追究

2023年10月04日

ジェンダー・ダイバーシティ表現演習  第6回成果発表公演「自分のための辞書を編む」

2023年9月2日(土)、名古屋市の北文化小劇場

「ジェンダー・ダイバーシティ」について学生が話し合い、「演劇」の脚本にしました。

 2023年9月2日(土)、名古屋市の北文化小劇場にて「ジェンダー・ダイバーシティ表現演習 第6回成果発表公演“自分のための辞書を編む”」が上演されました。
 この公演は、ジェンダー・女性学研究所が全学部全学年の学生を対象に開設する「ジェンダー・ダイバーシティ表現演習」の成果を発表するものです。この授業は4⽉からの通常授業期間と夏期集中授業期間を通じて行われ、学⽣たちはジェンダー・ダイバーシティに関するそれぞれの体験を語り合い、設定したテーマについてディスカッションし、それらの内容をもとに教員が脚本をまとめあげました。

■2023年8月30日 中日新聞に活動の様子が紹介されました >
■【YouTube】 東海テレビ 「NEWS ONE」公式チャンネルで特集されました>

作品にちりばめられた学生たちの本音が、ジェンダーを考えるきっかけに。

 授業に参加した28名の学生が7名の教員とともにつくりあげた公演「自分のための辞書を編む」。「女らしさ・男らしさ」「女の役割・男性の役割」という社会的・文化的に形成されたジェンダー(性差)について考える公演となりました。

 脚本は、「⾃分」「普通」「男⼥」などの⾔葉をピックアップしながら、様々なシーンを展開する形で構成され、学⽣たちの考えだけではなく実体験も取り⼊れることで、観客がジェンダーについて「⾃分事化」できる上演を実現しました。音楽と照明の相乗効果、指先まで考え抜かれた動き、学⽣たちの繊細な表情の変化に、観客は引き込まれていきます。世代や性別によるジェンダー観の違いを真摯に、そしてしばしばコミカルに演じ、客席に笑いが起こることもたびたびありました。「⾃分のための辞書を編む」というタイトルの通り、固定概念をそのまま受け入れるのではなく、自ら問い直していくことを学生たち自身はもちろん、観客にも期待できるほど説得力のある作品となりました。

 本研究所は、「違いを共に生きる」という大学理念から、ジェンダー規範や偏見にとらわれず多様性を認め合う教育に取り組んでいます。自分の考えを表現し、互いに認め合うことを経験した学生たちは、社会に出てからも活躍してくれることでしょう。これからも本研究所は多様性に関する学習活動をサポートしていきます。

《学生コメント》

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 2年
波多野 皓丈さん
福祉貢献学部 子ども福祉専攻4年
小田 愛実さん

 今までの人生で感じたり、体験したりしたジェンダーに関することをリストアップして、公演の土台をつくっていきました。「女の子なんだから」、「男の子なんだから」と言われた経験についてグループで話し合ったり、恋愛や結婚というテーマについて討論したり、自分らしさについて考えたりしました。その内容を先生方が脚本にしてくださり、一つの公演が完成しました。
 「私は他人から見て性的であるのか?」についても話し合い、子どもの頃からの「性教育が足りていないのではないか」という意見もあり、もし自分たちが先生だったら、次の世代にどのような伝え方をしていけばいいのだろうと考え、小中高に分けて性教育のシーンも盛り込みました。
 最終リハーサルでは不安が残りましたが、本番の出来栄えは完璧でした。練習を始めたころは、気恥ずかしさがあり、声も出ず、身体も動きませんでしたが、何回もやればやるほど真剣になり、真剣になればなるほど気恥ずかしさもなくなり、「全力でやる」それを突き詰めて、本番に至りました。
 この授業を経て、自分の思いを言語化し、話すことができるようになりました。自分が正解だと思うものが、他人から見ると違和感があり、他人の正解が自分にとっては違和感がある。そういった違いがあっても、話を聞いてみると納得できたことに驚き、視野が広がる感覚がありました。
 座学でも学べることはありますが、主体的に動く授業だからこその面白さがあります。メンバーの意見を取り入れ自分の意見が変わることも、自分を見つめ直す良い経験になりました。学部を越えて様々な人とコミュニケーションをとり作品を作るという経験は、社会に出たときに通用する力になるのではないかと思います。