追究

2022年09月22日

ビジネス学部 私のシゴト学

ビジネス学部 私のシゴト学

2022年度 前期 星が丘キャンパス

「シゴトとは何か」「働くとはどのようなことなのか」⼤学卒業後の将来について考える貴重な時間となりました。

 ビジネス学部では、ビジネスに関する専門知識はもちろん、現場で求められる実践的なスキルを身につける科目も数多く用意しています。3年次に開講される「私のシゴト学」もその一つ。社会で活躍する職業人の体験談を通じて、「シゴトとは何か」「働くとはどのようなことなのか」を学ぶ専門科目です。大学卒業後の将来を見据えて、就職活動にとどまらず、働くことの意義やシゴトのやりがいについて、経験から学ぶことを目的としています。

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 「私のシゴト学」は、ビジネス学部 菅野淑先生がコーディネーターを務め、全8回の授業を開講。ビジネスの現場で活躍中のゲストスピーカーにお越しいただき、約250名の学生の前で、ご⾃⾝の経験談を語っていただきました。今回のレポートでは、その授業内容について紹介します。

【第1回】4⽉13⽇ 愛知淑徳⼤学 キャリアセンター ⼭本貴代 様/愛知海運株式会社 芝田猛基 様

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 第1回の授業は、本学のキャリアセンターから、就職サポートのエキスパートである⼭本さんが登壇しました。就職市場の現状についての解説から始まり、就職活動スケジュールについては早めの取り組みが重要で、3年次前期が勝負となることを力説。続いて、早期内定を目指すためのキーポイントとして、情報サイトやセミナーの有効活用法、インターンシップの必要性、優良企業の見分け方などについてもレクチャーしました。さらに、本学オリジナル就活冊子「キャリアガイド」とWEB サイト「ASキャリアナビ」の具体的な活用方法も紹介し、本格的な就職活動を目前に控えた学生たちを力強く後押ししました。

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 後半は、ビジネス学部卒業生の愛知海運株式会社 芝田 猛基様が登壇し、ご自身の経験を踏まえて「就職活動において大切なこと」について語ってくださいました。キャリアセンターの模擬面接をきっかけに自分の足りない部分に気づき、さまざまな経験を重ねたことで「一歩先を考える力」を養えたこと、インターンシップを通して「視野の広さと積極性」を身につけたことにより入社試験に自信をもって臨むことができた、と自身の就職活動を振り返りました。また、「私が海運業界を選んだのは、公共性の高さ、安定感、将来性に魅力を感じたからです。島国である日本にとって海運はなくてはならないもの。日本を支えているやりがいのある仕事だと実感しています」と自分で考え抜いて、選んだ仕事への誇りについても語りました。最後に採用担当者としての立場から「準備は早めに、筆記試験対策も忘れずに。インターンシップは夏季から取り組もう」とアドバイスされ、夢の実現への一歩を踏み出す学生たちへエールを贈りました。

【第2回】4⽉20⽇ 受講の心得 菅野淑先生

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 この⽇はゲストスピーカーの登壇はなく、次回からの授業に向けて、菅野先生より、受講の心得についてのガイダンスが開催されました。第1回の授業を振り返りながら、「私のシゴト学」は、就活への具体的な心構えと、「シゴトとは何か」「働くとはどのようなことなのか」を学ぶ講義であることを再確認。さらに、評価方法と受講中の注意点についても説明がありました。

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【第3回】4⽉27⽇ セレンディップ・ホールディングス株式会社 代表取締役会長 髙村徳康 様

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 この⽇のゲストスピーカーは、セレンディップ・ホールディングス株式会社の代表取締役会長として、事業承継の支援やM&A業務などに従事されている髙村様。講演前には、大学の同期生であるビジネス学部 浅井敬一朗先生が、髙村様の経歴を紹介すると共に「彼はピンチをどのように切り抜けていったのか。どのように仕事に向き合ってきたのか。自分とは違う世界の話ではなく、自分ごとのように受け止めてほしいと思います」と学生たちに語りかけました。
 続いて髙村様が登壇し、野球に熱中した学生時代、証券会社を経て監査法人で公認会計士として経験を培った企業人時代、そしてベンチャー支援機関の設立から現在まで、ご自身のビジネスキャリアにおけるさまざまなエピソードを通して、働くことの意義や人生において大切なことなどについてお話しくださいました。
 ベンチャー企業を支援する会社では「不況こそチャンス」と積極的に挑んだ姿勢が話題となり人気のビジネスTV番組にも出演。その後7年間、会社の低迷が続く苦しい時期を迎えましたが、大赤字ベーカリーの再生事業では起死回生の大ヒット商品を生み出しました。この成功での手応えが、事業承継支援やM&Aを手掛ける転機となったこと、信念をもって「中小企業経営の近代化と100年企業の創出」に取り組んできたセレンディップ・ホールディングスの事業が軌道に乗り、東証マザーズ上場を果たしたことなど、人生のどんな場面においても“夢”を持ち“創意工夫”をし続けた姿勢が道を切り開いてきたと語られました。

