追究

2023年03月07日

ビジネス学部 企業分析プロジェクトB

ビジネス学部 企業分析プロジェクトB

2023年1月13日(金)星が丘キャンパス 13C教室

会計の知識を活用して企業の現状を分析。
学生ならではの視点を以て、課題の抽出と改善案を提案。

 本学のビジネス学部では、経営学・商学・会計学・経済学といったビジネスの基本となる分野を学びつつ、企業や団体と協働して取り組むアクティブラーニング科目により、現場で活かせる実践的なスキルを高めます。また、1年次の後期からは3つの専修に分かれ、それぞれの専門領域における学びを深めていきます。
 なかでも「簿記・会計」を専門とするのが「ビジネスアカウンティング専修」。身につけた会計の知識などを活用して、実際の企業の財務諸表を読み解く授業もあります。その一つが3年次に開講される「企業分析プロジェクト」です。東海地方に本社を置く企業と連携し、IR情報や株価などの財務情報から企業分析をおこない、その結果を企業のご担当者にプレゼンテーションします。今年度は東海地方を中心に食品卸売業を行っている株式会社トーカン様にご協力いただき、学生たちはこれまでに培ってきた企業分析方法を用いて、さまざまな視点から課題を模索。そして2023年1月13日(金)、学生たちはA~Dチームに分かれ、それぞれの分析結果や提案を株式会社トーカン様に発表しました。

ビジネス学部 企業分析プロジェクトB

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 初めにチームCが、株式会社トーカン様の事業内容と業界環境の分析結果をまとめました。これまで取り組んできた事業や競合他社について改めて説明し、その後「政治」「経済」「社会」「技術」の4つの視点から企業を取り巻く外部的要因を分析する「PEST分析」や、企業がさらされている5つの脅威を分析する「ファイブフォース分析」の結果を簡潔に発表。ファイブフォース分析により「食品卸業界の参入障壁が低いため、新規参入しやすく、競合企業が多い」「価格競争などが起こりやすい」など、株式会社トーカン様を取り巻く業界の現状を報告しました。

ビジネス学部 企業分析プロジェクトB

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 続いて株式会社トーカン様の財務諸表分析に挑戦したチームDが、その結果を伝えました。利益率や自己資本比率などの数値を用いて、収益性・安全性・効率性について分析しました。収益性については、「売上高利益率が業界平均を下回っているものの、借入や投資をより積極的に実施することで、総合的な収益率を高められる」と考察。自己資本比率や固定長期適合率の数値を用いる安全性については、財政状態や支払能力に問題はなく「良い傾向にある」と結論付けました。しかし数値上では固定資産が有効利用されていないため、「効率性はあまり良くない」と語りました。

ビジネス学部 企業分析プロジェクトB

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 チームBでは、株式会社トーカン様の親会社にあたるセントラルフォレストグループ株式会社について分析。セントラルフォレストグループ株式会社は株式会社トーカン様と国分中部株式会社が共同株式移転による経営統合によって設立された会社です。チームBではその設立の背景や連結株式指標に焦点を当てて分析をおこないました。経営統合の目的はシナジー効果をもたらすためですが、株式指標を用いた分析や収益性分析などの結果から「設立が浅く、まだシナジー効果が発揮されていない」としました。しかし今後、省人化や業務効率化を進めることでシナジー効果が発揮され、収益力向上につながるという改善点を発見しました。

ビジネス学部 企業分析プロジェクトB

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 発表の最後を締めくくるのはチームA。チームB~Dの分析内容を踏まえた上で、株式会社トーカン様の成長性や強み、脅威などを分析し、現状の課題とその課題に対する改善策を提案しました。「強み」「弱み」「機会」「脅威」のそれぞれの要素について分析する「SWOT分析」を用いて、株式会社トーカン様と競合他社の、プラス要素とマイナス要素を抽出。その結果をもとに、株式会社トーカン様の課題として「知名度」「個人消費低迷」「取引先の偏り」などを挙げました。そしてそれらの課題を解決するために「一般消費者向けのメニューの制作」「SNSの活用」「近年好調のドラッグストアとの取引拡大」などを提案。これまでの学びと若い世代の視点を活用し、株式会社トーカン様の強みを活かした改善策を考案したようです。

ビジネス学部 企業分析プロジェクトB

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 学生たちが発表を終えたあとは、株式会社トーカン様のご担当者からコメントをいただきました。コーポレート本部の石原二郎様は、分析結果については概ね正しく、投資や提案についてはすでに社内でも同様の話がいくつか出ているということで、「2カ月ほどでここまで鋭い分析をしたことに驚きました」と、学生たちの分析能力の高さを称賛。学生たちへのメッセージとして「数字を読むことと仮説を立てることをクセ付けすると、どのような業界でも役に立つと思います」と、学生たちが社会へ踏み出した後についてアドバイスを送りました。

 取締役常務執行役員の鵜飼和広様は、今回の分析結果について「学生さんのおかげで改めて弊社の課題や取り組みについて客観的に振り返ることができました」と語り、さらに「就職活動では業界の歴史について勉強すると企業の見方が変わります」と、就職活動を直前に控える学生にエールを送りました。

ビジネス学部 企業分析プロジェクトB

企業分析プロジェクトを通して、分析力や課題抽出力などを培い、それらの力が実際に社会でも通用することを実感した学生たち。分析対象の企業からレスポンスがあることで、分析の改善点や企業の視点などを把握することができました。本授業で身につけた能力は、今後の卒業論文制作や卒業後でも活かされることでしょう。