追究
2022年06月06日
創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 松本ゼミ 名古屋市立西陵高等学校 進学相談室リノベーション

2021年度 後期
リサーチからプラン立案、施工作業まで、
約半年間かけて、学生が主体となって取り組みました。
創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻のインテリアデザインを専門とする松本佳津先生のゼミでは、社会との交流を通して大学での学びを発揮する機会を数多く設けています。今回は「名古屋市立 西陵高等学校 進学相談室」のリノベーションをプランから施工まで、学生が主体となって取り組みました。
2021年6月、西陵高校からリノベーションのご依頼をいただいたことでプロジェクトがスタートしました。7月から現場調査に取りかかり、その結果をもとに学生は3つのグループに分かれてプランを作成し、場所の変更・再調査を経て、12月には最終プランを完成させました。1月に見積もりが確定後、2月から施行の準備に着手し、3月から一ヶ月間かけて施工をおこない、3月31日に無事に完成し、引き渡しを終えることができました。
西陵高校の生徒たちが使用している光景をイメージしながら、
過ごしやすく、多目的に活用できる空間づくりをめざしました。
プランニングするうえで学生たちが考えたコンセプトは、『3つの場(家・学校・進路指導室)〜ホッと一息つける空間を目指して〜』です。やる気・熱気・活気・元気・空気など、さまざまな「気」をキーワードに、未来への可能性や居心地のよさ、設備刷新を意識したリノベーション案をグループごとに立案し、その中から最終的なプランを決めていきました。
ゼミ生のまとめ役を務めた林万結香さんは、「3グループとも魅力的なプラン内容で、いい意味でまとめるのが大変でした。本物の木を使いたい、カラフルな色合いにしたいなど、さまざまなアイデアが出たのですが、統一感を出すためにコンセプトに合わせて具体的な内容を決めていきました」とプラン確定までの流れを振り返ります。
そして、最終案を高校にプレゼンテーションしたところ想像以上の高評価をいただき、リノベーションする場所を、当初予定していた相談スペース(廊下階段横の踊り場)から進路相談室へと変更することになり、そこから再度プランを考え、12月に最終プランを確定しました。林さんとともにまとめ役を務めた有働円香さんは、「企画内容をできるだけ忠実に再現したかったので、天井に穴は開けられるのか、観葉植物は置けるのかなど、学校側に確認しなくてはならないことが多く調整は大変でした。スケジュール管理も初めてのことでしたが、良い経験になったと思います」と語りました。
■リノベーション前の進路指導室
■学生が考案したプラン
ホッと一息つけるような空間として、多くの生徒に活用してほしい。
インテリアを通して前向きな気持ちになれる「場」を提供。
施工もすべて、学生が主体となって作業に取り組みました。木目調の家具、自然を感じられるグリーンの天井オブジェ、気持ちが明るくなる色使いのタペストリー風パーテーションなど、完成した空間のインテリアには、「進路指導室が、生徒にとって居心地のよい、安らぎを感じられる憩いの場所になるように」という学生たちの願いが込められています。
また、施工にあたっては、卒業生の心強いサポートがありました。壁の塗装については、関西ペイント販売株式会社の鳥居さん、家具作りについては、株式会社前野木工の森田さん、カーペットのセレクトについては、株式会社サンゲツの横山さんのご協力のもと、作業を進めていきました。
壁の色は、塗料を混ぜて試行錯誤を繰り返しながらオリジナルカラーを作成。テーブルは角の丸いデザインを採用し、自由に組み合わせてフレキシブルに使えるよう移動キャスター付きの3タイプを用意。書類などを収納する棚も制作しました。床のカーペットは、ショールームに足を運び、生地見本を見ながらセレクトしました。こうして卒業生の先輩たちに相談しながら作業したことは、学生にとって、社会人としての仕事ぶりを間近で見て触れることができた有意義な時間でもありました。
今回のリノベーションでは、プランの立案から施工まですべて自分たちで手がけたことはもちろん、クライアントと実際にやり取りしたことも貴重な経験になりました。スケジュールや予算、クライアントの意向など、制限や要望があるなかで納得できる空間を生み出すことの大変さとやりがいを実感した学生は多かったのではないでしょうか。この経験を通して、大学で身につけた知識や技術、発想力に磨きをかけ、今後のインテリアコーディネートに大いに役立てていくことを期待しています。
《施工を終えた学生のコメント》
●林 万結香さん
西陵高校の生徒たちの明るい未来を想像しながらプランを考えました。前向きな気持になれる空間として活用してほしいです。
●山田美羽さん
自分のやりたいことだけではなく、クライアントの依頼に応えるというスタンスが新鮮で、とても勉強になりました。
●坂野未奈さん
みんなで話し合いながらプロジェクトに取り組んだことで、自分の意見を積極的に提案し、行動できるようになりました。
●加藤美波さん
こだわったのは、色使いです。インテリアコーディネートにおいて、カラーが重要な役割を果たすことを実践的に再確認しました。
●上田凌子さん
自分たちで考えた企画が実際にカタチになっていくことが嬉しかったです。ワクワクしながら作業に取り組みました。
●小早川佳矢さん
資料が多いので収納にも着目しました。収納棚は見た目の美しさも大切ですが、収納力と使いやすさにも配慮しました。
●大原彩友香さん
高校生が何を求めているのか、何を好むのか、リサーチから始め、模索しながらプランを考えたことが楽しかったです。
●有働円香さん
クライアントの依頼に応えるために試行錯誤しながら空間づくりをした経験は、社会人になってからも役立つと思います。
●松野司さん
松本ゼミのメンバーで出し合ったアイデアが形になり、改めてインテリアコーディネートの面白さを実感しました。
●今井里緒さん
クライアントの依頼をもとに空間作りをしていきました。みんなで協力してプロジェクトに取り組むことができ非常に良い経験になりました。
●田中麻衣さん
プロジェクトを進めるにあたって、さまざまなことが勉強になり、ものづくりの素晴らしさを実感する事ができました。
《西陵高校の先生方のコメント》
●荒川 基樹教頭
学生の皆さんにお願いしたことについて、不安はなく、期待しかありませんでした。非常に一生懸命に取り組んでいただき、想像以上の完成度に大変喜んでいます。
●米谷 浩教諭
「生徒が使いやすいように」という視点で取り組んでくださったことが伝わるインテリアだと思います。多目的に使えて、話しやすい雰囲気がある、学校に新しい空間が生まれました。