追究

2021年04月13日

ビジネス学科 第9回 インナーゼミナール大会

ビジネス学科 第9回 インナーゼミナール大会

2021年3月3日(水) 星が丘キャンパス4号館2階、3階

学部での専門分野の違いを超えて共に学び合う、
討論会が開催されました。

 2021年3月3日(水)、ビジネス学科の2年生が参加するインナーゼミナール大会が開催されました。この大会は、マーケティングや経営戦略、アカウンティング、ファイナンスをそれぞれ専門とするゼミナールに所属する学生が同じ課題に取り組み、意見交換をすることで、社会や企業を理解する視点を多角化させ、自らの視野を広げることを目的とした討論会です。学生たちは7つの討論会にわかれ、討論会ごとに与えられた2つの企業について分析し、どちらが優良企業であるかを事前に検討。大会当日は、ゼミごとに自らの調査結果と結論をプレゼンテーションした後、司会進行を務めた議長団(各ゼミの3年生が担当)が定めた2つの論点に沿って、討論しました。
 マーケティングを専攻する学生たちは消費者行動などをもとに考察する一方、アカウンティングを専攻する学生たちは財務分析などをもとに考察するなど、専門分野の違いによって、両者のアプローチは全く異なります。学生たちは積極的に質問することで、互いの専門知識を補いながら相手の主張を正しく理解しようと努め、そのうえで、両者の視点に則った新たな意見を提示し、専門分野の違いを超えて討論を深めていきました。
 白熱した討論が繰り返され、そのやりとりを通じて、たくさんの気づきが得られた今回のインナーゼミナール大会。閉会にあたり、各討論会の議長団を務めた3年生が討論会を統括し、さらに各討論会を担当した教授陣が討論会の様子を講評しました。意見がスムーズにまとまった討論会もあれば、最後まで一つの意見にはまとまらなかった討論会も。「“答えが一つにまとまらなかった”ということも、一つの結論の形です」と担当教員から伝えられ、「多様性を受け入れたうえで、意見を深めていくことの大切さ」が語られました。

ビジネス学科 第9回 インナーゼミナール大会

ビジネス学科 第9回 インナーゼミナール大会

 最後には、インナーゼミナールの発起人の一人でもある大塚 英揮先生から閉会挨拶が述べられ、「この一年は、コロナウイルス流行のためにデジタル化が加速した一年で、そのことを背景に“人々は多様性を受け入れ、寛容さを持ち合わせられるようになった”と思われがちですが、実際は“0か1か”、“善か悪か”とエキセントリックにフォーカスしてしまうことをやめられないのが私たちです。一方、このインナーゼミナール大会では“違いを共に学ぶ”ことを狙いとしています。“0か1か”の世界には、成長はありません。先に述べたように“違いを受け入れ、学ぶこと”は決して簡単なことではありませんが、寛容さを得た先に成長があるのです。今日という日が、参加者全員にとっての成長の場であってほしいと願ってやみません」と力強く学生たちにメッセージしました。 今年で9回目を迎えたインナーゼミナール大会。来年には節目の10回を迎えます。これまでのように、学生たちに「違いを認め合い、互いに高め合う機会」を提供し続ける場として、これからも継承していきたいと思います。

【分科会1】テレビ朝日ホールディングス vs 日本テレビホールディングス
参加チーム:浅井ゼミ、森ゼミ、三矢ゼミ
担当教員/議長団:新井先生/新井ゼミ

ビジネス学科 第9回 インナーゼミナール大会

ビジネス学科 第9回 インナーゼミナール大会

 前半のプレゼンテーションでは、すべてのゼミが「日本テレビホールディングス」の方が優勢であると結論付けました。その結果を踏まえ、「コロナ禍において番組制作の制限、スポンサー離れという問題があるなか、どう収益を伸ばしていくか」という点と、「メディアの多様化で若者のテレビ離れが進む中、テレビ局としてどのような対策をしていくか」という点について、討論。その結果、ネット配信において幅の広いジャンルのコンテンツを持つ日本テレビホールディングスがやはり、未来を勝ち抜く企業なのではないかと、意見がまとまりました。

【分科会2】ナカバヤシ vs キングジム
参加チーム:三矢ゼミ、新井ゼミ、傅ゼミ、前田ゼミ
担当教員/議長団:大塚先生/大塚ゼミ

ビジネス学科 第9回 インナーゼミナール大会

ビジネス学科 第9回 インナーゼミナール大会

 2つの企業は共に文房具の会社ですが、その発展の仕方に両社の特徴が表れています。ナカバヤシ(株)はサービス事業も手掛けるようになり、一方、(株)キングジムはアイデア商品を打ち出すことで、事業を発展させました。マーケティングを専攻する学生とアカウンティング・ファイナンスを専攻する学生で意見が分かれましたが、「過去」「現在」「未来」のすべてを考察して、最終的にはナカバヤシ(株)の方が、優良企業であると判断。ペーパーレス化の促進や高齢化社会の到来などの外部環境の変化に強いところが、ナカバヤシ(株)が評価された点でした。

