追究

2024年03月09日

文学部講演会「学校教育の基盤としての学校図書館~多様なニーズとデジタル化への対応を中心に~」

2024年1月18日(木)長久手キャンパス7B1教室

学校図書館に求められる役割と
支援の在り方について学びました。

 2024年1月18日(木)、文学部の教育学会が企画運営を務める「文学部講演会」が開催されました。講師としてお招きしたのは専修大学文学部教授の野口武悟先生。特別支援教育と図書館情報学を専門に、学校図書館サービスの在り方について研究しています。今回の講演会では野口先生に「デジタルトランスフォーメーションが進み、かつ子どもたちへの支援も多様化している学校教育での学校図書館の役割」をテーマに講演いただきました。

 講演会は、学校図書館が生まれた背景、設立の目的、期待される機能など、「学習指導要領」や「学校図書館法」の紹介から始まりました。学校図書館が読書センターとともに、学習センター、情報センターの機能を持つことを踏まえ、「子どもたちの情報活用能力を育むために、図書館を活用してください」と教員を目指す学生たちに伝えました。
 続いて、国としての学校図書館の方向性を示す「第五次子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」を取り上げ、基本的方針のひとつ「多様な子どもたちの読書機会の確保」に着目。障がいを持つ子どもや日本語指導を必要とする子ども、ギフテッド、ヤングケアラーなど、さまざまな子どもたちのニーズを踏まえた読書機会を提供することが学校図書館に求められていると解説されました。また、市川沙央『ハンチバック』にふれ、「本を読みたいというニーズは、障がいの有無に関係ない。ましてや言語の有無も関係ありません。図書館としてどう寄り添えるかが考える必要があります」と学生たちに語りました。
 そして紹介されたのが、学習障害(LD)のひとつ、文字の読み書きに困難を抱える「ディスクレシア」。文字のゆがみやかすみが生じる症状です。そんな症状を持つ子どもたちへの支援の手立てとして、読み上げ機能や拡大機能などICTを活用したサポートを紹介。そのほか、リーディングトラッカーや易しい日本語で書かれたLLブック、マルチメディアDAISYなど、多様なバリアフリー資料をご説明いただきました。

 学校図書館のデジタル化について、「これまでの紙の資料で行ってきた的確な選書と同様に、司書や司書教諭が中心となって、良質なデジタルコンテンツを探さないといけない」と野口先生は話されます。オープンアクセスの電子コンテンツやWikipediaの扱い方、電子書籍サービス導入の留意点など紹介いただき、これから学校図書館に関わる学生にとっては学びになるものばかりでした。最後に、野口先生は「学校図書館のこれからを考えると、アナログとデジタルをどう組み合わせていくかが課題です」と話し、「教員になった際には、ぜひとも図書館を子どもたちとともに使って欲しい」とまとめました。

 教育の現場では、学校図書館を活用した探究学習が益々重要になっています。学生たちはこれからの学校図書館、教員に求められる役割を学ぶことができたでしょう。本学では、今後もさまざまな講演会を開き、学生たちの視野を広げ、学びを深める機会を提供していきます。