追究

2024年03月06日

創造表現学部 メディアプロデュース専攻 宮田ゼミ「演習Ib」愛知のブドウのプロモーションデザイン

2023年9月14日(木)愛知県農業総合試験場
9月26日(火)10月3日(火)12月26日(火)⻑久手キャンパス712教室

宮田ゼミの学生が愛知県産ブドウのブランディングデザインに挑戦。
フレッシュな感性と柔軟な発想をもって、実現可能性の高い企画を提案しました。

 創造表現学部 メディアプロデュース専攻の宮田ゼミでは、「メディア社会とデザイン」をテーマに、多角的な視点をもってメディア社会における課題に向き合っています。毎年、学外との共同プロジェクトに取り組んでいるのも宮田ゼミの特徴で、2023年度は愛知県のブドウを題材としたデザイン提案に挑戦。愛知県農業総合試験場でブドウがどのように栽培されているかを見学し、専門家から愛知県の農業についてのお話を伺ったうえで、愛知県産のブドウがもっと地域の人びとに親しんでもらえるようにするためのデザインを考えていきました。

 2023年9月14日(木)に訪れた愛知県農業総合試験場では、実際にブドウ栽培の様子を見学。栽培方法や品種について細かく説明を受け、ブドウ作りの難しさと奥深さを学びました。近年は種無しかつ皮ごと食べられる品種がトレンドで、特にシャインマスカットが人気です。学生たちはシャインマスカットと巨峰、クイーンニーナという3つの品種を食べ比べさせていただき、実際にそのおいしさと違いを体感した上で、ブドウをどのようにプロモーションしていくかを検討していきました。

 9月26日(火)と10月3日(火)には、愛知県農業総合試験場と愛知県 農業水産局 園芸農産課の方々にご来校いただき、愛知県の農業やブドウの品種、果樹のブランド化などについてのレクチャーを実施。県内の農産物やブドウの品種改良などについて改めて詳しく解説していただき、デザインを企画していく上で必要となる理解を深めました。愛知県が取り組んでいる果樹のブランド化についてのお話では、ブランディングに関する基礎知識や愛知県のブランド事例を紹介。今回の取り組みについて、「生産者(生産量)の増加」「競争力(知名度)の向上」「果樹農業の利益向上」の正のスパイラルを起こすことに最終目標に設定し、学生たちに目標達成できるようなフレッシュで効果的なアイデアを期待されていました。

 4グループに分かれた学生たちは、レクチャーから2か月後の11月28日(火)、グループごとに考えているデザイン提案の中間発表会を実施。そして12月26日(火)には、改めて愛知県農業総合試験場と園芸農産課の方々をお招きし、中間発表後にブラッシュアップしたそれぞれのデザイン提案を発表しました。

 まずAグループは、ブドウに興味を持ってもらうための施策として、「tiny」と題したキャンペーン展開を提案しました。愛知県で生産しているさまざまな品種のブドウを、小さいパッケージに小分けして値段を抑えることで買いやすくし、食べ比べができるようにしました。一目で品種が分かる可愛らしいパッケージデザインやリーフレット、ロゴも考案。ワインレッドを基調としたシンプルなデザインで、消費者の目に留まるように設計されています。農業総合試験場の方からは小分けによるコスト高を課題として捉えてらっしゃいましたが、「小さくてたくさん種類がある方が若い人には手に取ってもらいやすい」と、Aグループの提案に肯定的な意見もいただきました。

 20代~30代女性をメインターゲットに据えたBグループは、ブランドロゴと体験型施設の2点でのアプローチを図りました。ロゴデザインは「あいちのぶどう」という文字を中央に配置したシンプルなブドウのイラストで、全体的に丸みを帯びているのが特徴です。体験型施設としては、ブドウ狩りをアップデートさせてカフェテリアなどを備えたリラックス空間を提案。「休日のアトリエ」をコンセプトにだれもが落ち着けるカフェテリアを考案しました。ゴールを「6次産業化による所得向上」に定め、農業、製造業、小売業を総合的に推し進めていきたいとしています。「ブドウ狩り」×「カフェ」という切り口の面白さが好評を博していました。

 Cグループは親子で楽しめる出張型イベントを企画。保育園でブドウクイズや食べ比べ、簡単なスイーツづくり体験などを実施し、子どもの食育と親世代のブドウへの関心を高めることを目的としています。体験に合わせて、ブドウ販売やブドウに関するリーフレットの配布などをおこない、ブドウへの関心が高まっているうちにさらなるアプローチをかけることで、愛知県のブドウをより身近に感じさせる狙いがあるようです。また、学生たちは「本イベントによって愛知のブドウが子どもと親の2世代から、地域へ広まっていってほしいです」と企画に対する思いを語りました。

 最後に発表したDグループは、知名度向上を一番の目的としたカフェイベントの開催を提案。ただのカフェではなく、期間限定オープンのプレミアムカフェと銘打っており、レシピ本の配布やスタッフのブドウ色のオリジナル制服着用などで他のカフェとの差別化を図っています。また、期間限定イベントで重要になるのが広報活動で、SNSをうまく活用することが求められると語りました。Instagramで統一性のある投稿を続けたり、特定のハッシュタグをつけて投稿した人にクーポン券の配布したりなど、SNS運用による認知率向上のための施策を提案しました。

 4グループの発表を踏まえ、農業総合試験場の方々は総評として「全体的に具体的で実現したいアイデアがたくさんありました。特に若者や女性へのアプローチは、私たちには思いつかないものばかりだったので、ぜひ参考にしたいです」と、学生たちの提案を絶賛。若者ならではの視点や発想は、農業のプロをも驚かせたようです。

 今回、初めて長期にわたる官学連携のデザイン提案に取り組んだ学生たち。課題の発見やターゲットの設定、アイデアの創出などを一貫しておこなった経験は、大きな財産として卒業制作や社会に出た際に役立つことでしょう。宮田ゼミでは、今後も学生たちに実践的な学びを提供し、デザインによる課題解決力や創造性の向上を後押ししていきます。