追究

2024年12月12日

ビジネス学部 専門教育科目「私のシゴト学」第2回~第4回

2024年4月24日(水)~5月8日(水) 星が丘キャンパス55A教室

立場や業界の異なる職業人に体験談をお話しいただき、
就職活動を控える学生たちがシゴトの本質や意義を学びました。

 ビジネス学部では、ビジネスに関する専門知識はもちろん、現場で求められる実践的なスキルを身につける科目も数多く用意しています。3年次に開講される「私のシゴト学」は、職業人の体験談を通じて、学生が「シゴトとは何か」「働くことの意義」などを学び、就職活動やキャリア設計のヒントを見出す専門科目です。
 「私のシゴト学」は、ビジネス学部 藤井先生がコーディネーターを務め、全8回の授業を開講しています。第2回~8回には、それぞれビジネスの現場で活躍されているゲストスピーカーにお越しいただき、ご自身の体験談を語っていただきました。今回は、第2回~第4回の授業を紹介します。

【第2回】4月24日
愛知淑徳大学 キャリアセンター 山本貴代 様/愛知海運株式会社 芝田 猛基 様

 第2回は前半と後半に分かれており、前半は本学のキャリアセンターで就職アドバイザーを務める山本さんにご登壇いただきました。初めに就職活動のスケジュールが年々早期化していることに触れ、合同業界セミナーやインターンシップに参加すべきだと語られました。特に、インターンシップについては「普段の企業研究だけでは得られない貴重な情報を収集できる」「早期内定につながる可能性がある」など、参加することの重要性を強調されました。
 続いて、近年の企業に求められる能力として「相手の考えをしっかりと聞き入れる寛容さ」「お互いの状況を踏まえて、共通の価値観を見出す力」「試練と向き合いながら、同じ目標に向かっていく姿勢」の3点を列挙。これらを踏まえて「ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)」などの例文を紹介されました。また、自己PRでは、成果や実績だけでなく、これまでの経験で得たものを社会でどのように生かしていくかが大切だそうで、特に「一緒に働きたいと思ってもらえるかどうか」が重視されていると話されます。そのために「自分の強み」、そして「その強みを生かしてどのように周囲との人間関係を構築しているか」を把握しておくべきだと語られました。山本さんの本質に迫る言葉によって、学生たちの就職活動に対する意識を高められたことでしょう。

 後半からは、愛知海運株式会社の人事を担当されており、ビジネス学部の卒業生でもある芝田様による講演がスタート。学生時代での経験から学ばれたことや、海運業界を志望された理由、人事視点でのアドバイスなどをお話しいただきました。学生時代にアルバイトや学生団体、インターンシップなどに積極的に参加し、とにかく経験を積むことを意識されていたそうです。それらの経験を通して身につけた「一歩先を考える力」と「視野の広さ」が、海運業界で働く上で必要不可欠な論理的思考につながったといいます。

 就職活動では、多くの就活イベントに参加して企業選びの参考にしていたという芝田様。海運業界を選んだ理由として、公共性や将来性の高さも挙げられていましたが、何よりも「日本を支えている仕事がかっこいいと思ったから」と率直な思いを語られました。最後に採用者の立場から「自信をもって面接に臨むこと」「筆記試験対策」「夏前から動き出すこと」の3点を意識してほしいと、学生たちに伝えられました。

【第3回】5月1日
セレンディップ・ホールディングス株式会社 取締役CIO 髙村徳康 様

 第3回は、ベンチャー企業のサポートをおこなうセレンディップ・ホールディングス株式会社の取締役CIO 髙村徳康様にご登壇いただきました。ビジネス学部の浅井敬一朗先生と大学の同期生である髙村様は、学生時代から今日に至るまでの経験を振り返りながら、ビジネスキャリアの形成についてお話しされました。

