追究

2023年04月25日

健康栄養学科 早期体験学習(1年生後期科目)

2023年2月24日(金)愛知淑徳大学クリニック

愛知淑徳大学クリニックでチーム医療の現場を見学。
将来、自分が管理栄養士として働く姿をイメージし、
今後の学習への意欲を高めました。

 健康医療科学部 健康栄養学科では、病院や行政機関、福祉施設などのさまざまな場で活躍できる管理栄養士を養成しています。管理栄養士としての専門性を早期から高めることを目的に管理栄養士が活躍する現場を体感できるのが1年生後期に開講される「早期体験学習」です。学校給食センター、大学内のクリニック、総合病院の現場を見学し、管理栄養士がどのような役割を担っているのか、その目で確かめます。

■名古屋大学医学部附属病院での早期体験学習の様子

 現場によって業務の異なる管理栄養士の仕事を体感することで、自分が目指すべき管理栄養士の将来像を具体化し、今後の学びへのモチベーションにつなげます。今回は愛知淑徳大学クリニックの見学の様子を紹介します。

 白衣に身を包んだ学生たちは教員による引率の下、クリニックにある内科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション室、処置室、栄養相談室などを巡りながら、それぞれの医療職の方に業務内容に関するお話を伺いました。耳鼻咽喉科では言語聴覚士の方からその役割について説明していただき、小児の言語訓練で利用する訓練室を見学しました。主に点滴や検査などを行う処置室では、看護師の方から薬品管理や測定器について解説していただき、管理栄養士との連携についても伺うことができました。

 続いて向かったのは栄養相談室。患者さんの食の不安や疑問を共有し対話を通じて食のサポートをおこなう、管理栄養士のメインの活動の場です。緊張を和らげるために、敢えて真正面を避けて配置された机や実際に使用するフードモデルなどを目にしながら、現場の空間の中で管理栄養士の業務を学びました。学生たちはそれぞれの話に真剣に耳を傾け、熱心にメモをとりながら、自分の将来のイメージを広げていたようです。

 見学を終えた後は、愛知淑徳大学クリニックの院長を務める耳鼻咽喉科医の平山肇先生、内科医師の前田惠子先生、管理栄養士の東山幸恵先生の3名による講義が始まりました。平山先生は管理栄養士の役割の一つである、嚥下障害をもつ方への対応などについて説明されました。医師や看護師、言語聴覚士と協力しながら、食事形態や栄養価、水分量を調整した献立を考えることが重要になるそうです。このように嚥下障害を含め、患者さんの栄養状態の改善には多職種連携が必要であるとして、「自分の専門外の知識を学び、患者さんへの治療につながる力を培える」と、距離の近いチーム医療が展開されるクリニックで働くことの特長を伝えました。

 内科医の前田先生からは、医師と管理栄養士の連携をテーマに、患者数が多い糖尿病の症状や対応、管理栄養士がすべきことなどをお話していただきました。「糖尿病治療の3つの柱である食事・薬・運動のうち、特に管理栄養士による栄養教育が不可欠です」前田先生はさらに、「管理栄養士の職務はクリニックの全ての科につながっています。クリニックの要となる職種であることを忘れず、今後の勉強を頑張ってほしいです」と、チーム医療における管理栄養士の重要性を語り、学生たちにエールを送りました。

 最後に教壇に立ったのは本学教員で管理栄養士の東山先生。学生たちが管理栄養士としての仕事をイメージしやすいように、糖尿病患者の事例を用いて、栄養指導の流れや相談の進め方、面談で得た情報をどのように記録管理していくかなどを具体的に解説しました。栄養相談では「患者さんの暮らし方や嗜好を汲み取ること」「病態と栄養状態を適切に評価すること」「患者さんの問題点や目標を共有すること」などを意識しながら、患者さんにとっての最善を模索しサポートをしていくことが重要になるそうです。そのほかにも適切な食事療法を判断する能力や献立を提案する力、患者さんとの信頼関係を築くためのコミュニケーション能力が必要になりますが、これらについて東山先生は「大学での学びは全て現場につながりますので、その点を意識して学んでください」とメッセージを送り、今回の講義を締めくくりました。
 早期体験学習を通して、現場の管理栄養士の業務とチーム医療における重要性について理解を深めた学生たち。将来、自分が管理栄養士として働く姿を思い描くことができ、管理栄養士の道を進むための活力につながったことでしょう。2年生になる彼らはさらに高度な知識と技術を身につけていき、3年次の栄養総合演習や臨地実習に向けて準備を進めていきます。