追究

2023年10月03日

ビジネス学部主催 第2回 一日体験講座 ―高校生のためのビジネス学入門―

2023年8月22日(火)星が丘キャンパス1号館 13B教室

ビジネス学部を構成する4つの学問分野について
高校生向けの一日体験講座をおこないました。

 2023年8月22日(火)昨年に引き続き、ビジネス学部主催の一日体験講座「高校生のためのビジネス学入門」が開催されました。

 本学のビジネス学部は「経営学」「商学」「会計学」「経済学」を横断的・複合的に学び、さまざまなビジネスフィールドで活躍できる人材育成を目的としています。この講座では、「ビジネス学部の学びに触れてほしい」という思いを込め、高校生を対象にビジネス学部の専任教員が授業をおこないました。ここでは当日の内容をダイジェストで紹介します。

■1限目 経営学分野「顧客価値と『場』づくり―テルモの事例から―」浅井 敬一朗先生

 浅井先生は、製造業における経営戦略を実在の企業の事例を元に講義をおこないました。経営戦略とは、競合他社との競争に勝ち、お客様から自社製品を選んでもらうために考える計画です。そこで重要となるのが「差別化」です。他社と違い、自社の取り組みや製品にはどんな強みがあるのか。その具体例として大手医療機器メーカー「テルモ」を題材に紹介していきました。
 テルモが差別化を図るために取り組んだのが「テルモ・メディカルプラネックス」という研修の場を作ったこと。ここでは手術室、カテーテル室、ICU(集中治療室)など、現場の病院さながらの設備を持ち、お客様に自社製品を使って研修してもらうことを考えたのです。テルモはこのような施設を通じて、お客様と密接なコミュニケーションを図り、信頼関係の構築、商品開発につなげているのです。このように他社には真似できない独自の企業姿勢によって、カテーテルや人工心肺のトップメーカーとなることができたと締めくくりました。

■2限目 商学分野「モノの値段について考える」大塚 英揮先生

 大塚先生は、モノの値付けにはどのような狙いがあるのかについて講義をおこないました。店舗で売られているモノには値段がついています。その値段はそのモノを作るためにかかった費用に利益を上乗せして決めていると思われることが多いです。もちろん、そのように値付けされているモノもありますが、それだけではないと先生は話します。値付け戦略として「文脈効果」「魅力効果」「ローカルコントラスト」などさまざまな用語を解説し、企業は自社製品を出来るだけ高く売りたいので、高く売れるための戦略を緻密に考えていることを教えてくれました。価格は単なる記号であり、さまざまな工夫によって高いモノも安く感じさせることができることを学びました。
 買い物をするとき、この値段はどのようにしてつけられているのか。また手に取ったモノを高いと感じたのはなぜか?そのような普段何気なく見ている値段について、あらためて考えるきっかけになりました。

■3限目 会計学分野「アクティブラーニングで学ぶ会計学」森 洵太先生

 森先生の講義は、最初に会計学とは何かを解説し、その後会計学で重要となる「財務諸表」「貸借対照表」「損益計算書」について詳しく説明していきました。
 後半ではグループワークを実施。高校生たちを6チームに分け、実在する6企業を出しながら「これらの中で売上高が大きい順に並べてください」「営業利益率の高い順に並べてください」と先生は呼びかけます。高校生たちは皆で意見を出し合いながら、その質問に答えを出していきました。
 印象的だったのは、全国に大型ショッピングセンターを展開しているグループの営業利益率がとても低かったこと。知名度が高く、店舗数も多い企業なだけに高校生たちも驚いていました。
 この授業を通して森先生が伝えたかったのは、会計学を学ぶことで知名度に惑わされず企業の実態を把握できること。そしてその学びは、将来たとえ会計学の道に進まなくても一生役に立つこと。グループワークを通して森先生の言葉は高校生の胸に刻まれたことでしょう。

■4限目 経済学分野「経済学で考える、人と社会の『幸福』」渡邉 聡先生

 渡邉先生の講義は経済学分野。経済と幸福の関係を紐解いていきます。そもそも伝統的な経済学は「幸福はお金で買える」という考え方でした。なぜなら多くのお金を持っていれば、多くの欲しいものを買えるからです。そのため、国は国民の所得を増やすことが、国民の幸せにつながると考え、過去には「所得倍増計画」などの施策を打ってきました。しかし現代の経済学では「幸福はお金で買える」という考え方は時代遅れとし、そう言い切ることができる根拠をさまざまなデータで提示し、解き明かしていきます。
 このように経済学はその時代において常識と思われていたことを否定し、新しい時代を切り拓く価値を提示してきた学問であり、経済学を学ぶことはこれらの時代の社会に必要な“見方”を身に付けることにつながると先生はまとめました。

 すべての授業を終えた後、学部長である石坂先生が登壇し、経営学・商学・会計学・経済学のそれぞれについてアクティブに学んでいく魅力について紹介しました。
 今回、4つの授業を通して高校生たちがビジネスを学ぶことへ興味を持ち、進路選択の参考になったことでしょう。