追究

2024年07月24日

交流文化概論 「多言語漫才講座」

2024年6月3日(水) 星が丘キャンパス25A教室

吉本芸人を招いた異色の講義。
「お笑いの力で社会問題を解決する」という
大きな野望に多くの学生が引き込まれました。

 6月3日(水)、星が丘キャンパス25A教室で、異色の講義が開催されました。それは交流文化学部の交流文化概論。吉本興業所属のお笑いコンビ「フランポネ(敬称略)」をお招きした「多言語漫才講座」。当日はそんな一風変わった講義に多くの学生が集まりました。
 フランポネは、NSC東京の24期生で、コンビ名はフランス語を意味する「Français(フランセ)」と日本語を意味する「Japonais(ジャポネ)」を組み合わせたもの。川崎市出身のマヌー島岡さん(以下、マヌーさん)とスイス人の妻・シラちゃんの夫婦コンビです。

 講義は「僕らが『笑い』で世界を変える」と題し、まずはそれぞれの自己紹介から始まります。マヌーさんは日本語のほか、英語・フランス語・スペイン語・イタリア語・オランダ語と6カ国語を話すことができるマリチリンガル。大学在学中にイギリスに2年留学し、卒業後は旅行会社に勤務しました。2003年から9年間、ベルギーの日系企業での勤務を経て、2012年に相方のシラちゃんと結婚して帰国。帰国後は総合商社に入社し、ヨーロッパ各国を飛び回る商社マンとして働いた後、吉本興業に入るという稀有な経歴を持っています。

 お笑い芸人は人を笑わせることが仕事ですが、フランポネはそこからさらに踏み込み、芸人の視点で社会問題を取り上げ、お笑いの力で社会問題を解決しようとしています。そのため、日本に住む外国人向けのプログラムとして「漫才で覚える日本語」や障がい者向けプログラム「バリアフリー漫才」など、独自の活動を展開。地方公共団体などの依頼でこれらの活動をおこなうこともあり「誰もが簡単に参加でき、教育的に効果がある」や「漫才を取り入れた言語教育は意外性があり、おもしろい」と評価されていると言います。
 ひと通り芸人としての活動やその想いを教えていただいた後は、漫才コンビの本領を発揮。同じ内容のネタを日本語とフランス語で披露していただきました。

マヌーさん:「今日のお昼は何を食べる?」
シラちゃん:「ベジタリアンだから、やすいカレーにする」
マヌーさん:「それ安い(やすい)カレーじゃなくて、野菜(やさい)カレーでしょ」

 このネタは日本人と日本語が不慣れな外国人だからこそ成り立つもの。「さ」と「す」の言い間違えに対し、どんな間違いだったのかをツッコミで説明することで笑いが起こるわけです。

 その後、今回の講義の目玉となるグループセッション「漫才作成」に入ります。これは学生が2人1組になり、外国語を使って短い漫才を作るというもの。その際、三段オチの方式に倣い、1つめと2つめは正しく、3つめを間違えてオチにするというコツを教えていただきました。約5分間で作ったネタを学生たちに披露してもらうため、マヌーさんが「ネタを披露してもいい人?」と挙手を募ります。そこで手を挙げた2名の学生が、韓国・朝鮮語で考えた漫才を披露してくれました。

Aさん:「アンニョンハセヨ〜」
Aさん:「アンニョンハセヨ〜」
A、Bさん:「ウリヌン、【たまごラーメン】イムニダ〜」
と挨拶、コンビ名の紹介から始まって
Aさん:「ねぇねぇ、好きな動物って何?」
Bさん:「そうだなぁ。犬?」
Aさん:「うんうん、それから?」
Bさん:「猫?」
Aさん:「うんうん、他には?」
Bさん:「ぶどう?」
Aさん:「それ、動物ちゃうやろっ!」
A、Bさん:「どうも、ありがとうございました~」

 これにはマヌーさんも大絶賛!「わずか5分でよく考えてくれました」と褒めていただきました。
 昨今、多様性や多文化共生が叫ばれていますが、漫才はこのようなテーマに最適なコンテンツかもしれません。今回、学生たちはフランポネから笑いを通じて国際交流に役立てるという視点を学びました。今後、学生たちがさまざまな国際交流の場に出ていく際、きっと有用な視点となることでしょう。