追究

2024年11月14日

2024年度第2回食創造科学科学術講演会「食でつなげる地域と福祉―食を通して福祉が地域の課題を解決する―」

2024年9月5日(木) 長久手キャンパス1号棟1階多目的ホール

首藤さんの歩んできた道のりを振り返りながら、
食を通して福祉が地域の課題を解決する夢を
語っていただきました。

 食健康科学部 食創造科学科では、食材の機能と効能を探究し、健康社会に寄与できる人材を育成しています。9月5日(木)に学術講演会「食でつなげる地域と福祉―食を通して福祉が地域の課題を解決する―」が開催されました。講演者としてお招きしたのは、愛知県豊田市で一般社団法人Willの代表を務める首藤政俊様。首藤様は1985年に長久手市で生まれ、大学を卒業後、サラリーマンを経験し、福祉業界の道へ。福祉事業の立ち上げや商品の企画販売、豊田市共同受注窓口を受託するなど、精力的に活動を進め、2021年に一般社団法人Willを開所。地域の困りごとを福祉で解決することを目標に、新たなモノづくりや農福連携など、障がい者の仕事づくりと工賃向上を目指しています。

 講演会では首藤様がこれまで歩んできた道のりを振り返りながら、試行錯誤をして苦しんだことや、失敗して落ち込んだことなどを赤裸々に語っていただきました。首藤様はたとえ失敗したとしても、そこで諦めることなく次のチャレンジをしていきました。その原動力はやはり障がい者の皆さんの仕事づくりや工賃向上という目標があったからです。最近では畑仕事やブルーベリー狩り、野菜の無人販売所など、農業の方面に注力。竹のチップを分けてもらって発酵堆肥をつくり、それを畑の肥料に使うというユニークな取り組みも始めています。

 また昨年は土地を購入し、その土地で喫茶や食品加工、民間の図書館などを備えた施設をつくる計画を紹介。特に食品加工については、形が悪く廃棄しなければならなくなった野菜を使ってお菓子やジャムをつくりたいとさらなる目標を教えていただきました。このように農業や食品加工にまで視野を広げたのは、首藤様が「障がい者の皆さんが少しでも仕事の選択肢が増えるように」という想いから。これからも地域の困りごとを障がい者とともに福祉の力で解決していきたいと力強く語っていただきました。
 そして最後に首藤様から元・日本理化学工業会長の大山泰弘さんの言葉を引用し、学生にこう伝えてくれました。「人の幸せとは4つあります。一つめは『人に愛されること』、二つめは『人に褒められること』、三つめは『人の役に立つこと』、四つめは『人から必要とされること』です」。この4つのことは、すべて待っていては得られないことです。自分から行動しないと幸せはつかめないと首藤様の想いを学生に届けてくださったのではないでしょうか。

 講演が終わると質疑応答の時間を設けました。学生から「首藤さんから将来が見えない学生に対してアドバイスをいただけますか?」という質問に対して「自分の学生時代を振り返ってみると、もっと視野を広げて多くの仕事を知るべきだったと後悔しています。よく知っている仕事だけでなく、知らない仕事の中にもやりがいを感じられるものがあると思う。あと、年上の方からの話を聴くといいです。そこから自分の将来の道へのヒントになることがあるかもしれないです」と回答。また「いまの時点で首藤さんの目標の何パーセントを達成できていますか?」という問いには「ぜんぜん達成できていないです。課題はいくらでもありますから、どこまで行っても目標は達成できないように思います」と回答してくださいました。一人ひとりの学生に対し、前向きに言葉を選びながら首藤様の言葉で学生にメッセージを送っていただきました。
 食創造科学科では、これからも食に関する新たな関心を広げられるような学びを提供していきます。