 さらに、日本企業はなぜ世界での存在感が薄くなってしまったのか、失われた30年間をテーマに、ビジネス界で活躍できる人材についてもトークを展開。これからは、問題を見つける力・問題を解く力・諦めない人間力を身につけた、「問題を解決する人」「ヴィジョンを生み出せる人」が求められていますと学生たちを激励しました。

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 最後に髙村様から贈られた「SkillよりCreative」という言葉は、未来を模索中の学生たちの心に響き、希望への道標になったことでしょう。

【第4回】5⽉11⽇ 株式会社タチ製作所 取締役副社長 舘規世枝 様/製造部生産推進課 内田さやか 様/生管購買部生管購買課 鳥羽真里子 様

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 第4回目は、株式会社タチ製作所から舘 規世枝副社長をゲストスピーカーにお迎えしました。最先端の高精度精密部品と組立製品で世界の大企業を支えているタチ製作所。男性の存在感が強い製造業界において、数多くの女性が活躍している会社でもあります。今回登壇いただいた舘様からは、祖父の代から続く会社の副社長に就任後、女性経営者の視点で改善してきたことについてお話ししていただきました。
 タチ製作所が、会社をより良くするために取り組んでいることは、「ジェンダー平等の定着」「業務の効率化」「ブランディング」「社内の快適な環境づくり」の4項目。「ジェンダー平等の定着」については、お茶くみや清掃当番を見直し、性別問わず業務に専念できるよう改善、「業務の効率化」では最新技術の導⼊や助成⾦の活⽤、DXを推進、「ブランディング」では企業イメージを伝えるHPやSNSを⼀新、愛知ブランド企業にも認定、「社内の快適な環境づくり」では、社員の悩みケアを中⼼に精神⾯で快適に過ごせる環境改善に取り組みました。
 続いて、製造部生産推進課で課長として活躍中の内田さやか様が登壇し、就職活動の体験談に始まり、管理職として意識されていること、働くうえで大切にされていることについて講演。学生たちが社会人になったときに役立つ貴重なお話をしていただきました。最後に登壇した生産管理部の鳥羽真里子様からは、ご自身の就活体験談を通して、アルバイトと社会人の違い、プレッシャーの乗り越え方など、就活への具体的なアドバイスをいただきました。男性も女性も関係なく実力で活躍しているタチ製作所のお話は、これから企業選びに取り組む学生たちにとって大きな参考になったようです。

【第5回】5⽉18⽇ 稲沢工業株式会社 代表取締役社長 橋本知保 様

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 第5回目のゲストスピーカーは、稲沢工業株式会社社長 橋本様です。稲沢工業は鉄やステンレス、メッキ鋼板などを材料に、配電盤や制御盤といった製缶・精密板金加工をおこなっており、特注品にも対応する多彩で高い技術力を有している会社です。創業者であるお父様の後を継ぎ、20年前に32歳という若さで社長に就任した橋本様は、当時を振り返りながら、どのように会社の体質を変え、成長させていったのか、お話ししてくださいました。
 橋本様が社長に就任した当時の会社は、まだ町工場の名残があり、パワハラも日常の昔ながらの職人の世界が残っていました。こうした企業体質の改善と、異分野(新規開拓)への営業を展開する橋本社長に対し、ベテラン社員からは強い反発があり、苦労されたそうです。退職者が出て、業績は上がらず、良い製品が作れない、そんな負のスパイラルにハマっていき、精神的につらかった時期もあったと語りました。こうした状況で、救いになったのが、比叡山延暦寺の一日回峰行。厳しい修行を人生に置き換えることで、「人として何が正しいのか」を判断基準にする経営の基本に立ち返ることができたそうです。「人生にはさまざまな困難があり、苦しいときこそ成長できる」と前向きな気持を抱くようになり、社長としてのプレッシャーも乗り越えていきました。仕事への意識も変化し、経営においても「お客さまに喜んでもらえるモノづくり」をモットーに、モノづくりを通して社会に貢献し、技術の研鑽に励み改善し続け、全社員の幸福を追求することをポリシーとする企業へと変革。現在では、20代30代の社員が6割を占め、働く環境のリノベーションを推進し、安定した業績をあげる企業へと成長しています。
 最後に「仕事も人生も同じ。人としてどれだけ成長できるかが重要です。苦しいときこそ成長のチャンス。逃げずに模索しながら乗り越える、この繰り返しが仕事の成功につながると信じています」と自らの経験を踏まえ、学生たちに真摯なメッセージを伝えてくださいました。

