追究

2022年03月17日

2021年度中古文学ゼミ卒業論文報告会

2021年度中古文学ゼミ卒業論文報告会

2022年2月14日(月) 長久手キャンパス4号棟413教室

卒業論文の発表や熱い討議を通して、
学年をこえた貴重な学びや交流を深めました。

 国文学科の中古文学ゼミでは、平安時代に成立した古典文学を研究しています。取り上げる作品は『源氏物語』『伊勢物語』『枕草子』など実に多彩。学生たちは興味のある作品を読解・考察し、独自の着眼点で新たな解釈を見出して、仲間とのディスカッションも活発におこなっています。そうしたゼミ活動を通し、古典文学に関する専門知識だけでなく、論理的思考力や多角的な視点、プレゼンテーションスキル、豊かな感性など、社会で求められる幅広い能力を同時に培います。
 そして、学びの集大成となるのが、3年次後期から約1年間かけて制作する「卒業論文」です。研究する作品やテーマの設定、先行研究の整理、研究計画の立案、調査・考察、論文執筆に学生一人ひとりが力を注ぎます。4年次後期にはゼミ内で中間発表をおこない、指導教員の外山敦子先生や仲間と議論して論文をブラッシュアップ。書き上げた卒業論文は、手作業で装丁もおこなって冊子に仕上げ、生涯の宝物となる一冊として完成させます。
 中古文学ゼミでは、今回初めてゼミ主催の「卒業論文報告会」を開催しました。提出して終わりではなく、論文の内容を仲間と議論し、作品へのより深い考察を共有します。2021年度は2月14日(月)に長久手キャンパスで開催。4年生6名が順に登壇し、自身の卒業論文について報告しました。会の運営を担ったのは、同じゼミの3年生です。6名が参加し、司会進行やタイムキーパーなどを分担しながら、先輩が取り組んだ研究を熱心に聞いていました。また、次年度から中古文学ゼミに所属予定の2年生7名も聴講。3年次から始まるゼミでの学修・研究に対してイメージを膨らませ、向学心を高めていました。

2021年度中古文学ゼミ卒業論文報告会

2021年度中古文学ゼミ卒業論文報告会

2021年度中古文学ゼミ卒業論文報告会

2021年度中古文学ゼミ卒業論文報告会

 報告会は、執筆者による報告15分・合評報告10分・討議15分の計40分ずつ、午前と午後の二部制で開催されました。4年生は1名ずつスクリーンの前に立ち、スライドを映しながら、テーマの選定理由、制作工程、卒業論文の構成、論証の方法、結論、自己評価などを発表。その後、合評報告を担当した学生が第三者の目線から研究の成果を批評し、さらに4年生全員で討議しました。作品の本文や先行研究の見解、時代背景などを根拠にそれぞれが鋭い意見を交わし、作品の理解をさらに深めていきました。

 卒論報告会の最後には、これから卒業論文に取り組む3年生が積極的に質問。「卒論制作と教育実習や教員採用試験、就職活動をどう両立させましたか」「卒論を書く前に準備しておくとよかったことは」などの問いに、4年生は実体験をもとに的確なアドバイスを送っていました。

2021年度中古文学ゼミ卒業論文報告会

2021年度中古文学ゼミ卒業論文報告会

 会の締めくくりには、教員講評がおこなわれました。2020年度まで26年間、中古文学ゼミの指導教員だった久保朝孝先生(現・文学部名誉教授)は「卒業論文は、大学を卒業し、社会に羽ばたくための力を鍛える“壁”です。みなさん、作品との闘い、自分との闘いの日々だったことでしょう。その壁を乗り越え、一人ひとりが熱気をはらんだ卒業論文を完成させて、とても立派だと思います」と激励の言葉を4年生に贈りました。続いて外山敦子先生は「この2年間、コロナ禍によって恒例のゼミ合宿が中止になるなど、ゼミ活動にも制限が及びました。今回、感染対策を十分におこないながら、“対面”での報告会を開催しました。4年生のみなさんは討議がとても上手なので、その議論の進め方を2・3年生にも引き継いでほしいと思います。そして4年生のみなさん、胸を張ってそれぞれの新天地へ向かってください」と熱いメッセージを伝えました。
 そうした先生方の思いに応えるように、4年生は久保先生と外山先生にサプライズで花束を手渡し、「卒業論文報告会を開催していただき、とても嬉しく思います。2年間のゼミでのご指導、本当にありがとうございました」と感謝の言葉を述べ、会場はあたたかな拍手で包まれました。

 学年をこえた貴重な学びや交流の場となった、卒業論文報告会。4年生はかけがえのない仲間や恩師である先生方から受け取ったものを支えに、これから自分の道を力強く歩んでいきます。2・3年生は先輩の卒業論文や発表・討議に大いに刺激を受け、今後の学修への意欲を一層高めて、中古文学ゼミの新たな伝統を築いていくことでしょう。

2021年度中古文学ゼミ卒業論文報告会

【2021年度中古文学ゼミ 卒業論文テーマ】

●『枕草子』論 ― 三五段「木の花は」における「梨の花」の役割 ―
●『蜻蛉日記』― 一子道綱への呼称から見る〈母としての道綱母〉―
●『伊勢物語』第二一段考 ― 和歌にみられる男女間のすれ違い ―
●『源氏物語』六条御息所論 ― 「葵」巻における物の怪再考 ―
●『落窪物語』論 ― 救済されない兵部少輔
●『竹取物語』大伴御行論 ― 四番目の求婚者として ―