追究
2023年01月13日
「ぴよりん」を活用した宿儺かぼちゃフードロス対策の産学官協働に関する成果発表会
12月5日(月) 長良川国際会議場
林ゼミの3年生が、宿儺かぼちゃのフードロス対策プロジェクトに貢献。
フードロスの実態調査や「ぴよりん」を活用した効果測定をおこない、その成果を発表しました。
本学の交流文化学部 交流文化学科 林ゼミでは、「何でも見てやろう」をモットーに、学生が五感で探求する実践の場を設け、一人ひとりの主体的な学びを後押ししています。そんな林ゼミに所属する学生が、岐阜県農政部・岐阜県観光連盟・宿儺かぼちゃ研究会およびジェイアール東海フードサービス株式会社と連携し、同社の人気スイーツ「ぴよりん」を活用し、飛騨高山の特産物・宿儺かぼちゃのフードロス対策に取り組みました。学生たちは2022年8月~11月の4カ月間、宿儺かぼちゃの生産やフードロスに関する現地の実態調査や聞き取り調査、ぴよりんの販売店舗におけるアンケート調査を実施。その成果発表会を12月5日(月)に長良川国際会議場にて開催しました。
ホクホクとした食感と上品な甘みが特長の宿儺かぼちゃは、その生産特性や品質の観点から出荷規格を満たさずに規格外品となってしまうものが多く、フードロスが発生していますが、そんな宿儺かぼちゃをペースト状にすることでフードロスの削減が可能となります。さらに、宿儺かぼちゃの認知度向上と長期的かつ安定的な販売先の確保を視野に、10月5日(月)~31日(月)の期間限定で原材料に宿儺かぼちゃを使用した「ハロウィンぴよりん」を販売。ジェイアール東海フードサービス株式会社の代表取締役社長・吉村伸一氏によると、ぴよりんの販売開始から11年、規格外の食材を使った商品を発売するのは今回が初めてだそうです。
学生たちは、1年間で約612万tものフードロスが発生している日本の現状を説明した後、本プロジェクトでの活動について発表。宿儺かぼちゃの生産地を訪れて収穫体験をしたことや、研修会に参加して宿儺かぼちゃの特徴を学んだことについて話します。現地視察や研修会を通して、宿儺かぼちゃの強みや課題を目の当たりにした学生たち。また、フードロスが生産者の収入減少と深く関わっていることも知りました。
次に、ぴよりんの販売店舗で実施したアンケートの結果へと移ります。学生たちは、宿儺かぼちゃを使ったハロウィンぴよりんの購入者に対し、店頭でアンケート調査をおこないました。購入者の年齢層や購入目的、購入頻度、購入者の住んでいる地域、ハロウィンぴよりんを知ったきっかけなどについて調査。その結果、宿儺かぼちゃを知らなかったと回答した人は58%で、その多くが岐阜県以外の地域に住んでいることが判明。学生たちはアンケート調査を通して、岐阜県以外での宿儺かぼちゃの認知度向上が課題であると実感しました。
さらに、SNSを活用した宿儺かぼちゃの話題性の変化についても発表。Instagramでは、「宿儺かぼちゃ」というワードを含むSNSの投稿数が、ハロウィンぴよりんのリリース後は12.8倍にも伸長。ハロウィンぴよりんの販売が、宿儺かぼちゃの認知度向上につながっていることが判明しました。
これらの結果を受けて学生たちは、宿儺かぼちゃのペーストの長期的かつ安定的な販売方法とペーストにできない部分の活用方法について、「味を楽しむ」「色を楽しむ」「成分を楽しむ」「交流を楽しむ」の4つの観点からアイデアを考案しました。「味を楽しむ」アイデアとして、一般家庭に向けたペーストや粉末の販売、種やわたを使ったレシピなどを提案。「色を楽しむ」アイデアでは、廃棄野菜を使った染め物を紹介。宿儺かぼちゃの廃棄部分を染料として使用すると、とても鮮やかで美しい黄色が出ることを説明し、染め物体験などの実施を提案しました。「成分を楽しむ」アイデアでは、宿儺かぼちゃに含まれるビタミンが肌に良いことから、パンプキンピューレやパンプキンオイルなどの製作を提案。そして「交流を楽しむ」アイデアとして、宿儺かぼちゃマーケットの開催を提案しました。宿儺かぼちゃはもちろん、ペーストやペーストを使用したプリンの販売、さらには規格外のかぼちゃを利用したライトアップイベントなどを考案。学生たちはこれらのアイデアの発表とともに、生産者が一生懸命作った宿儺かぼちゃを最大限に楽しんでほしいという思いを伝えました。
学生たちの発表を受け、宿儺かぼちゃ研究会会長の若林定夫氏は「宿儺かぼちゃを食べるだけでなく、染め物・美容としての活用やマーケットの開催など、目からウロコのアイデアがいっぱいでした。若い学生が持つ、高い発想力から生まれた数多くのアイデアを聞くことができた、とても貴重な機会であったと感じています。宿儺かぼちゃの特長を存分に活かしたハロウィンぴよりんを販売できたことを、大変うれしく思います。今後も宿儺かぼちゃの生産を長く続けていきたいです」とコメント。
学生たちの熱意がこもった成果発表会は、本プロジェクトに関わった多くの人々の心を動かしました。
学生インタビュー
安部未来さん、稲積楓子さん、栗田華穂さん、中島梨緒さん
今回のプロジェクトを通して、フードロスについての興味関心が高まるとともに、多くの知識を得ることができました。食材は食べること以外にもさまざまな活用法があることを発見し、自分たちも日常生活の中でフードロス削減を意識した取り組みができるのではないかと考えるようになりました。
また、企業とのタイアップや商品展開など、普段の学校生活では経験できない取り組みに参加したことで、大きく成長できたと感じています。自分たちの足で現地を訪れ、物事を見聞きする大切さを実感した本プロジェクトに携われたこと、深く感謝しています。