追究
2024年04月24日
第12回ビジネス学部インナーゼミナール大会
2024年2月28日(水)星が丘キャンパス
専門分野の異なるゼミ同士が、実在する企業を比較分析。
それぞれの学びを生かして、企業の強みと弱みを研究しました。
「経営学・商学・会計学・経済学」を中心にビジネスに関する高度な知識の習得をめざすビジネス学部。専門性を高めるため、1年次の後期から「ビジネスイノベーション専修」「ビジネスアカウンティング専修」「グローバルビジネス専修」の3つに分かれていますが、各専修は連携しており、領域の枠を超えてビジネススキルを磨けるのが本学部の魅力です。
2年次に取り組むインナーゼミナール大会では、同じ業界の2企業について、専門分野の異なるゼミ生が独自の視点から研究し、より優れているのはどちらかを討論します。2024年2月28日(水)に開催された第12回大会では、6ゼミ・19チームが6つの分科会に分かれて参加。初めに各チームが約半年かけて取り組んできた分析・考察結果を発表し、3年生の議長団による司会進行のもと、2つの論点について議論を展開しました。
以下では、各分科会の議論の様子をダイジェストで紹介します。
【分科会1】三菱ケミカルグループ vs 住友化学
参加チーム:浅井ゼミ、森ゼミ、新井ゼミ
担当教員/議長団:傅先生/傅ゼミ
化学品メーカー2社を経営者および投資家視点から比較した分科会1。「経営戦略の観点から5年後により成長を見込める企業はどちらか」という論点では、3グループとも三菱ケミカルグループだと回答。住友化学の一部セグメントで大赤字を出してしまっている現状から、三菱ケミカルが住友化学の赤字よりも下回ることはないと判断したようです。2つ目の論点「どちらの企業に投資すべきか」では、2グループは三菱ケミカルを選択しましたが、1グループは住友化学を選びました。三菱ケミカルのほうが安定性は高いですが、住友化学の新薬開発によるハイリターンを狙うゼミもいました。
【分科会2】サイゼリヤvs 壱番屋
参加チーム:前田ゼミ、傅ゼミ、浅井ゼミ
担当教員/議長団:三矢先生/三矢ゼミ
飲食店チェーンを運営する2社について分析した分科会2では、財務力と投資対象としての優劣が論点となりました。各ゼミの分析の結果、資本の安全性や適応力の高さからどちらの論点においても壱番屋のほうが優れているという結論に至りました。担当の三矢先生は「発表内容やプレゼンの仕方に改善点の余地はありますが、限られた時間でこれまでの勉強の成果を発揮できていたと思います」と、学生たちに労いの言葉を届けました。
【分科会3】ATグループvs VTホールディングス
参加チーム:三矢ゼミ、森ゼミ、新井ゼミ
担当教員/議長団:前田先生/前田ゼミ
分科会3では自動車販売を担う企業を比較。「5年後に成長が見込めるのはどちらか」という論点では、世界シェアや総資産利益率の成長性の高さからVTホールディングスに軍配が上がりました。もう一つの論点「今後どのような経営戦略を行うことによって経営成績を伸ばしていくのか」では、ATグループについて、オンライン販売に力を入れることで顧客満足度の向上につながると考えました。議長団の3年生は「ATグループは上場廃止によって情報収集が難しいなかで、定性的・定量的に分析できたのはすばらしいと感じました」と、2年生の頑張りをたたえました。
【分科会4】フジ・メディア・ホールディングス vs テレビ東京ホールディングス
参加チーム:三矢ゼミ、前田ゼミ、傅ゼミ
担当教員/議長団:新井先生/新井ゼミ
テレビの衰退が叫ばれているなかで、分科会4ではテレビ局の将来性や進むべき方針を考察しました。「将来、事業展開を有利に進めることができるのはどちらか」という論点では、3グループともテレビ東京を選択。世界的にも人気の高いアニメ配信に力を入れている点を評価したようです。「メディア業界で生き残るためにどのような施策を行うべきか」という論点では、テレビ東京は引き続きアニメコンテンツに尽力すべきという意見が挙げられました。一方、フジテレビは規模の大きさを生かし、今までにないテレビコンテンツの配信に力をいれるべきという結論に至りました。
【分科会5】コスモス薬品 vs スギホールディングス
参加チーム:三矢ゼミ、傅ゼミ、浅井ゼミ、新井ゼミ
担当教員/議長団:森先生/森ゼミ
九州を拠点とするコスモス薬品と東海地区を基盤としているスギホールディングスを4つのゼミが分析しました。経営成績を伸ばすための戦略としては、スギホールディングスは店舗の増設が、コスモス薬品については生鮮食品をはじめとする品ぞろえの強化や、キャッシュレス化への対応が挙げられました。「5年後、どちらのほうが優良企業だといえるか」という論点では、3つのゼミが調剤部門の強さからスギホールディングスを選び、残りの1ゼミは薄利多売のコスモス薬品のほうが成長しやすいと考えたようです。結論は出ませんでしたが、両陣営ともにさまざまな角度から企業の将来性を分析しており、白熱した議論が交わされていました。
【分科会6】テルモ vs オリンパス
参加チーム:森ゼミ、傅ゼミ、前田ゼミ
担当教員/議長団:浅井先生/浅井ゼミ
医療機器を扱う2社について、まず「どちらに投資すべきか」を議論した分科会6。本論点では、財務状況の安定性や多角的な事業展開などの要素から、全てのグループがテルモに投資すべきという結論に。論点2の「医療機器業界で生き残るためには、今後どのような動きをするべきか」では、両社ともに海外に生産拠点を置くといった海外投資や、遠隔医療・在宅医療システムの開発などによって新しい付加価値を創出することが必要だという意見が出ました。担当の浅井先生は、「テーマは難しかったですが、医療機器のコモディティ化による新規参入の脅威やDX化の遅れなど、これらの視点が出てきたことはすごいなと思いました」と、各社の強みだけでなく弱みをしっかりと分析していたことを指摘されました。