追究

2023年01月23日

ジェンダー・女性学研究所主催 第4回定例セミナー 「“ジェンダー不平等国”で生きていく。~キャンペーンCM制作から見えてきたこと~」

ジェンダー・女性学研究所主催 第4回定例セミナー   「“ジェンダー不平等国”で生きていく。~キャンペーンCM制作から見えてきたこと~」

2022年11月21日(月)星が丘キャンパス13C教室

公共キャンペーンCMの制作を通して見えてきた
現代においてのジェンダー平等について
プロデューサーの立場から語っていただきました。

 本学のジェンダー・女性学研究所が2022年11月21日(月)に繁澤かおるさんをお招きし、第4回定例セミナー「“ジェンダー不平等国”で生きていく。~キャンペーンCM制作から見えてきたこと~」を開催しました。
 繁澤さんは1987 年岐阜県に生まれ、立命館大学の産業社会学部を卒業後、東海テレビ放送入社しました。報道部の記者として行政、医療・教育分野など担当しながら、ドキュメンタリー番組やCM制作にも携わってきました。今回、公共キャンペーンCM「ジェンダー不平等国で生きていく」のプロデューサーとしてその制作から見えてきたジェンダー平等について講演していただきました。

ジェンダー・女性学研究所主催 第4回定例セミナー   「“ジェンダー不平等国”で生きていく。~キャンペーンCM制作から見えてきたこと~」

ジェンダー・女性学研究所主催 第4回定例セミナー   「“ジェンダー不平等国”で生きていく。~キャンペーンCM制作から見えてきたこと~」

 CM制作の話に入る前に、繁澤さんがジェンダーを意識したときのエピソードを語っていただきました。学生のときはジェンダーを意識することがなかった繁澤さんが、初めてそれを実感したのは社会に出てからだと言います。職場には女性の記者が1人もおらず、男性主導で仕事が進んでいくことに違和感を覚えたそうです。男性ばかりの職場なので、何とも言えないモヤモヤを抱えながら、それでもその違和感に対し、深く追求することはありませんでした。しかし、あるきっかけで公共キャンペーンCMのプロデューサーに抜擢されたとき、上司から「女性をテーマにしたらどう?」と助言され、あのとき感じていたモヤモヤと向き合ってみようと決意。女性の仲間を誘ってプロジェクトチームをつくりました。

ジェンダー・女性学研究所主催 第4回定例セミナー   「“ジェンダー不平等国”で生きていく。~キャンペーンCM制作から見えてきたこと~」

ジェンダー・女性学研究所主催 第4回定例セミナー   「“ジェンダー不平等国”で生きていく。~キャンペーンCM制作から見えてきたこと~」

 CMは答えありきで進めるのではなく、取材した中から見えてきたものを素直に表現する。「30秒CMを10本」「台本無し」など制作する上でのコンセプトを固めながら、取材や編集をおこない、2021年6月下旬からテレビやYouTubeで公開されました。CMには家庭内で性差による役割分担を見つめ直す夫婦、男性が多数の政治社会で生きる女性議長など、さまざまな年代や性別、環境で生きる女性・男性にジェンダーに対する意識を赤裸々に語っていきます。特に印象的だったのは、男女平等の社会が来るのは何年後だと思いますか?という問いかけに「あと10年」と答える方もいれば「あと100年」と答える方もいたこと。ジェンダーに対する考え方はここまで幅広く、差があるのだと実感させられました。
 ジェンダーに対するリアルな声を集めたCMは大きな反響を呼び、視聴者からは「勇気をもらった」「デリケートな問題なのに真正面からよくつくってくれた」など多くの意見が寄せられました。さらに様々な講演や、「HUFFPOST」をはじめ数々のメディアから取材を受けました。最後に繁澤さんは今後のテーマとしてジェンダー平等を追いかけつつも、女性の子育てと仕事の両立など、子どもや子育てについて考えていきたいと締めくくりました。
 講演を聞いていた学生の多くは、まだジェンダーの問題について実感していないかもしれません。しかし、今後、社会人になる上で否が応でも性差による問題を感じるはずです。今回の講演は、そのときにジェンダーを考える支えになるに違いありません。