 高校時代に「公認会計士になりたい」と思われた髙村様は、経済学部へ進学。卒業後は証券会社で勤務しながら公認会計士の勉強を続け、29歳で念願叶って資格試験に合格されました。しかし、実際の業務内容が髙村様の興味に沿わず、「憧れは続かない」という気づきを得たといいます。そのような心持ちで仕事をする中でベンチャー支援に興味を惹かれるようになり、中小企業のサポート機関を設立されました。同機関でさまざまな企業の経営をサポートし、上場企業も輩出するように。そのとき「初めて仕事が楽しく感じた」と同時に「仕事も楽しいことしか続かない」ことに気づいたそうです。
 しかし、全てが順風満帆だったわけではないようで、セレンディップ・ホールディングスを起業してからは人脈が少なくなり、最初の7年間は経営がうまくいかなかったと語られました。そういった状況下で取り組んだ赤字続きのベーカリーの再生事業に成功。開発した新商品がメディアでも注目を集めました。これがターニングポイントとなり、プロ経営者の育成や中小企業の経営近代化をはじめとした会社の事業も軌道に乗るようになったといいます。経営不振というピンチをチャンスに変えられた秘訣は「家族や仲間がいたこと」と「創意工夫を続けてきたこと」だと話されました。

 最後に、平成初期と令和の大企業を比較しながら、世界で求められる人材の特徴や創意工夫をするためのポイントを分析。問題を解決する“Skill”よりもイノベーションや共感を生み出す“Creative”が重要だと主張されました。そして「Creativeのスキルを高めるために、どんなことに対しても『なぜそれをするのか?』という疑問に思う力を身につけ、どんどん質問するようにしてほしいです」と学生たちにメッセージを送り、この日のシゴト学を締めくくりました。

【第4回】5月8日
株式会社タチ製作所 取締役 浅井竜美 様/営業部 第一グループ リーダー 野々部敦夫 様/営業部 第一グループ 吉田恭平 様/営業部第二グループ 山岡大悟 様

 スマートフォンなどに使われる精密部品や組立部品の製造を行っている株式会社タチ製作所。この日は取締役の浅井様と、営業部を指揮する野々部様、新卒4年目を迎える吉田様と山岡様の4名が登壇され、就職活動での経験談や仕事をする上で意識していることなどをお話しいただきました。

 最初に浅井様が経営者として配慮していることや、環境づくりなどについて紹介。会社を成長させるための取り組みとして、積極的なDX化をはじめとした「業務効率化」、さらなる発展につながる「新規事業・新規顧客の開拓」、SNSや各種メディアを活用した「ブランディング」、社員のモチベーションを高める「快適な環境づくり」の4点を挙げられました。また、就職活動を控える学生たちには「就職活動では自分に合った会社ではなく、自分が合わせられる会社を選んでください。そして、若いうちに自分の成長に投資してほしいと思います」と、メッセージを送っていただきました。

 続いて、野々部様が就職活動の経験談と現在の業務内容について説明されました。野々部様が就職活動をされていたときは就職氷河期といわれており、内定をもらうことすら難しかったそうです。当時の反省点として「自己分析の徹底」「できるだけ早く準備しておく」「アルバイトなどで社会勉強」「背伸びせずに飾らない自分で働ける会社を選ぶ」の4点を挙げ、学生たちにもこれらを意識してほしいとアドバイスされました。また、グループリーダーとして若手の育成や業務効率化に注力されているようで、学生たちには「元気よく挨拶し、ささいなことでもメモを取ること」が自分の成長や評価につながると話されました。

 学生たちと比較的年齢の近い吉田様と山岡様は、ご自身の就職活動を振り返りながら、学生たちに伝えたいことを発表。吉田様は、コロナ禍での就職活動が難航し、なかなか進路を決められずにいたといいます。しかし、最終的にタチ製作所というご自身にマッチした企業に入社できた経験から「内定が決まらないと焦るかもしれませんが、簡単に妥協せず、自分が納得できるまで就活を続けて欲しいです」と学生たちに伝えられました。山岡様は就職活動を始めた時期が遅かったことを後悔されている様子で、「いつコロナ禍のようなイレギュラーな事態が起こるかわかりませんので、できるときに就職活動の準備を進めて欲しいと思います」と、早い時期から就職活動を始めることを推奨されました。
 今回、経営者・グループリーダー・若手社員のそれぞれの視点からいただけたアドバイスは、学生たちの仕事選びや就職活動における大きなヒントとなったことでしょう。