追究
2023年03月22日
創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 卒業プロジェクト 最終審査会
2023年1月27日(金)・28日(土)長久手キャンパス 8号棟5階 プレゼンテーションルーム
約1年をかけて建築やインテリアについて研究し、
これまでの学びの集大成を先生方にプレゼンテーションしました。
建築・インテリアデザイン専攻では、専攻の学生専用の施設・設備が充実しており、工学系大学と同等のカリキュラムが整っています。そのような学習環境の中で、建築・インテリアデザインの基礎から応用までを学び、歴史・文化・環境・経済などの社会を広く捉える視点を養います。そしてその集大成となるのが、4年次に取り組む「卒業プロジェクト」です。学生たちは自分の関心のあるテーマについて研究を進め、設計や制作、または論文の執筆に臨みます。
2022年度の卒業プロジェクトには66名の学生が参加しました。1月26日(木)~30日(月)に開催された「卒業プロジェクト展2023」では卒業制作13作品、卒業設計48作品、卒業論文5編が展示され、27日(金)には「論文最終審査会」が、28日(土)には「設計制作最終審査会」が実施されました。学生たちが自身の研究成果を本専攻の先生方にプレゼンテーションし、これまでの学びを最大限に活かして取り組んだ作品・論文を講評していただきました。
論文最終審査会
論文最終審査会では、学生たちがそれぞれ執筆した論文についてスライドを用いて発表し、教員11名による審査によって受賞者を決定します。
今年度は5名の学生が、試行錯誤の末に書き上げた力作を発表しました。建材に関する新たな実験方法や歴史的建築物の復元意義、スポーツクラブの練習場についての研究など、学生の個性が光る興味深い論文が揃いました。いずれの論文も、幾度もの分析や実験の結果をもとにした独自の切り口による考察がされており、審査員の関心を惹いていました。発表後の質疑応答では、教員から実験や分析方法、課題の抽出、考察結果などについて多角的な視点による質問や指摘が投げかけられますが、学生たちは実験データなどを用いて論理的に回答しました。
全員の発表終了後、UAD賞(最優秀賞)1名と優秀賞2名が決定しました。2022年度のUAD賞には渡邉澪さんの『ダウエル効果による内部応力の分布に関する実験方法の開発』が、優秀賞には磯谷響さんの『健康寿命延伸の観点からみた集落環境整備の在り方に関する基礎的研究~岐阜県可児市久々利を事例として~』と、塚本恵伍さんの『歴史的建築物の復元保存の意義~名古屋城天守を事例として~』がそれぞれ選出されました。見事に受賞した3編の研究成果は2月21日(火)〜26日(日)に名古屋市民ギャラリー栄で開催された「2023優秀作品展」にて展示されました。
設計制作最終審査会
設計制作最終審査会では、一次審査「ポスターセッション」と、一次審査を通過した学生による二次審査「パネル発表」が行われ、二次審査の結果をもとに受賞者が決定されます。
2022年度は、設計・制作の計61作品が揃い、道の駅や保育園、体験型ホテル、茶室など、各々の独創性が発揮されています。審査では、非常勤講師の先生も含めた計18名の教員が3名ずつのグループに分かれ、学生の作品を巡ります。そして審査員のグループが自分の作品の前に来たら、学生はプレゼンテーションを開始します。質疑応答を含め4分という限られた時間の中で、設計内容やテーマの課題、課題解決のためにどのような工夫をしたか、その作品によって何がもたらされるかなどを、できるだけ簡潔に紹介しました。発表を聞いた教員からは「なぜこのような形状になっているか」「コンセプトをもっと模型に表現すべき」といった鋭い指摘や質問があり、作品の内容だけでなく、発表の仕方や内容の伝え方についても助言しました。学生たちは、審査員の意見を真摯に受け止め、メモなどに書き残しました。
一次審査終了後、教員の投票結果を集計し、二次審査に進む作品が本年度は7作品に決定しました。見事に二次審査に勝ち進んだ学生は、改めてプレゼンテーションを行いました。一次審査で指摘された内容を踏まえ、制作の意図や注力したポイントなどを詳しく説明しました。教員から一次審査以上に踏み込んだ質問や指摘が多く投げかけられますが、学生たちは落ち着いて丁寧に回答し、作品のこだわりや自分の思いを最大限に伝えられたようです。そして厳正なる審査の結果、三輪ひとみさんの『おなじそらの下で ~母子生活支援施設現代化計画~』がUAD賞を受賞し、優秀賞には坂野未奈さんの『光陰感じる弔い ― 命ある定め 最期迎える拝送建築 ―』と石本瑞姫さんの『娑婆聖地抄』が選ばれました。UAD賞を受賞した三輪さんは「発表でうまく説明できた自信がなかったので、受賞できてとても嬉しいです」と、素直な感想を語ってくれました。今回受賞した3作品に加え、受賞には一歩及ばなかったものの教員に評価された複数の作品は、UAD賞・優秀賞に選ばれた卒業論文と同様に「2023優秀作品展」で展示され、さらに2月21日(火)には展示作品の中から極めて優秀だと思われる作品が選ばれました。
およそ1年をかけて卒業プロジェクトに取り組んできた学生たち。最終審査会で受賞した学生はもちろん、惜しくも受賞を逃した学生にとっても、最後までやり遂げたという事実が達成感や自信につながっているようです。実際に1つのテーマについて研究・調査・分析・考察を繰り返し、しっかりと形にできた経験は、彼らを飛躍的に成長させたことでしょう。卒業後、それぞれの進路先で多くの壁が立ちふさがると思われますが、4年間で身につけた力を存分に発揮し、困難を乗り越えていくことを期待しています。