【第6回】5⽉25⽇ 株式会社⾼津製作所 代表取締役社⻑ 髙津晋⼀ 様 以下3名

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 第6回目は、株式会社⾼津製作所から、髙津様をはじめ4名の⽅が「シゴト学」について語ってくださいました。⾼津製作所は、⾃動⾞の外観フォルムを決定づける⾃動⾞⽣産設備の開発・製造をおこなうメーカー。プレス型、ヘミング機、溶接設備の設計、製作、ライン整備まで⼀貫して提供し、⾃動⾞業界を⽀え続けています。
 最初の登壇は、人事戦略室に所属し、採⽤と社員教育を担当されている⽯塚様。1台の⾃動⾞には3万点もの部品が使⽤されていること、中⼩企業の存在が世界の⾃動⾞産業を⽀えていることなど、ご⾃⾝が⾃動⾞製造に関⼼をもった理由と、⾃動⾞製造は世界に貢献できる⽇本の代表産業であり、ダイナミックな事業に携われる魅⼒ある業種であることを語られました。続いて、同社が手掛ける⾃動⾞ボディ向け生産設備は、この先電気⾃動⾞化が進んでも必要とされ続ける将来性ある事業であることを解説。さらに、⾃分の担当した製品が⾃動⾞を通して世界に広がっていく、夢のある仕事であると話されました。
 次に登壇した後藤様は、ビジネス学部の卒業⽣。所属する部署では、受注から納品までの⽇程や部品、⼈材の管理を担当されています。仕事を通じて成⻑したことをテーマに、社会⼈になってぶつかった壁をどう乗り越えていったのか語ってくださいました。仕事は⼀⼈ではできないと実感したこと、約1年間の産休育休を経て復職した経験が、社会⼈として⼤きく成⻑させてくれたことなど、印象深いエピソードを披露。「視野が広がり、考えて動くことの重要さを学びました。責任は⼤きくなりましたが、社会⼈⽣活はすごく楽しいですよ」と、これから社会⼈となる学⽣たちに、希望を与える⾔葉を残してくださいました。

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 続いて登壇した宮路様は、⾃主的な能⼒開発(継続的勉強)とバックキャストについて語ってくださいました。⾃主的な能⼒開発については、「資格を取ることが目標ではなく、その先にどんな景⾊が⾒えるのかを意識してください」とアドバイス。バックキャストについては、「仕事で⼤切なのは、⾃分に『何ができる』ではなく、今、企業(⾃分)にとって『何が必要か』を考えて、『何をすべきか』という姿勢で取り組むこと。『何をすべきか』を先に考えれば、『何ができるか』の間に⽣まれるギャップに悩むことはなくなります」と解説。「やるべき目標を設定し、それに向かって泥臭く取り組むと世界は広がってきます。それを実体験してきたのが、当社です。そのキャリアをお聞きください」と締めくくり、髙津様へバトンをつなぎました。
 現在社⻑を務める髙津様は、トヨタ⾞体を経て、1998年祖⽗が創業した⾼津製作所に⼊社。ところがその半年後、会社の債務超過が発覚し、コンサルタント会社から倒産を通告されるという危機に直⾯しました。⾃分の代で潰してなるものかと連判状で結束した仲間とともに再建に取り組みます。ここからの3年間はほとんど会社に寝泊まりするほどの激務の⽇々を過ごし、危機を乗り越えました。

 この経験から、髙津様は「目の前にある問題は必ず解決できます。⼈間には無限の可能性があり、問題を乗り越えた先には、これまで知らなかった⾃分がいます」と語り、「⼈⽣は⼀度きりです。夢や目標を持って、それを達成したら、また新しい夢や目標を持って努⼒してください。それを真⾯目にコツコツ続けることで、⼈として⼤きく成⻑できますから」と学⽣たちに⼼強いエールを贈ってくださいました。

