追究

2022年03月15日

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

2022年1月20日(木) 長久手キャンパス 8号棟5階 プレゼンテーションルームなど

 本学の創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻では、建築・インテリアデザインの基礎から応用までの学びを通して、歴史・文化・環境・経済といった、さまざまな背景も学んでいきます。工学系大学と同等のカリキュラムによって、一級建築士の資格取得をめざすことができる他、建築・インテリアデザインという枠組みを通して、広く社会を捉える視点も養います。設計プランを立案する機会が多く用意されているところも特徴の一つで、さらに第一線で活躍する建築家をお招きし、本格的な指導が受けられることも魅力です。学生たちが着実に力を伸ばせるよう、段階的なカリキュラムを用意しています。3年生を対象に開講される「空間設計Ⅳ」は、卒業制作を前に、多くの3年生が履修して自らの力を高めています。学生たちは授業内で「自分の通った小学校の現代化プロジェクト」と「都心の文化交流施設の設計」の2つの課題にチャレンジし、これまでよりも大規模な設計課題に対して、自らのアイデアを形にしていきました。
 2022年1月20日(木)には、特別講師として建築家の古澤大輔氏をお招きし、2つの設計課題を評価する「最終講評会」を実施しました。講評会に先立ち、古澤氏が自らのご経験を語る講演会も実施し、古澤氏から設計に対する考え方について学びました。古澤氏はこれまで手掛けた建築を紹介しながら「物怖じしなくていい、だから挑戦してみよう」と学生たちに勇気を奮い立たせる言葉を贈りました。

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

 そして、いよいよ、講評会へ。講評会は、1次審査と2次審査の2部構成になっており、1次審査では、すべての学生を対象に「ポスターセッション」を実施しました。審査を務める先生方が、ずらりと並べられたパネルと模型を審査して回り、学生たちは先生方から投げかけられた質問に、適宜答えていきました。

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

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創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

 1次審査を経て、10作品が2次審査へ進み、選ばれた学生たちは、プレゼンテーション3分・質疑応答6分の持ち時間の中で、自らのアイデアを存分にアピールしました。企画意図や建築物を使ってどのような人々の行動を誘発させようとしているのかなどを語り、空間的な魅力やプログラムの緻密さを訴えました。質疑応答では、「実際に建てようとしたときは、どのような構造で実現しようと考えているのか」「柱の配置には何かしらのルールや意図があるのか」など、先生方は次々と質問を投げかけ、鋭い指摘にも学生たちは自らの意見を伝え、先生方のアドバイスを引き出すなど、有意義なディスカッションの時間となっていました。特別講師の古澤氏も、「設計から作者の人間性を感じるので、おもしろい提案だと感じます」「この形にすることでどのような行為を誘発しようとしたのでしょうか」と学生たちに問いかけ、さらなるブラシュアップのヒントを与えてくださいました。

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

 そして厳正な協議の結果、5つの優秀作品と古澤氏が魅力に感じた作品に贈られる「古澤賞」が選出されました。授業内の制作発表という閉鎖的なものではなく、第一線で活躍する建築家から直接フィードバックをいただける貴重な機会となり、多くの学びを得られるきっかけとなった今回の空間設計Ⅳの最終講評会。建築・インテリアデザイン専攻では、これからも社会とつながりながら本格的な学びが得られる機会を学生たちに提供し、質の高い学修を一人ひとりに授けていきます。

2次審査対象作品
◎第一課題:自身が通った小学校の現代化プロジェクト

「六年、川と共に」 Putu Kalingga Ratedja Kastawanさん

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

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 バリ島の小学校の建替えを計画しました。小学校建設に際し、川を移動させたという歴史を背景に、再度小学校の敷地内に川を創り、その川と風の流れによって、校舎が自然と冷やされる空間を提案しました。

「木のえだ小学校」 林 万結香さん

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

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 木の枝をコンセプトに、校舎を無数の平屋で構成しました。教室が足りなくなっているという問題を解消しつつ、自然と児童が触れ合える空間を創造し、共有部と教室部の割合が50:50であることも評価されました。

「to」 坂野 未奈さん

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

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 「つながりを持たせる校舎」をコンセプトとし、自然・地域・友達など、さまざまな要素とのつながりを曲線を活用した設計プランで実現しました。校舎にはショップなども誘致し、地域に開かれた小学校にしたいという思いも込めました。

2次審査対象作品
◎第二課題:都心の文化交流施設(図書館+α)

「□+」伊藤 紗季さん、下野 世佳さん、舟橋 茉那さん

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 各階層を無数の柱がつらぬく不思議な空間の図書館を設計しました。本棚以外はあえて何も置かず、クッション・机・椅子などのすべてのインテリアをレンタル制にすることで、自分好みにカスタマイズできる図書館を提案しました。

「出会う」 勝 彩湖さん、佐藤 由紀乃さん、宮島 麻綺さん

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

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 保育の棟・暮らしの棟・教育の棟・創作の棟・学問の棟を敷地内に配置し、訪れた人々が自由に散策できる「分棟型の図書館」を提案しました。動線の検討を始めとする「人の動き」にも提案が及んだ力作となりました。

「HUMAN THEQUE」小早川 佳矢さん、齋藤 唯奈さん、高堂 絹子さん

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

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 広場の中央に人を集め、集まった人自身が、情報の発信者となる図書館を提案しました。ガラスの自由曲面を用いた象徴的な屋根が目を引き、ガラスの密度の違いにより空間を3種類に切り分けていきたいと考案しました。

「ふれる図書館」 石本 瑞姫さん

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

 本に触れる機会を増やしたいと、敷地内に本棚を無数に配置し、複雑な形状をした本棚を設置することで、人々の動線を制限しない「どこからでもアクセスできる図書館」を提案しました。講評会では屋根の有無について、議論が白熱しました。

「いつの間にか図書館」 衛本 理玖さん、坂野 未奈さん、東野 壮一郎さん

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

 エントランスの存在をぼやかし、いつの間にか図書館にたどり着いていたという不思議な体験ができる設計プランを提案しました。散歩道と図書館を融合することで、知識のインプットとアウトプットの共存をめざしました。

「柱から導かれる都市の森」 中西 亮貴さん、林 幸輝さん、藪井 瑠香さん
◎古澤賞受賞作品

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

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 三洋堂書店を指定管理者として、本・読書の可能性を拡大させようとしたプランを提案しました。空間的にも事務動線をあえて見せたり、さまざまなシチュエーションを利用者が自分で選択できたりするなど、多くの工夫をこらしました。

「塔台、本、くらし。」 安部 晃平さん、塚本 恵伍さん

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会 古澤大輔氏講演会

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 雨天時にも機能する半屋外空間を提案し、傘を逆さにしたような象徴的な建物に空間を創り、書架や読書スペース、カプセルホテルとしました。どのように建てるかという構造面について、講評会では多様な意見が集まりました。