追究

2023年03月06日

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ 卒業プロジェクト「Listen to…」

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 村上ゼミ   卒業プロジェクト「Listen to…」

2023年1月14日(土)~1月16日(月)長者町コットンビル1F

村上ゼミの学生が感情をテーマにした空間アート展
「Listen to…」を長者町コットンビルで開催しました。

 創造表現学部 メディアプロデュース専攻の村上ゼミでは、プログラミングによるインタラクティブ・メディアや特殊な撮影技法によるヴァーチャル・リアリティシステムなどの研究に取り組んでいます。時代に応じた技術や表現方法を探究し、新たなコミュニケーション手法を探求することで、情報技術による社会の変化を捉える力を学んでいます。

 2022年1月14日(土)~1月16日(月)、村上ゼミに所属する創造表現学部 メディアプロデュース専攻4年岩田真結子さんが卒業プロジェクトとして、アート展「Listen to…」を長者町コットンビルで開催しました。岩田さんは「感情を形にし、鑑賞者の感情も変化させたい」という信念のもと、愛知県立大学 油絵専攻 太田朋伽さんとの共同アート展を1年前から企画。創造表現学部 メディアプロデュース専攻4年の石原光さん、板津花奈さんを含む4名で「aGYO」を結成し、今回の展覧会に向け準備を進めてきました。

 アート展には、それぞれ「喜怒哀楽」をモチーフとした4作品が展示されています。作品の裏テーマは、「水」。多様に姿かたちを変化させる水の性質が感情を想起させることから、テーマを決めました。

 展覧会の最初にはオープニングタイトルムービーが上映されています。耳心地の良い音と水滴の落ちる様子と共に、「aGYO」のメンバーの姿と展覧会のコンセプトをまとめた美しい文章が画面に映し出されます。こちらは、撮影から編集まですべて学生がおこないました。

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 初めに鑑賞できるのは、岩田さんの作品「feel」。こちらは「喜」をテーマに制作されました。頬に沿う手から赤い糸が伸び、心を表現したハートの模型から滴る水は透明の容器に溢れるほど溜められています。「嬉しいという感情は、心が満たされている状態だと感じたことから作品を制作しました」と岩田さん。鑑賞者の心に温もりを与える優しい作品です。

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 次に展示されているのは、太田さんの「哀」をテーマにした作品「pattern」。クリアボックスの中にお湯を入れ、蒸発したことで発生した水滴が、切なさを感じさせます。こちらの作品は意図的に人の顔が反射する場所に設置しており、作品に映る自分の姿から、自身の感情について考えるきっかけを鑑賞者に与えます。

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 続いては太田さんの「怒」をテーマにした作品「hope」。こちらは2つの油絵から成る作品です。左の作品には、バケツに黒い水が溜まっている様子で怒りを表現。右側の作品には、犬の餌皿に盛りつけられた大量のドッグフードを描き、満杯の餌もいつかは無くなることから、期待の裏に隠された負の感情を表しています。
 最後の作品は岩田さんの作品「Space with you」。ミックスメディアを利用した、視覚、聴覚、嗅覚で感じられる作品です。親しい人との別れを作品のテーマとしており、パートナー目線で映し出される映像とピアノの音、コーヒーの香りから、懐かしくも悲しい思い出をよりリアルに演出しています。

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 展覧会では、鑑賞者の感情の変化を可視化させるための工夫がおこなわれています。鑑賞者は初めにタブレット端末で自分のニックネームを登録。作品を鑑賞し、「喜怒哀楽」いずれかの感情を、作品ごとに置かれた端末から記入します。その後、展示室の最後に設置されたモニターで、自分の感情が作品ごとに、どのように変化していたのかをモニターで確認することができるのです。学生たちは、集計結果を数値で表すのではなく、感情ごとに定めた色の割合で表示することで、鑑賞者が自分の感情についてより瞬間的に理解するよう工夫。展覧会のコンセプトに沿った素晴らしい試みは、企画からシステムの構築まですべて学生がおこないました。

 1年を通し、学生たちが自分の力で作り上げたアート展と作品は、感情についての新たな発見を鑑賞者たちに与えたのではないでしょうか。修得した経験をもとに、学生たちは輝かしい将来に向かって今後の活動に励むことでしょう。

学生インタビュー

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創造表現学部 メディアプロデュース専攻 4年
岩田真結子さん

 メンバーそれぞれが自分の強みを活かせたことで、よりクオリティの高い展覧会になりました。私一人では開催までたどり着くことができなかったと感じており、本当に感謝しています。
 高校生の時から形にしたいと考えていた、感情をテーマにした空間アート展を実現させることができ、とても嬉しく思います。展示作品にはそれぞれテーマとした感情がありますが、鑑賞者の方の結果をみると、やはり人それぞれ感じ方が異なることが分かりました。また、鑑賞者の方から直接、作品や展覧会についてお話をいただけたことで、今後の自分の糧になる意見を修得できたのは、大きな収穫であったと感じています。
 展覧会全体を通して、自分の目標である「鑑賞者の感情の変化」が達成できたと同時に、人の感情についての取り組みを続けたいと感じるよい経験になりました。今後はイベントや美術展の企画に携わる仕事に就きたいと考えています。卒業プロジェクトで得た経験を発揮し、仕事に取り組みたいです。