうる専門的知識と優れた実践的能力を身につけるための専攻です。4年間を通じて、理論の修得はもちろん、多くの建築設計課題に取り組み、空間づくりやまちづくりなどに必要な知識と技術を磨きます。その学びの集大成となるのが4年次におこなわれる「卒業プロジェクト」。建築やインテリア、都市デザインなどをテーマに、学生一人ひとりが課題を設定し、論文執筆や設計、制作などに取り組みます。

 2021年1月23日(土)~28日(木)には、学生が創り上げた模型や作品、論文を展示・公開する「卒業プロジェクト展2021」を開催。「卒業論文」18編、「卒業設計・卒業制作」44作品が展示され、4年間の学びの成果を発信しました。
 また、1月27日(水)には「論文最終審査会」、1月28日(木)には「設計制作最終審査会」がおこなわれ、それぞれ優秀作品を選出しました。今回はその「論文最終審査会」と「設計制作最終審査会」をそれぞれレポート。熱気あふれた審査会の様子をお伝えします。

1月27日(水) 論文最終審査会

 当日は、論文を執筆した17名の学生が、研究内容をまとめた資料をモニターに映し出しながら約5分間でプレゼンテーション。コンクリート躯体と補強用増設部品に着目した構造系の研究をはじめ、まちづくり、音声メディア、日本屈指のテーマパーク、世界的に人気のファンタジー映画など、多様な題材の研究が発表され、会場は大いに盛り上がりました。学生たちはアンケート調査やフィールドワークの結果も交えながら研究成果を発表し、審査をする先生方に自らの研究をアピールしていきました。

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 卒業プロジェクト展2021 最終審査会

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 卒業プロジェクト展2021 最終審査会

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 卒業プロジェクト展2021 最終審査会

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 卒業プロジェクト展2021 最終審査会

 発表後は、先生方からは「言葉の定義を教えてください」「現地の人はどのような意見を持っていましたか?」「別の地域と比較したとき、どのような特徴がわかりましたか?」など、多方向から研究を掘り下げるための質問が投げかけられ、学生たちは、その一つひとつに自分自身の考えや研究で用いたデータを示し、真摯に答えていきました。
 全員の発表が終了後、先生方の厳正なる審査の結果、卒業制作最優秀賞(UAD賞)に長谷川朋香さん、卒業制作優秀賞に佐々昌彦さん、瀧本真衣さんが選ばれました。この3編の論文に加え、高い評価を受けた数点の論文が、2月23日(火)~2月28日(日)に名古屋市民ギャラリー栄でおこなわれる「優秀作品展2021」への出展を決めました。
 審査会の最後には、「論文執筆で行った“答えのない課題に自分なりの答えを見つけること”は社会人になっても求められること。社会に出ても、卒業プロジェクトの経験を忘れずにいてください」「卒業プロジェクトを通じて同じテーマを半年、1年と時間をかけて向き合えたことは財産。これからの人生の糧にしてください」などと先生方が一言ずつコメント。これから社会に巣立つ学生たちに力強いエールをおくり、審査会を締めくくりました。

1月28日(木) 設計制作最終審査会

 設計制作最終審査会は、二部構成で実施。一次審査は、全44作品を対象とした「ポスターセッション」で、審査する先生方が会場に並べられた作品とパネルを順次、見て回りながら、それぞれの作品について作者である学生たちと対話しながら、審査を進めていきました。

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 卒業プロジェクト展2021 最終審査会

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 卒業プロジェクト展2021 最終審査会

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 卒業プロジェクト展2021 最終審査会

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 卒業プロジェクト展2021 最終審査会

 会場に並べられた作品は、コワーキングスペースや宿泊施設、DIY工房、漁師と観光客が集う交流施設などの建築物はもちろん、照明やフレキシブルに形を変える棚、オフィスデスク、椅子などインテリアデザインに関わる作品、色、におい、表記など表現方法そのものを題材にした作品まで、多岐にわたる力作がそろいました。審査をした先生方は「この色合いにしたのはどうしてですか?」「屋根はどうなっているのですか?」と、次々と質問。作品への理解を深めながら、「もっと光を取り入れると建物の雰囲気が軽やかになって良いと思いました」「どこを問題点として、どのように解決したのかという流れを明確に示すとわかりやすいです」とアドバイスもおくり、学生たちの作品を丁寧に審査していきました。

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 卒業プロジェクト展2021 最終審査会

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 卒業プロジェクト展2021 最終審査会

 続いておこなわれた二次審査は、一次審査を勝ち抜いた7名の学生によるプレゼンテーションを実施。学生たちは自らの作品について、コンセプトや敷地情報、その土地が持つ課題、設計計画のポイントなどを解説し、作品をアピールしていきました。発表後は、「この場所に対して、このボリュームは適切だろうか」「コンセプトを形にしようとしたとき、最終的に表現するものとして、これが正しかったのだろうか」といった意見が先生方から寄せられ、学生たちはその問いかけに対し、自分の考えを回答。学生たちは先生方とのやり取りを通じて多くの気づきと学びを得ることができました。
 審査の結果、卒業制作最優秀賞(UAD賞)に選ばれたのは、加茂千夏さん。人の行動をその行動にかかる時間の長い・短いで分類するという着眼点や、「人の行動を時間で分類する」というコンセプトを美しく建築計画に落とし込んだ点が評価され、トップの座を勝ち取りました。さらに、卒業制作優秀賞には柴山葵さん、梶田麻衣さんが選出。これらの3作品をはじめ、高い評価を得た複数の作品が「優秀作品展2021」への出展を決めました。
 審査会の終わりには、先生方が一言ずつ所感を述べ、最後に専攻主任の清水裕二先生が「審査会を通じて、“果たして建築とは何か”という議論に発展したのは、とてもおもしろかったと思います。そのうえで、建築の存在やあり方そのものに対して、若い世代の学生たちが“もっと建築に対して自由であってもいい”と、新しい視点を持っていることが作品からうかがえて、それは、とても楽しみなことだと思えました」とコメント。学生たちの取り組みを称え、将来の糧にしてほしいとメッセージし、卒業制作・卒業設計の最終審査会は無事、大団円を迎えました。