追究

2021年12月23日

令和3年度 心理学部心理学会講演会「嘘を見破ることができる?」

令和3年度 心理学部心理学会講演会「嘘を見破ることができる?」

2021年11月24日(水) 長久手キャンパス 511教室

嘘つきに対するステレオタイプや嘘つきの特徴を知ることで、
人間の奥深さに気づく、講演会が開催されました。

 2021年11月24日(水)、愛知淑徳大学の長久手キャンパスで、心理学部心理学会が主催する学術講演会「嘘を見破ることができる?」を開催しました。ゲストスピーカーとしてお招きしたのは、愛知学院大学 総合政策学部の大幡直也先生。大幡先生は、「隠す・伝えない・偽る」といった人間の行動に興味を持ち、心理学の視点から研究を進めてきた社会心理学領域の研究者です。講演会では、真実を意図的に操作する行為の総称である「欺瞞(ぎまん)」をテーマに、「嘘つきに対するステレオタイプとは何か」「そのステレオタイプは、本当に嘘つきの特徴なのか」という2点について、多くの心理実験を紹介しながら紐解きました。

令和3年度 心理学部心理学会講演会「嘘を見破ることができる?」

令和3年度 心理学部心理学会講演会「嘘を見破ることができる?」

 まず、大幡先生は「嘘の定義」について解説され、58か国の人を対象とした「研究対象者が思う“嘘つきの特徴”」を調査した研究をピックアップ。その研究結果から、「人種や文化、生活環境が異なっても、嘘つきに対して似たようなイメージを持っていることが明らかになった」と解説し、嘘つきに対するステレオタイプを一つひとつ取り上げ、紹介されました。
 その後、「嘘つきに対するステレオタイプを頼りに、嘘は見破ることができるのか」という話題に。調査結果から、「偶然よりほんの少し高い確率でしか、嘘は見破れないこと」が明らかになり、さらに「嘘を見破るトレーニング」をしても、結果は変わらないことから、「嘘を見破ることは難しい」と結論付けました。ここで思い浮かぶのが、「それでは果たして、嘘つきに抱くステレオタイプは、本当に嘘つきの特徴と一致するのか」という疑問。このことについて調べた研究結果を取り上げ、「嘘つきに対するステレオタイプと実際の特徴はほとんど一致しないこと」、さらに「ステレオタイプとは反対の反応が、嘘つきの特徴であることもある」など、ステレオタイプと事実の間には多少の乖離があると、大幡先生は話を進めていきました。このことから「事実とは異なるステレオタイプが原因で、嘘をついていないのに嘘をついていると誤解されることもある」とも語られました。

令和3年度 心理学部心理学会講演会「嘘を見破ることができる?」

令和3年度 心理学部心理学会講演会「嘘を見破ることができる?」

 講演会全体を通じて、「嘘を見破ることは難しい」と伝えた大幡先生。講演会の最後には、「嘘を見破るためには、バイアスに惑わされないことが大事といえるでしょう。今日の講演会を通じて人の嘘や真意を簡単に見破ることができないほど、人間は奥深いものであると感じてもらえれば嬉しいです」と語り、その人間の奥深さに向き合う心理学の面白さを伝えられました。
 一つのテーマについて、深く知る絶好の機会となった今回の心理学部学会講演会。久々の対面での講演会となり、その素晴らしい学修の機会を再認識するきっかけにもなりました。本学では、社会情勢を鑑みながらも、学生たちに絶えず最高の学びを届けられるよう、模索し、提供し続けていきます。