追究

2023年11月15日

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 宮田ゼミ 「夕焼け姫」化粧箱・出荷箱デザインコンペ

2023年9月6日(水) 長久手キャンパス8号館 825教室

愛知県のブランドみかん「夕焼け姫」。
その専用化粧箱と出荷箱のデザインコンペが開催されました。

 高度に進化した現代のデジタル技術。その特性を理解しながら、現代社会に向けて適切な情報発信方法を考え、実践するのが創造表現学部のメディアプロデュース専攻です。中でも宮田ゼミはグラフィックデザインを中心とし、デザインの力でさまざまな課題解決をめざしています。
 以前から愛知県園芸農園課や愛知県農業総合試験場とコラボレーションし、さまざまなデザイン提案などをおこなっている宮田ゼミに、今年7月、愛知県園芸農産課から新たな依頼が舞い込みました。それは愛知県農業総合試験場が約24年の歳月をかけて開発したブランドみかん「夕焼け姫」を販売するための化粧箱と出荷箱のデザイン依頼です。
 夕焼け姫は鮮やかな夕焼け色の美しい外観や、甘みと酸味のバランスの良さが評価されており、2018年から販売を開始しています。愛知県でしか栽培できず、東三河地域や知多地域を中心にみかん農家が育てています。発売後、ブランド化に向けてさまざまな取り組みをおこなってきましたが、近年、消費者から贈答用の箱で購入したいというニーズも多数寄せられているそうです。そのため、夕焼け姫専用の県下統一デザイン箱で出荷できれば、ニーズに答えることができるとともに、PR効果もより高まるのではないかと考え、新たなデザインで化粧箱と出荷箱をつくろうと考えたのです。
 そのような経緯から、宮田ゼミの学生たちに化粧箱と出荷箱2パターンのデザインを依頼されました。デザインの決定方法は、コンペティション形式。学生たちが提案したデザイン案の中から選ばれたものが、実際に生産されることになります。募集期間は2023年7月14日~9月6日で、6日はプレゼンテーションの日に設定されました。

 当日は園芸農園課や農業総合試験場の方々に加え、農協や市役所の方々、生産者の方々が参加。 学生たちの作品を審査するために集まっていただきました。めざす箱のデザインとして県側からは夕焼け姫の高級感が伝わるデザイン、そして消費者や市場関係者などから注目されるデザインという要望がありました。その他の条件を考慮しながら、コンペにエントリーしたのは10名もの学生たち。愛知県園芸農産課の方からは「短期間なので誰も作品を提出してくれなかったら……と心配していましたが、杞憂に終わりました」と笑顔でコメントしていただきました。
 プレゼンテーションは、ひとり3~5分の持ち時間で自身がデザインした意図やこだわりポイントなどを説明していきます。高級感のあるデザインが必須条件ですが、学生それぞれが“高級感”というテーマから展開したコンセプトには多様性があり、バラエティー豊富なデザイン提案が並びました。高級感がありながらもインパクトをめざしたもの、イラストや文字のデザインに工夫を凝らしたもの、夕焼け姫というネーミングから和風なテイストをめざしたものなど、個性豊かなデザインに審査する皆さんはうれしくも悩ましい表情をされていました。

 10名のプレゼンテーションが終わると質疑応答の時間。審査員側から学生たちに向けて、作品への質問をしていただきました。「化粧箱に写真を使うのはいまのトレンドから外れているように思うが、あえて使用した意図は?」といった鋭い質問から「大学生が自身のお金でみかんを買うとしたら、どのような基準で選びますか?」といったリサーチ的なものまで、さまざまな質問が飛び交いました。最後に「私たちの想像を超えるデザイン提案がいくつもあり、驚いています。またプレゼンの仕方もロジカルで大変分かりやすかった。すべての作品のレベルが高く、選考は難しくなると思う。ありがとうございました」とご評価いただきました。また、最後に愛知県園芸農産課のご厚意による学生への参加賞のお礼として、こちらも愛知県農業総合試験場から生まれた高級ブランド梨「あいみずき」をプレゼントしていただきました。
 この後、学生たちの10作品は厳正な審査にかけられました。

【追加情報】

 数週間を要した審査の末に、化粧箱・出荷箱ともに、4年生の野村息吹さんが提案したデザインが採用されることになりました。また、今回のプレゼンに参加した同じく4年生の竹尾亜泉さんのデザイン案を使って、オリジナルグッズのクリアファイルをつくりたいという、新たな提案もいただきました。採用されたお二人、おめでとうございます!

 化粧箱については、今秋、実際に「夕焼け姫」を販売する際に活用される予定のほか、出荷箱についても来年度以降、生産が開始される見込みです。