追究

2023年03月15日

創造表現学部 宮田ゼミ 「愛知の食とデザイン」最終プレゼンテーション

創造表現学部 宮田ゼミ 演習Ⅳ 最終報告会

2022年12月20日(火)プレゼンテーション

宮田ゼミの学生が、特産ナシの認知度を上げるための企画を提案。
綿密な取材や調査の末に考案したデザインは、現場の方々から好評をいただきました。

 創造表現学部 メディアプロデュース専攻の宮田ゼミでは、グラフィックデザインを中心に社会とつながるデザインを専門的に学んでいます。座学での基礎的な知識やスキルの修得はもちろん、デザインやメディアに関する施設に訪問したり、企業や行政と連携したりするなど、その活動は学内だけに留まりません。多様な活動を通じて、メディア社会におけるさまざまな問題に目を向け、デザインやアイデアによる課題解決力を身につけていくのが宮田ゼミの特長です。
 その活動の一環として、宮田ゼミの学生が夏頃から取り組んでいるのが、「愛知の食とデザイン」というテーマ課題です。愛知県の特産ナシ「あいみずき」を、より多くの人々に知ってもらうためのデザイン提案を行う課題に挑戦しました。

創造表現学部 宮田ゼミ 演習Ⅳ 最終報告会

創造表現学部 宮田ゼミ 演習Ⅳ 最終報告会

■愛知県農業総合試験場での現地調査と学内でのプレゼンテーションの様子

 まず夏から秋にかけて、愛知県農業総合試験場と愛知県農業水産局農政部園芸農産課の方々にご協力いただき、あいみずきの実物とその他の品種のナシを観察したり、これまでに実施してきた知名度向上のための取り組みなどを教えていただいたりして、あいみずきについての情報を収集。その情報をもとに学生たちはA~Dの4グループに分かれてそれぞれ別の角度から企画を考案し、2022年12月20日(火)に愛知県農業総合試験場と愛知県農業水産局農政部園芸農産課の方にデザイン企画をプレゼンテーションしました。今回は各グループの企画内容について、ダイジェストでご紹介します。

Aグループ『あいみずきッチンカー』

創造表現学部 宮田ゼミ 演習Ⅳ 最終報告会

創造表現学部 宮田ゼミ 演習Ⅳ 最終報告会

 収穫出荷時に規格外等で廃棄されてしまうナシをリメイクし、そのナシを使ったメニューをキッチンカーで販売する企画を提案。キッチンカーで販売することで、大学のキャンパスやフェス会場、マーケットなどさまざまな人のニーズに対応しています。さらに廃棄となるあいみずきを使用したケーキやゼリー、ジュースなどを販売することで、SDGsへの貢献にも繋がっています。
 また付加価値を高めるため、商品を2点以上購入された方には、オリジナルのガチャガチャを楽しめる特典が。ガチャガチャには、実際の商品をミニチュアサイズにした可愛らしいグッズや、本物のナシと交換できるチケットが入っており、コレクション性や特別感を演出。SNSによる拡散も狙いました。

創造表現学部 宮田ゼミ 演習Ⅳ 最終報告会

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 Aグループの学生は、話題性とブランディングを意識して企画を進めてきたそうで、「企画を考える上で、情報の取捨選択が大切であることを実感しました。今回の経験を通して学んだことは、卒業制作に取り組む際にも活かせると思います」と語りました。

Bグループ『アイをもぎとれっ☆』

創造表現学部 宮田ゼミ 演習Ⅳ 最終報告会

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 愛知県の農産物の認知度向上と、若い世代の関心を引くことを目的とするBグループは、「育成シミュレーションゲーム」を提案。あいみずきを中心に、愛知県内で栽培されている農産物を女性アイドルに見立てて擬人化させ、キャラクターとのクイズや会話を通して農産物を育成・収穫を行うゲームアプリを企画しました。