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【第7回】6⽉1⽇ 東海鉄工株式会社 代表取締役社長 小澤佳之 様

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 この日のゲストスピーカーは、東海鉄工株式会社5代目社長 小澤様です。東海鉄工株式会社は、数千点にわたる自動車部品のプレス加工や金属接合をおこなうメーカーで、高い精度と品質にこだわった技術力を誇ります。小澤様は、数多くあるプレス加工法やその工程、溶接について動画を用いて解説した後、不良品を出さないための取り組みや新しい機械の導入など、高い品質を維持し続ける企業努力についても紹介。この背景には、社長就任後に経験した、4つの大きな失敗があったと語られました。1つ目の事例は「労働災害」、2つ目の事例は「新規受注での加工費における見積り(売値)・原価逆転事件」、3つ目の事例は「材料での見積り(売値)・原価逆転事件」、4つ目の事例は「海外進出の撤退」。労働災害は、安全管理における体制と体質を改善する転機となり、2つの見積り(売値)・原価逆転事件においては、知識や情報の重要性、リスクマネジメント、コンプライアンスへの意識を高める転機となりました。海外進出の撤退では、世界の製造業界や経済の状況を見極め、判断することの難しさと、失敗が周囲に与える影響の大きさを学んだと語ります。
 さらに、失敗を経験したことで社長としても成長できたと語った小澤様。「精神的にタフになり、その後のリーマンショックや東日本大震災に対しても不安はありませんでした」困難を乗り越えられた背景として、恵まれた環境、良い家庭、運の良さをあげていましたが、その根底には、何ごとにも真摯に向き合い、努力を重ねてきた小澤様の生き方があると感じました。そして、学生にぜひ伝えたいこととして紹介したのが、「困難は永遠に続かない」という言葉。「困難には終わりがあり、その先にはチャンスが待っています。それを見逃さないように、掴み取ってください」とアドバイス。そして最後に、「会社の進む道を示し、目標を達成し、仲間と喜びを分かち合う」「多くの人と出会い、貴重な人間関係を築くことができる」こうした社長業の魅力とやりがいについても語り、学生の前途に夢と希望を照らしてくださいました。

【第8回】6⽉8⽇ 東濃信⽤⾦庫 常勤理事 ⼟屋博義 様

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 「私のシゴト学」最終回のゲストスピーカーは、東濃信⽤⾦庫の常勤理事・総合企画部⻑である⼟屋様です。⾦融マンとしてのさまざまな経験を振り返りながら、⾃分の職業観や⼈⽣観を変えたエピソードを話してくださいました。
 先に決まっていたメーカーの内定を辞退してまで入庫を決めた東濃信用金庫。土屋さんの信金人生の第一歩は覚悟に満ちたものでした。厳しくて有名な支店長のいる店舗に配属され、毎日残業した新人時代。⼿形の⾦額を間違えるという大きなミスをしたとき、取引先の常務が⼀緒になって社長に頭を下げてくださった思い出。新しい配属先で仕事へのモチベーションが下がり転職を考えていたとき、幼稚園で描いた「⼤好きな⼈」という題の⾃分の絵をプレゼントしてくれた小さなお客さまとの出会い。これらのエピソードすべてに、「とうしん」はさまざまなお客さまに支えられ、たくさんの幸せをいただいている信用金庫であることを教えられたと振り返りました。
 そして、36歳で次長に昇格し、管理職としての人生がスタート。慣れない仕事にもどかしさを感じて涙することもありましたが、上司から周りのサポートに甘えることも大切だと教えられたと言います。支店長時代には、社員旅⾏で部下たちからサプライズで誕生日を祝ってもらい、「お客さまのために、もっともっといい仕事をしましょう」という言葉に思わず涙してしまったことも。こうした経験を通して「お客さまのみならず、職員にも支えられていることを実感し、感謝しています」と語る土屋様。さらに、「お付き合いのある経営者には、素晴らしい方がたくさんいて、刺激をもらっています」と語られ、挑戦する企業の応援者である支店長という仕事の魅力とやりがいについても熱く語ってくださいました。「現在は、小牧ハイウエイオアシス事業にも携わり、地元の活性化に貢献できることに信金としての使命を再認識しています」と新しい事業への期待感と責任感を伝えました。

 最後に、「みなさまの人生が明るく希望に満ちたものであることを願っています」とエールで締めくくり講演は終了。学生たちにとって、人を成長させる仕事の素晴らしさに触れられた時間になりました。

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