追究
2025年07月10日
メディアプロデュース専攻 宮田ゼミ「演習Ⅰa」 JR貨物壁面デザイン提案
2025年度 ゼミ活動 創造表現学部 展示会・講演会・発表会

2025年5月11日(日) 日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)愛知機関区、稲沢機関区
2025年5月13日(火) 長手キャンパス712教室
2025年5月20日(火) 長手キャンパス712教室
JR貨物 東海支社の皆さまへ、
JR新守山駅北側の地下道壁面デザインを提案。
見学やレクチャーを通して知識を修得しました。
創造表現学部 メディアプロデュース専攻は、多様化が進むデジタル社会においてメディアの特性を理解し、適切な情報発信ができる人材の育成をめざしています。中でも宮田ゼミでは「メディア社会とデザイン」をテーマに活動しており、これまで学外の機関や団体、企業の方々にご協力いただきながら、現代社会が抱えるさまざまな課題をコミュニケーションデザインの力で解決に導こうとしています。
2025年度前期の3年ゼミでは、前年に引き続き「日本貨物鉄道株式会社(以下、JR貨物)東海支社」の皆さまにご協力いただき、JR「新守山」駅北側の地下道壁面デザインの提案に取り組みます。
5月から7月にかけておこなわれる計4つの授業について前半は5月におこなわれた内容をダイジェストでレポートします。
■第1回目
愛知機関区、稲沢機関区でJR貨物の会社概要や
貨物車の整備工場を見学。午後から新守山駅に移動し、
デザインする地下道壁面を見学
2025年5月11日(日)、ゼミ生たちはJR稲沢駅に集合し、愛知機関区と稲沢機関区に訪れました。愛知機関区では車両のメンテナンスを見学、稲沢機関区では運転士の仕事について見学しました。
最初にJR貨物様の会社概要や東海支社稲沢機関区の歴史、役割などについて、総務部の鹿田様、中島様から紹介動画などを交えながらレクチャーしていただきました。その後、2班に分かれ、1班は愛知機関区へ移動。愛知機関区では助役の濱口様からご説明をいただきました。ここでは約80名の社員が働いているといい、機関車と貨車を同時にメンテナンスしている珍しい機関区であることを教えていただきました。機関車の運転席にも入らせていただき、実際の運転現場の雰囲気を感じ取ることができました。
続いてJR貨物様の中でも最大の機関区である稲沢機関区に移動。ここでは稲沢機関区の役割や運転士の仕事内容などについてご説明していただきました。また、運転シミュレーターも体験。シミュレーターではさまざまな天候や時間帯を再現でき、ときには線路内に動物が飛び出してきたり、土砂崩れが起こったりと突発的なアクシデントも設定することができます。学生たちは速度をコントロールして駅の所定の位置に列車を停止させる難しさを実感しているようでした。
昼食を取った後は、JR稲沢駅から新守山駅に移動。新守山駅は1964年に開業し、当初は貨物駅が主であったものの、2005年には乗客駅のみとなり、貨物用のプラットホームや路線は全面撤去。現在は大型ショッピングセンターやホームセンターなどに土地を貸し出しているそうです。そしていよいよ、今回の課題となる壁面デザインを行う地下道へ移動。現場は「第二幸心地下道」という名の道路で、一方通行の車道とその脇に歩道が通る約42mのエリアです。昼間でも全体的に薄暗く、クルマが通るたびにその音が地下道全体に響き渡ります。デザインによっては歩道側の壁面だけでなく、天井や反対側の壁面も活用できるとのこと。学生たちは写真や動画を撮影し、自分たちが提案するデザインのイメージを膨らませていました。
■第2回目
JR貨物様が取り組んでいる活動内容について学び、
地下道壁面デザインの方向性について議論しました。
2025年5月13日(火)はJR貨物東海支社の皆様に長久手キャンパス712教室へご足労いただきました。この日は営業担当の鬼頭様から改めて会社概要や営業の仕組みについてレクチャーしていただきました。学生を飽きさせないようにところどころにクイズを挟むなど、楽しい内容となりました。
続いて総務の鹿田様からはJR貨物が見据えるグリーン社会の実現と地域貢献についてご紹介していただき、2026年から始まるCo2排出量取引を例に挙げ、今後、ますます貨物鉄道輸送のメリットが注目されることを強調。また、企業運営をしていくために、地域の皆さまの協力がいかに大切かを述べ、そのために会社全体で地域貢献活動に力を入れていることも教えていただきました。この地域貢献活動の一環が今回の課題である地下道壁面のデザインにも繋がっています。
鹿田様の説明の後は、地下道壁面をどのようにデザインするのか。その方向性をテーブルごとにディスカッションしました。JR貨物東海支社の皆様の想いはひとつ。「地域の皆さんに喜んでいただけること」。そのために学生たちからは守山区のマスコットキャラクターを描いたらどうか?守山区を知らない人に区の見どころや人気スポットを紹介してはどうか?などのアイデアが飛び交いました。
■3回目
JR貨物の皆様と一緒に4つのグループに分かれ、
地下道壁面デザインについて意見を出し合いました。
5月20日(火)、今回もJR貨物 東海支社の皆様にお越しいただき、新守山駅北側の地下道壁面デザインについてアイデア出しをおこないました。この日はAからDの4グループに分かれ、宮田先生が用意した4つのお題について話し合っていきます。各グループにはJR貨物 東海支社の鹿田様、中島様、鬼頭様、濱口様、小笠原様に付いていただき、学生をサポートしていただきました。
最初のお題は「5月11日、13日の授業で印象に残っていることや初めて知ったことを、1人3つ以上挙げて共有してください」というもの。簡単な自己紹介の後、学生たちは「運転シミュレーターがリアルだった」、「北海道から九州まで荷物を運んでいること」などを付箋に書き込み、提示していきました。その後も「もし日本に貨物列車が走っていなかったら、地域の生活はどう変わる?」や「守山区に住んでいたら、どんな壁面の図案がいいと思う?」、「そんな壁面は無理だ! 実現不可能なアイデアは?」といったお題が出され、学生たちはそのお題に答えながら、自分たちの頭の中を整理し、アイデアを絞り込んでいきました。
最後にJR貨物 東海支社の皆様から本日の総評として「自分では思いつかない意見があって新鮮でした。その発想で壁面デザインも提案してほしい」、「若者ならではのアイデアを発揮してほしい」と述べていただきました。特に中島様からは「コンセプトをしっかりと組み立てることが重要。コンセプトがしっかりしているほど、提案が通りやすいです。よいコンセプトであれば、私も自信を持って市や区、JR貨物の上層部に許可取りができるので任せてほしい」と心強いコメントをいただきました。
この後、ゼミ生たちは全3回の授業で得た知識を元に地下道壁面のデザインを考案していきます。