追究

2024年04月01日

【教志会】第9回教員養成特別講座

2024年1月31日(水)長久手キャンパス

各教科のプロを講師としてお招きし、
適切な指導法や教員になる上での心構えなどを教えていただきました。

 本学には、「教志会」という教職課程履修者と教職に従事する卒業生をつなぐコミュニティがあります。教志会とは「教育に志す者の会」の略で、学生が企画運営をおこない、現職教員との交流会や教職内定者による教員採用試験の体験発表会などを実施しています。その一環として開催されているのが「教員養成特別講座」で、愛知県総合教育センターの先生方を講師としてお招きし、模擬授業を通して授業展開のポイントなどを教えていただきます。以下では、第9回の特別講座の様子を教科ごとにご紹介します。

国語 水野司麻先生

 国語は他教科のように、問いに対して明確な解答が定まっていないケースが多く、評価が難しい科目だといえます。そこで水野先生は、評価方法について指南されました。学生に決められたテーマに沿ってスピーチをしてもらい、「問いに対する自分の考えと理由を明確に述べているか」「話の展開や構成を工夫して分かりやすく述べているか」などを基準に、他の学生がそのスピーチ内容を評価。その評価や感想を他の学生と共有することで、視点や考えの幅を広げました。

英語 井上祥子先生

 前回に引き続きご来校いただいた井上先生は、教員の行動と生徒の期待のギャップを解説。教員がやりがちなSOS(しゃべりたがる・おしえたがる・しきりたがる)と、生徒が期待する3K(きづきたい・かかわりたい・きめたい)を説明していただき、SOSを控えて生徒の3Kを尊重することが大切だと話されました。また、生徒の興味を高める工夫をすることや、言語活動を充実させること、英語に自信を持たせることなどを指導の留意点としてアドバイスをいただきました。

社会 志賀充規先生

 志賀先生は、学びの意欲を高める導入の大切さを力説されました。模擬授業では、中学1年生の地理を想定し、「愛知県は東日本と西日本のどちらか」をテーマに授業を展開。周波数やエスカレーターで立つ位置、話しかけかたなどのさまざまな文化や視点から分析しました。志賀先生は「このように、授業の始めに生徒にとって身近な地域を題材とすることで、地理への興味を持ってもらうことができ、日本全国に関する勉強もしやすくなります」と伝えました。

保健体育 渡辺美穂先生

 前半はどんな生徒でも楽しめるオリジナルの競技を紹介し、学生たちがそれらを体験しました。腰に付けたタグを取られないように相手を抜き去るタグ取りゲームや、安全性の高いウォーキングラグビーなどに取り組み、学生たちはとても盛り上がりました。後半では、体育教員の1日のスケジュールや魅力を紹介。渡辺先生は「運動するだけでなく、『する、見る、支える、知る』の全てが体育やスポーツの面白さであり、そのことを将来の生徒たちにも伝えてほしいです」と、学生たちへのメッセージを送られました。

幼稚園 長谷川智子先生

 長谷川先生は、幼児向けの遊びうたを紹介されました。学生たちも自分の知っている歌を披露。手や体を大きく動かしながら、園児を相手にしているかのように笑顔でハキハキと歌っており、会場はとても明るい雰囲気に包まれていました。質疑応答の時間では、「担任を持つことに自信が持てないのですが、心構えなどはありますか」という質問が。学生の不安に対し、長谷川先生は「上手にやろうと考えなくていいので、とにかく1年間がんばってみてください。私は今でも1年目に担当した園児の名前を覚えています。それくらい大変でしたが、愛おしく感じますから」と、ご自身の経験をもとにしたエールを送っていただき、講義は終了しました。

小学校 杉浦直樹先生

 杉浦先生は小学校の学習評価を中心にお話を展開。評価の目的や方法、「誰が誰を評価するか」などを改めて学生たちに伝えられました。また指導と評価を区別するのではなく、一体化させることが重要だと強調されました。「生徒に身につけさせたい資質や能力などの目標を設定し、目標に向けて指導をおこない、生徒が目指すべき成長を遂げられたかを評価する」ことで、効果的な教育につながるそうです。最後に「失敗しても問題ないですし、わからないことはどんどん先輩の先生に聞いてください。とにかく学ぶ姿勢を持つことが大切です」と、小学校教員をめざす学生たちに優しいエールを送っていただきました。

特別支援 西島謙一先生

 西島先生の講義では、特別支援のクラスや施設で活用されている補助具やICTを中心に紹介していただきました。とくにICTについては教員の負担を軽減するために導入する学校も少なくないようで、タブレットPCや大型ディスプレイ、視覚認証を用いた機器など多様なデジタル技術が用いられています。これらを存分に活用して、子どもたちの背景や何を困難に感じているかを把握することで、「一人ひとりの特性に応じた適切な指導」を実現するのが理想だと語られました。