追究

2022年10月28日

交流文化学部 前島ゼミ 調査実習報告会

交流文化学部 前島ゼミ 調査実習報告会

2022年8月8日(月)三重県大紀町 大紀町滝原公民館 多目的ホール

前島ゼミの学生が三重県大紀町の地域活性化について調査を行い、
地元関係者の前で、その結果を報告しました。

 交流文化学部 国際交流・観光専攻 観光コースの前島ゼミは、地方での多様な地域づくりに着目し、観光と地域再建の可能性について研究しています。現在は、その一環として三重県大紀町の観光と地域活性化について調査を実施。ゼミに所属する3年生16名が4班に分かれ、班ごとに設定したテーマに沿って三重県大紀町について調査し、その結果を発表しました。

交流文化学部 前島ゼミ 調査実習報告会

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 2022年8月8日(月)、大紀町滝原公民館でおこなわれた調査実習報告会には、事前取材などにもご協力いただいた大紀町役場の方や地域活性化協議会の関係者、三重県庁や一般の方々、本学からも前島ゼミの2年生13名が参加しました。その報告会の内容をダイジェストでお伝えします。

■1班:大紀町を支えている正体とは?

交流文化学部 前島ゼミ 調査実習報告会

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 地域活性化を調査テーマとしている1班は、大紀町の概要や背景、現状の課題などを説明したあと、「役場」「地域活性化協議会」「民泊」の3つが重要であるとしてそれぞれの役割を解説。そしてそれら3つが個々で活動しているのではなく、互いに強みを活かしあい、弱みを補いあっていることから、大紀町を支えているものの正体は「支援・連携・協力」であるという結論に至りました。

 役場の方からは「とてもよく調べられていて、発表も分かりやすかったです。支援・連携・協力によって大紀町が成り立っているという考察はまさにその通りで、核心を突いているなと思いました」と嬉しいコメントをいただきました。また1班の学生は発表を振り返り「観光客の誘致を進めることがまちづくりだと思っていたのですが、町民や組織が連携することもまちづくりの形の一つであることを学ぶことができました。とても勉強になりました」と今回の調査や報告によって考え方が広がったことを明かしました。

■2班:大紀町の強みってなんだろう? 〜空き家と人のつながりに関して〜

交流文化学部 前島ゼミ 調査実習報告会

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 2班は「空き家の利活用による地域コミュニティの形成」について調査しました。そこで着目したのが、大紀町の空き家対策において重要な役割を担っている地域コミュニティです。大紀町の代表的な地域コミュニティとして、農業体験が可能な民泊「大紀町日本一のふるさと村」と、閉校した小学校を改装した「野原工房元気村」の2つを紹介。日本一のふるさと村では「コミュニティを外側へ広げている」とし、野原工業元気村では「コミュニティを内側に取り入れている」ことで人のつながりをつくっていると考察しました。最後に若者不足などの課題についても言及し、それらの課題解決のためにSNSを活用することを提案して発表を終了しました。
 役場の方は「人口減少の課題については、私たちも、コミュニティからのボトムアップで解決していきたいと考えていました。今後もこれらのコミュニティを中心に頑張っていきたいと思います」と学生の調査結果を真摯に受け止めてくださいました。

■3班:どうして大紀町に外国人はやってくるの?

交流文化学部 前島ゼミ 調査実習報告会

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 大紀町は「人口減少に悩む田舎町」「名古屋駅から約2時間というアクセス」「観光資源がない」という要素を抱えつつも、毎年多くの外国人観光客が訪れています。3班はその理由について調査しました。結論として、大紀町に訪れるほとんどの外国人が「教育旅行」であり、大紀町の農林漁業を体験できる民泊事業とマッチしていることが強みとなっていることがわかりました。その立役者となっているのが、地域活性化協議会。民泊誘致や学校交流、インバウンド向け商談会など、さまざまな働きかけをおこなっています。さらに、各種手続きの窓口を集約させた「ワンストップ窓口」も導入。これにより外国人の教育旅行を受け入れやすくなり、インバウンドの増加につながったと考察しました。最後に「観光資源=人、これこそが大紀町に外国人がやってくる理由だということが分かりました」として発表を締めくくりました。
 学生は今回の報告会について「こんなにたくさんの町の人たちに、調査・考察してきたことを熱心に聞いてもらえたことがとても嬉しく感じました」と感想を述べました。コツコツと積み重ねてきたことが多くの人に伝わった喜び。そんな達成感を得られた、貴重な経験になったようです。

■4班:地方において移住者はどうしたら増えるのか?〜三重県大紀町を手掛かりに〜

交流文化学部 前島ゼミ 調査実習報告会

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 4班は、大紀町の移住者についての調査結果を報告。大紀町は移住者用の制度が十分に整っていないにもかかわらず、毎年移住先に大紀町を選ぶ人がいるとのこと。4班の学生はその理由として「移住体験ツアーや民泊など地元の人との交流の場」が移住者の定住につながっていると考察しました。移住体験ツアーは農漁業体験や電動自転車を使って大紀町を巡るツアーなど、地元の人と交流が可能な内容になっています。学生はこうした移住体験ツアーや民泊を通して大紀町の魅力が伝わることで移住者が増えていると結論づけました。
 最後に、課題となっている民泊の後継者不足の解決については、SNSを活用して若者の関心を集めることを提案しました。民泊運営者はすでに風景や食事などをSNSに投稿していましたが、学生は「民泊の良さは人々の温かさにある」として、地元の人や利用者の雰囲気・表情が伝わる投稿を具体的に紹介。若者ならではの視点から改善案を提案し、報告を終えました。

 報告会の最後には大紀町長からも、「今回の報告会を聞いて町としてやらなければならないことなど、色々勉強になりました。今後も学生の皆さんの取り組みを参考にして、より良い大紀町にしたいと思います。本当にありがとうございました」とありがたいお言葉をいただきました。学生たちにとって今回の報告会は、大紀町の人々との絆がさらに深まり、研究の次のステップにもつながった有意義な時間となったことでしょう。

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