追究

2023年08月04日

ビジネス学部 私のシゴト学 第2回~第4回

2023年4月12日(水)~5月10日(水) 星が丘キャンパス

実際に活躍されている職業人の体験談を通じて、
「シゴトとは何か」を学び、進路を考える際の指針を見出しました。

 本学のビジネス学部では、経済や経営などビジネスに関する専門知識を学ぶだけでなく、企業や団体と連携して実践的な能力を培う機会が豊富にあります。その一環として3年次に開講されているのが「私のシゴト学」です。職業人をゲストスピーカーとしてお招きし、現場で活躍されている方々の体験談を通じて、学生がシゴトのやりがいや働くとはどのようなことであるかを学び、将来への指針を見出すことを目的としています。
 全8回ある本授業の第1回目はゲストスピーカーを迎えず、コーディネーターを担当するビジネス学部の菅野淑先生によってガイダンスがおこなわれました。今回は、第2回〜4回の授業内容について紹介します。

【第2回】4月19日 愛知淑徳大学 キャリアセンター 山本貴代 様/愛知海運株式会社 芝田 猛基 様

 最初に登壇していただいたのは本学のキャリアセンターで就職サポートを務める山本さん。近年の内定率や求人倍率などを解説し、中でも企業が内定を出す時期が年々早まっていることから「いわゆる優良企業の内定を取りたい場合は、早期からインターンシップや企業研究などの活動を進める必要があります」と、早い段階から就職活動に取り組むべきだと力強く語りました。早期の就職活動において重要となるのが情報収集とインターンシップだとして、求人票の見方や業界セミナーの活用方法、インターンシップの重要性などを説明。本格的な就職活動を控える学生たちの気を引き締め、「この先何をすべきか」について具体的なアドバイスを送りました。

 後半は前年に引き続き、愛知海運株式会社の芝田猛基様が登壇。芝田様はビジネス学部の卒業生で、現在は人事を担当しています。今回はご自身の経験を踏まえつつ採用者の立場から学生たちにアドバイスを送っていただきました。学生時代にアルバイトやサークル、ボランティア、インターンシップなどに積極的に参加し、さまざまな経験を積んだことが企業選考で役に立ったと語りました。特に自信をもって面接に臨むことが重要だとし、「色んな事に挑戦して、何でもいいから自信を持てるものを見つけてほしいです。仮に失敗しても『これではダメなんだ』と気付きを得ることができ、自分の成長につながります」と語り、学生たちはこのメッセージが胸に響いたのか、とりわけ熱心にメモしていました。

【第3回】4⽉26⽇ セレンディップ・ホールディングス株式会社代表取締役会⻑(当時) ⾼村徳康 様

 この日はセレンディップ・ホールディングス株式会社の代表取締役会長(当時)にして、ビジネス学部 浅井敬一朗先生の大学の同期生でもある高村徳康様に、ご自身の経験をもとに仕事への取り組み方やビジネスキャリアについてお話しいただきました。学生時代は野球に打ち込み、卒業後は証券会社に勤めながらも公認会計士を目指し、29歳のときに試験に合格しましたが「何となくの憧れは続かない」ということに気付いたそうです。その気持ちを抱えながら公認会計士としての経験を積んでいく中で、中小企業経営への関心が強まり、ベンチャー支援機関を設立されました。
 これまで数々のベンチャー企業をサポートし続け、いくつもの上場企業を輩出してきましたが、全てがうまくいっていたわけではなく、現在のセレンディップ・ホールディングスを起業してから7年間は苦しい時期を過ごしていました。しかし、赤字が続くベーカリーの再生事業が成功し、メディアで注目を集めるほどの大ヒット商品を生み出しました。この成功を転機として、中小企業の承継支援やプロ経営者の育成などに注力。会社の事業も安定してきたことで東証マザーズ上場を果たしました。このような結果を挙げることができた秘訣として「創意工夫をし続けてきたから」と語られました。

 また、平成初期と現在の日本企業を比較し、今後、世界や企業で求められる人材や考え方について分析されました。高村様曰く、世界的には替えの利かない「ヴィジョンを生み出せる人」の需要が大きく、問題を解決する“Skill”よりもイノベーションや感動を生み出す“Creative”が重要だそうです。最後に「夢しか実現しませんし、楽しいことしか続かないので、自分の夢や興味があるものを見つけてください」と、将来の進路を模索している学生に激励の言葉を送りました。高村さんの挫折経験やチャンスをつかみ取ったお話は学生たちに勇気や期待をもたらし、働く意欲を高めたことでしょう。

【第4回】5月10日 株式会社タチ製作所 取締役副社長 舘規世枝 様/製造部 生産推進課 課長 内田さやか 様/製造部 工作二課 早瀬太市 様

 4回目のシゴト学では、株式会社タチ製作所の取締役副社長の舘様と、管理職として会社を支える内田様、新卒3年目で若手社員の早瀬様の3名が登壇。それぞれの立場から、働き方や将来の考え方について語っていただきました。
 スマートフォン等に内蔵されている精密部品を製造する工作機械の加工や組立てを⾏っているタチ製作所では、舘様が女性経営者の視点で「職務環境の改善」に取り組んできたそうです。それまで女性が中心におこなわれていたお茶くみや清掃当番を見直すなどのジェンダー的役割の公平化や女性雇用の増加など、性別問わず働けるような環境整備を進めてきました。職務環境の改善のほか、「業務効率化の提案」「会社のブランディング&PR」「精神面で快適な環境づくり」の3点に注力。最新技術の導入やDX化を進めることで作業効率を最大化し、HPやSNSによる発信にも力を入れるように。社員にとって快適な環境を整えるために、社内イベントを積極的に開催し、社員の悩みケアにも尽力されたそうです。

 続いて内田様に就職活動の体験談と、管理職として意識されていることについて語っていただきました。ご自身の就職活動を振り返ったうえで「自分の特性を把握し、自分のカラーに合った企業を探すことが大切です」とアドバイス。さらに、「学びっぱなしではなく、学びをすぐに活かせるようにしましょう」「できるだけ短時間で物事を判断するようにしましょう」と社会に出た後の心構えを伝えました。管理職として会社のブランディングや業務効率化に奮闘されてきた内田様は個人のブランディングも重要だとして、「成果を出したらデータとして共有・報告して、自信や実績につなげてください」と、仕事をする上でのポイントを学生たちに伝えました。

 最後に学生たちと年齢の近い早瀬様から、どのように就職活動を進めていたかや仕事についてのリアルをお話しいただきました。実際に働いてみて「優先順位の付け方」と「コミュニケ―ション」が重要だと感じたそうで、多様な業務を同時進行する場合は、何から手を付けるべきかを考えて計画的に行動し、判断に悩んだ時は一人で抱え込まず、先輩や上司に相談する方が滞りなく仕事を進めることができ、自分の成長の糧にもなったそうです。最後に「就職活動は大変だと思いますが、適度にリフレッシュしながら頑張ってください」と、学生たちを気遣う優しいエールを送りました。
 副社長・管理職・若手社員と立場の異なる3名から各々の視点や考えを伺い、学生たちの仕事に対する視野が広がったようです。