追究
2023年09月29日
創造表現学部 メディアプロュース専攻 宮田ゼミ「演習Ib」 名古屋城のコミュニケーションデザイン提案
2023年4月15日(土)名古屋城
2023年4月18日(火)、5月9日(火)、7月25日(火)
長久手キャンパス アネックス・アトリエ
名古屋城の魅力と課題を現地で分析し、
さらなる集客につながるコミュニケーションデザインを提案しました。
創造表現学部 メディアプロデュース専攻では、正しい事実を把握する調査力、社会的価値のある情報を見極める分析力、ニーズを捉える企画力、わかりやすく伝えるための表現力、これらの力を総合的に身につけるため、さまざまな実践的なプロジェクトに取り組んでいます。なかでも宮田ゼミでは、学外の企業様や行政組織などと積極的に連携。今年は、名古屋城の活用を担う名古屋城総合事務所様の協力のもと、名古屋城のコミュニケーションデザインを考えるプロジェクトに挑戦しました。
今回のプロジェクトに臨むにあたり、学生たちはまず2023年4月15日(土)に名古屋城を訪問。名古屋城総合事務所の吉田祐治さんに案内していただきながら、名古屋城内を見学しました。はじめに吉田さんから、名古屋城の歴史的価値や、過去に名古屋城や城下町がどのように発展していたか、さらには最近の名古屋城の観光客などの状況について説明を受けます。続いて、復元された本丸御殿の役割や実際の装飾物を見どころについてアドバイスをいただいた後に、建物内を見学しました。
学生たちは「歴史を残すために過去から、何人もの人が関わってきたことで現在の形が造られてきたことが分かりました。より深く知ることで建物の見方も変わってくるなと思いました」「名古屋城に行ったことがなく、愛知県出身でもないのでテレビで見たことあるくらいでしたが、当時のものがそのまま残されていることにとても驚きました」「歴史に興味がある人以外にも、子供や若者の名古屋城への興味を誘うイベントがたくさん企画されていることが分かりました」といった感想を持ったようです。
見学に続いて、4月18日(火)には吉田さんに大学までお越しいただき、改めて名古屋城の歴史をはじめ、史跡・文化財を取り巻く状況、名古屋城がこれまでに取り組んできたことなどを解説していただきました。とくに名古屋城を含めた文化財は、「保存と活用」が大切です。さらに観光動向の変化として、「インバウンドの増加」「観光の質の転換」「情報発信の多様化・大量化」「コロナ禍からの回復」といったキーワードを教えていただきました。
次いで5月9日(火)には、吉田さんを含めた4名の名古屋城総合事務所の方が来校。4グループに分かれて学生たちとともに名古屋城の課題や今後の方針についてディスカッションし、情報交換・意見交換の機会をつくりました。学生からは多くの意見が出されましたが、特に要点となったのはSNSの活用とサイネージについて。SNSで名古屋城の魅力をもっと発信して若年層にアプローチすることや、看板の内容や配置を工夫し、アクセスや動線をスムーズにすることを提案。また、天守閣の復元工事中はどうすべきかなども論点に挙がりました。
名古屋城総合事務所の方々は「普段はあまり耳にできない客観的な意見を聞くことができ、新たな課題を発見できたので有意義な時間になりました」との感想をいただきました。
そして7月25日(火)、改めて名古屋城総合事務所の方々をお招きし、本プロジェクトの総仕上げとして学生たちが考案したコミュニケーションデザイン提案の最終発表をおこないました。
最寄り駅から名古屋城までの道中に改善点を見出したグループAは、イラストを用いた看板の設置を提案。看板には名古屋城についてのクイズやイベント告知、近隣のおすすめ飲食店の情報などを記載し、名古屋城へ向かっている道中も楽しめるようにしました。設置場所や大きさにも注意し、英語と中国語表記の看板も作成することで外国人観光客にも対応。名古屋城の敷地外でも城の魅力を伝え、来場者同士のコミュニケ―ションを促進できる企画発表となりました。
グループBは地元の若者のリピーターを獲得するため、ハッシュタグを付けて投稿してくれた来場者に、名古屋城内の店舗で利用可能な金券をプレゼントする特典を考案しました。来場者にシェアしてもらうだけでなく、名古屋城の公式Instagramアカウントがリポスト(他のユーザーの投稿を再投稿する機能)することで、認知や拡散を促すことも提案しています。また、名古屋城では季節ごとにイベントが開催されていることにも着目。冬のイベントに来た人に春のイベントで使える割引券を渡すといった、来場者が次の季節イベントにも行きたくなる特典を考案し、来場サイクルの創出を狙いました。
グループCもSNSを活用したコミュニケーションデザインを提案しました。SNSで名古屋城について投稿するとポイントが貯まり、一定以上のポイントを集めると「武士ランク・姫ランク」がアップし、ランクに応じたプレゼントを渡すというシステムを考えました。プレゼント内容として名古屋城天守閣のペーパークラフトなどを予定しています。
発表の際、学生たちは実際にペーパークラフトの実物を用意しており、そのクオリティの高さに名古屋城総合事務所の方々は驚きの声を挙げていました。もう一つの案として名古屋城や武士などのアクリルスタンドを作成し、ちょっと変わった「推し活」ができることを訴求。この提案もSNSでの宣伝注目度の高さから考案しました。
トリを務めたグループDは、ターゲットを絞らずに幅広い世代の人に来てもらえるよう、複数の企画を発表しました。最初に提案したのは有松絞りの織物を用いたインスタレーション(展示空間を含めて作品とする手法)。正門から本丸御殿までの通路に設置し、写真映えスポットとして話題性の向上を図りました。またスポットに合わせて写真映えするオリジナルスイーツの制作も提案。実際に名古屋のお菓子職人を養成する専門学校に連絡を取り、「実際に企画として形になったら、ぜひご協力いたします」と、好意的な返事をいただけました。ほかにも、オリジナルキャラクターのデザイン考案や、フォトコンテストの開催、インフルエンサー広告の実例紹介など、多彩な提案をおこないました。
学生たちの発表を受け、名古屋城総合事務所の方々からは「ここまで形にしていただいたことに感謝しております。私たちには思いつかないような新鮮な提案を聞けて、とても勉強になりました」と、嬉しいコメントをいただきました。
名古屋城総合事務所の方々だけでなく、もちろん学生たち自身にとっても考えの幅を広げる良い機会をいただくことができた今回のプロジェクト。実際に現地に足を運び、その目で魅力や課題を分析し、課題解決のために企画を提案するという一連の経験は、学生たちにとって大きな財産となったことでしょう。