追究
2021年10月14日
高校生のためのスタートアップ心理学講座
2021年度 創造表現学部 展示会・講演会・発表会 心理学部
2021年8月24日(火) 長久手キャンパス741教室
心理学部の教員が講師を務め、高校生向けの講座動画を制作。
撮影には創造表現学部の学生が協力し、動画を完成させました。
本学の心理学部では毎年、高校生を対象に心理学の学びの魅力を発信すべく、本学の専任教員が講義をおこなう「高校生のためのスタートアップ心理学講座」を開催しています。しかし、今年度は新型コロナウイルス感染拡大の状況を鑑み、対面での開催は中止となりました。それでも、なんとか参加希望の高校生の期待に応えたいと動画での配信を検討し、心理学部の教員が本学の情報教育センターのソシオメディアラボに相談。本学は「メディアや情報発信の理論や表現方法」を学ぶ創造表現学科 メディアプロデュース専攻を有しており、本学の「多彩な学びを展開している」という強みを活かして、互いの得意分野を持ち寄り、動画作成ができないかと考えました。
その要望にこたえる形で、創造表現学科 メディアプロデュース専攻の学生2名が撮影と編集を担当する運びとなりました。今回のレポートでは、心理学講座の内容とメディアプロデュース専攻の学生の声をお届けします。
1.心理学とは/斎藤和志先生
講座の導入として、斎藤和志先生が「心理学とは何か」というテーマで、心理学の全体像を解説。「大学で学ぶ心理学のイメージを掴んでほしい」と語りかけた後、広辞苑に書かれた「心理学」の解説を用いながら、「人間の行動の法則性を科学的に探る学問」と、暫定的に定義しました。その後、心理学の研究の流れを解説しながら、仮説の設定や仮説の検証には、テクニックや知識を知る必要があり、さらにはトレーニングも必要であると紹介。これらのテクニックや知識を身につけていくのが大学の心理学部の学びであるとまとめ、これから始まる講座への期待を高めていきました。
2.臨床心理学/清瀧裕子先生
まず清瀧先生は、「臨床心理学は実践に基づく学問である」と解説。心理的な苦しみや不安を感じ、不適応に陥っている人々のそれぞれの事象に対して、どう援助すればよいのかを検討し、実践していく学問であると伝えました。具体的な例として、スクールカウンセラーを挙げながら、仕事の幅広さを紹介。授業を見学して子どもの様子を把握したり、職員の会議が他人事のようになっていないかを検討したり、さまざまなアプローチがあると語りました。そして、学校全体の心の健康の支援が求められている今、多様な専門職と協力しあうことが大切であると、講義を締めくくりました。
3.発達心理学/蒲谷槙介先生
発達心理学とは、胎児から老年までの人間の成長や変化に着目し、心の発達に関するなぞを解き明かそうとする学問領域です。蒲谷先生は、子どもを対象にした実験の様子をうつしたビデオを上映しながら、子どもがいつから相手の様子をうかがうようになるのか、またいつから相手が困っていることに気づき助けるようになるのかを解説しました。「わたしたちは自分自身の成長発達に無自覚なことが多く、その過程を生涯にわたって、科学的に検証する必要があります」と蒲谷先生。子育てや子どもの教育にも欠かせない発達心理学の可能性と奥深さを伝えました。
4.生理・認知心理学/丹藤克也先生
生理・認知心理学は、人々の情報処理の観点から心を追究する学問であると紹介した丹藤先生。前半は「覚える・思い出す」がテーマで、「駐車禁止の標識で正しいのはどちらか」という2択クイズを提示しました。このクイズの正答率は、なんと20%。人の記憶はいかに曖昧であるかを伝えました。後半は「判断」がテーマ。同じ内容であっても、表現が違うことで意思決定が異なってしまう「人間の特性」を紹介し、「生理・認知心理学を学ぶと、心の働きのクセや仕組みがわかり、より良い社会づくりや良好な人間関係を築くためのヒントになる」とまとめました。
5.社会心理学/平島太郎先生
まず、動画を用いた簡単な実験を通じて、多くの人は「単なる記号でも感情や性格などを付与してしまう」ということを示した平島先生。そこから「人は他者の心を勝手に感じ取ってしまう生き物である」と伝え、親切心を感じ取ったことが原因で味への評価が変わってしまう心理実験などを例に挙げ、人はいかに「他者の心を読み合うことで生じた社会的現実の中で生きているか」を解説しました。そして、人と社会は、互いにどんな影響を与え合っているかを心理学的に学ぶことで、正しい自己理解と他者理解につながると、社会心理学の奥深さを体験的に伝えていきました。
《撮影・編集を担当した学生コメント》
創造表現学部 創造表現学科 メディアプロデュース専攻 3年 大西 創一朗さん(左)
創造表現学部 創造表現学科 メディアプロデュース専攻 3年 石原 光さん(右)
私たちが所属する創造表現学部 創造表現学科 メディアプロデュース専攻は、さまざまなメディア表現について、広く自由に学べることが魅力の一つです。3年次から始まるゼミでは、個人の興味や関心に合わせて表現方法を選び、写真や映像など一つのスキルを深く学ぶことができるのですが、1・2年次の間は、私たちも多種多様な授業を履修しました。
施設が充実していることも愛知淑徳大学の良さで、私はその施設で学生スタッフとして利用者をサポートする仕事に従事し、自分自身の知識を深める機会も得ています(石原さん)。
私は写真を専門とするゼミに所属しているため、ふだんは写真を撮ることのほうが多いのですが、授業で映像を撮影したこともありますし、撮影日当日は不安なく挑むことができました(大西さん)。
専攻で学んでいる専門性を活かし、他学部の役に立てたことはとても嬉しく、日頃の勉強の自信につながりそうです。