追究

2022年07月25日

2022年度 教志会 春のイベント

2022年度 教志会 春のイベント

2022年6月25日(木) 長久手キャンパス511教室

教員は障がいを持つ児童や生徒と、
どのように向き合うべきか?
意識変革と対応の大切さを学びました。

 教員をめざす多くの学生を育成してきた本学には、卒業生と教職課程履修者をつなぐ組織「教志会」があります。教志会の学生部会は2、3年生の学生スタッフが中心となり、教員をめざす学生のためにさまざまなイベントを企画・運営しています。今回は春のイベントとして、教職課程履修者に向けて、映画鑑賞と教育実習を体験した先輩方のトークセッションを開催しました。

2022年度 教志会 春のイベント

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2022年度 教志会 春のイベント

2022年度 教志会 春のイベント

 第1部は映画『僕が飛び跳ねる理由』の一部を抜粋して鑑賞。この映画は2021年4月に公開された作品で、自閉症作家・東田直樹氏が13歳のときに執筆したエッセイが原作となったものです。世界各地の自閉症を持つ少年少女とその家族たちの証言を通して、自閉症と呼ばれる彼らの世界が私たちとどのように異なっているのかを明らかにしていく内容です。この映画を鑑賞した後、特別支援学校での教育経験が豊富な板倉寿明先生に映画についての解説をしていただきました。この作品は、自閉症の人はクリエイティブな思考ができない、言葉を使っての繊細な表現は難しい、といった先入観を根底から覆すものだと言及。先生はこの作品に出合い、これまで自閉症の人たちが持つ才能や内面世界を引き出せなかったと自省の念に駆られたそうです。併せてこれまで先生が接してきた特別支援学校の児童・生徒たちやその保護者とのエピソードなども話していただきました。

2022年度 教志会 春のイベント

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 この後は場面指導に入ります。学校内で起こり得る2つのケースを設定し、それらに対し、どのような対応がベストなのかを学んでいきます。1つめは「給食時、ある児童が列に並んでいた児童を抜かし、その前に入りました。先生はその行為を咎めましたが、横入りした児童は認めません。この場合どのように対応すればいいのか?」、2つめは「全校集会時、列から外れたところにいる児童。その児童に対し『なぜあんな場所にいるの?変なの?』と発言した児童に対してどのように答えるのか?」。学生たちは3つのグループに分かれ、それぞれの対応方法について議論し、発表しました。
 1つめについては、横入りした児童を落ち着かせ、ルールを説明した後、横入りされた児童に謝るなど、段階を踏んで対応するという答えが多くを占めました。これについて板倉先生は「対応方法に正解はない」としながらも「まず横入りをしたのは故意なのかどうか?」をはっきりさせる必要があると指摘されました。もし横入りをした児童が自閉症気味の子どもだった場合、自閉症は人に対する意識が低いことから、故意ではない可能性もある、と。その場合は列に並びやすいように床にマークをするなどの工夫が必要だとアドバイスをいただきました。
 2つめのケースは「あまり大ごとにせず、発言した児童に対し、なぜその児童が列から外れた場所にいるのかを丁寧に代弁することが大切」だと教えていただきました。加えて、発言した児童の理解度によって説明の仕方を変えることも重要とご指導いただきました。

2022年度 教志会 春のイベント

2022年度 教志会 春のイベント

 休憩をはさんで第2部は、教育実習を経験した先輩方の体験談を聞くトークセッションです。小中高、それぞれの現場で教育実習を経験した5人の先輩が、実習の感想、学んだこと、これから実習を迎える後輩たちに向けてのアドバイスなどを話していただきました。「実習なので児童や生徒に目を向けがちですが、先生とのコミュニケーションを取ることも大切」、「この経験によって先生としてだけでなく、社会人としての勉強もできた」、「先生の仕事は授業だけでなく、給食、掃除、登下校、テストなどさまざま。そういった部分でも多くのことが学べる」、「実習は3週間あってもあっという間に過ぎる。受け身でいると消化不良で終わってしまうので、自分から積極的に動くことが大切」など、先輩たちからは熱のこもった体験談を聞くことができました。

2022年度 教志会 春のイベント

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 その後は各グループに先輩実習生が付き、実習時の授業で使ったプリントを見せたり、実習時にどのような生活を送っていたかなどの質疑・応答をしたり、より近い距離でコミュニケーションがおこなわれました。「人前に立ってきちんと話ができるのか不安」など、後輩たちが抱く純粋な悩みに丁寧に答えていく先輩実習生たち。そのリアルなアドバイスはきっと後輩たちの大きな支えになったことでしょう。