【分科会3】青山商事 vs AOKIホールディングス
参加チーム:浅井ゼミ、前田ゼミ、傅ゼミ
担当教員/議長団:森先生/森ゼミ

ビジネス学科 第9回 インナーゼミナール大会

ビジネス学科 第9回 インナーゼミナール大会

 (株)AOKIホールディングスは、多事業化に成功していることで知られていますが、そのどれもがコロナウイルスの流行により打撃を受けた業界ばかり。そんな状況から打開するための一手を探るために、同じくスーツ事業を主軸としている青山商事(株)と比較することでその方法を模索していきました。そのうえで両社を比べたとき、将来的には(株)AOKIホールディングスが業績を伸ばすだろうと結論付けた分科会3のチーム。それでは、衰退するスーツ事業をどのように活性化するべきかという議題に発展し、提案力や発想力を活かして議論を深めていきました。

【分科会4】中部電力 vs 東邦ガス
参加チーム:浅井ゼミ、森ゼミ、新井ゼミ
担当教員/議長団:前田先生/前田ゼミ

ビジネス学科 第9回 インナーゼミナール大会

ビジネス学科 第9回 インナーゼミナール大会

 2016年ごろから加速する「電力の自由化」に伴い、経営環境が大きく変わった2つの企業を比較。各班は、経営環境の変化にもしっかりと目を向け、さらに、SDGsなど、未来を語るうえで欠かせないテーマにも触れながら、議論を深めることができました。そのうえで、発信力は中部電力(株)の方が高く、安全性は東邦ガス(株)の方が高いと判断。担当教員である前田先生の、「トヨタ自動車が将来、自動車の会社ではなくなるかもしれない」というコメントも参考にしながら、グローバル化が進む社会では、多角化が欠かせないポイントであると結論付けました。

【分科会5】ヤクルト本社 vs 明治ホールディングス
参加チーム:新井ゼミ、傅ゼミ、大塚ゼミ、前田ゼミ
担当教員/議長団:浅井先生/浅井ゼミ

ビジネス学科 第9回 インナーゼミナール大会

ビジネス学科 第9回 インナーゼミナール大会

 新井ゼミは独自の評価軸、傅ゼミはSWOT分析、大塚ゼミは日経新聞などの記事、前田ゼミは有価証券報告書といった具合に、それぞれのゼミナールが異なる資料を基に、分析を行った分科会5。コロナ禍における対応について優れている企業はどちらかという論点に対しては、(株)ヤクルト本社は雇用の要望やヤクルトレディの負担を減らす対策を取ったのに対し、明治ホールディングス(株)はワクチンの開発や冷凍食品事業に力を入れるなど、全く別のアプローチをしていることが示され、2つの企業が共に柔軟な対応ができていると評価しました。

【分科会6】コロワイド vs すかいらーくホールディングス
参加チーム:大塚ゼミ、森ゼミ、三矢ゼミ
担当教員/議長団:傅先生

ビジネス学科 第9回 インナーゼミナール大会

ビジネス学科 第9回 インナーゼミナール大会

 学生にとっても身近な外食業界の2社を比較。コロナウイルスの流行の影響を色濃く受ける中、それに対する策として、(株)コロワイドはリモートワークを応援するプランをつくったり、ロボットを導入して人件費を抑えたり、近未来的なアプローチ。一方、すかいらーくホールディングスは、今ある財産を活かした「デリバリー強化」など、2つの企業の性格がよく見える結果に。討論の際には「同じグループの他ブランドの料理も1つのレストランで食べられるようになればおもしろいのでは」といったユニークなアイデアも飛び出し、活発な討論がなされました。

【分科会7】キーエンス vs M&Aキャピタルパートナーズ
参加チーム:浅井ゼミ、森ゼミ、大塚ゼミ、傅ゼミ
担当教員/議長団:三矢先生/三矢ゼミ

ビジネス学科 第9回 インナーゼミナール大会

ビジネス学科 第9回 インナーゼミナール大会

 一見全く関連性のない2つの企業ですが、「給与が高い」という同じ特徴を持っています。従業員に高い給与が払えるのは、なぜか。その理由に迫ってほしいと、この2社の比較となりました。たとえば(株)キーエンスは、粗利益が8割にも達します。それは、SWOT分析だけでは、説明がつかない圧倒的な数字。討論の最中に送られた「分析のその先にあるビジネスモデルの在り方に気づいてほしい」という三矢先生のアドバイスを受け、(株)キーエンスとM&Aキャピタルパートナーズが高い利益を出し続けている理由について、参加者全員でアイデアを出し合いました。