創造表現学部 宮田ゼミ 演習Ⅳ 最終報告会

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 果物のキャラクターと会話しながら育てていくことで、その果物に愛着がわくようになり、“推し活”を楽しむことができます。さらに育成ゲームでありながら、さりげなく織り込まれた農業の知識や果物を収穫するまでのプロセスが学べ、キャラクターだけでなく果物に対する理解や興味の深まりを意図しているとのこと。キャラクターのデザインや細かい設定なども学生たちが一から考えたそうで、「イチゴやイチジクなど果物の見た目や性質などをキャラクターに落とし込むことができました」と、彼女らの強いこだわりが反映された企画となりました。

Cグループ『なしまる』

創造表現学部 宮田ゼミ 演習Ⅳ 最終報告会

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 Cグループでは、あいみずきの収穫時期である8月下旬~9月であることに着目。暑い時期により楽しめるように、採れたてのあいみずきで作るアイスクリームを考案しました。なしまるは、あいみずきとバニラアイスを組み合わせて、みずみずしさとクリーミーさを併せもったアイスで、一番の特徴はそのパッケージのデザイン。一個売りと箱売りの2種類があり、どちらも一つひとつが、ナシをカットしたときの形となっています。そして複数個のなしまるを組み合わせると、まるでナシを丸ごと凍らせたようなデザインになるという仕掛けが。箱売りでは、なしまるが組み合わさった状態での販売となり、あいみずきのロゴがあしらわれた透明な箱も相まって、本物のナシのようなリアリティと上品さを演出しています。

創造表現学部 宮田ゼミ 演習Ⅳ 最終報告会

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 なしまるの見た目のインパクトと味の追求の両立には学生たちも苦労したようで、何度もアイスの試作を繰り返し、ちょうど良いサイズのパッケージにも工夫を凝らし、ようやくデザインを完成させました。その甲斐もあり、プレゼンテーションでは透明な箱に入ったなしまるのデザインは好評をいただけました。

Dグループ『有松絞を用いた包装とカードやタグのデザイン』

創造表現学部 宮田ゼミ 演習Ⅳ 最終報告会

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 あいみずきを長期的に購入してもらうために、パッケージデザインやカードの作成に注力したDグループ。愛知県の内外を問わず、贈り物として選んでもらいやすいように包装を重視しました。個別包装する場合は、色味や模様の種類が豊富な有松絞の布を使用。色味や模様が豊富な可愛らしいデザインの有松絞を使うことで、若い世代でも手を取りやすくしました。また愛知県の伝統文化とのコラボレーションにより、「あいみずきが愛知県産である」というイメージの定着促進を図っているそうです。複数個の場合は箱で梱包。みずみずしさや高級感を意識し、お中元などに適したデザインになっています。そのほかにもあいみずきの魅力を伝えるためにメッセージカードやタグ、シールを作成。あいみずきの特徴をキャッチーに表現し、高級感がありながらも、購入の敷居が高くならないようなデザインに仕上げました。

創造表現学部 宮田ゼミ 演習Ⅳ 最終報告会

創造表現学部 宮田ゼミ 演習Ⅳ 最終報告会

 これらはプレゼンテーションでも農業総合試験場や園芸農産課の方からの反応が良く、「優しさや品を感じる良いデザインで、PRとしてすぐに活用したいほど洗練されている」と絶賛。学生たちも「高評価をいただいたことで、自信がつきました」と、誇らしげな様子を見せました。

 実際の商品についてグループで協力しながら、それぞれ異なる視点や方法で企画を提案した学生たち。それぞれの提案について、農業総合試験場や園芸農産課の方からは称賛をいただくと同時に、着眼点や企画内容、イラストや配色のデザイン、プレゼンテーションなどさまざまな観点からより詳細なご指摘や感想、展開可能性へのアドバイスなどをいただくことができました。それらすべてが学生たちの制作意欲を刺激し、彼らにさらなる成長をもたらしたことでしょう。本学では今後も、学外の方と連携・共同する機会を提供し、学生のユニークな創造力や表現力を伸ばしながら、より実践的な課題解決力の向上を促進していきます。