追究

2024年11月29日

全国まちづくり会議2024 in ナゴヤ

2024年10月13日(日)なごのキャンパス他2カ所(円頓寺商店街、那古野地区)

建築に関わる学生たちが日頃の学びの成果を発表。
まちづくりについて学びを深めました。

 年に1回、全国各地で活動するまちづくりに関わる団体や専門家、プランナー、企業、行政、研究者などが交流するイベント「全国まちづくり会議」が初めて名古屋で開催されました。テーマは「ナゴヤのまちづくりの行方」です。戦災復興計画による都市計画が行われてきた一方で、保守的な考え方も残るナゴヤのまちづくり。会議では、各所でさまざまな催事が開催され、参加者と共にナゴヤのまちづくりを考え、新たな可能性を見出す機会となりました。
 今回、このイベントに創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻の学生たちが参加。那古野地区を敷地とした大学での設計演習やゼミ演習でのプレゼンテーションなど日頃の学びを披露する場となり、学生たちが考えるナゴヤのまちづくりに多くの人たちが関心を寄せていました。

■那古野で学生が考えたこと
(会場:伊藤家住宅)

 建築・インテリアデザイン専攻に所属する2〜3年生の学生たちが、「設計演習」の課題で、那古野地区の設計に取り組みました。住宅設計や都市計画などの観点から、名古屋の歴史を学び、新しい都市づくりを考える今回の設計演習では、「店舗併用住宅(2年生)」「住宅設計(3年生)」「道をテーマにした店舗併用住宅(3年生)」の3つの課題が設けられ、学生たちは自分の足で那古野の街を調査し、那古野の街の魅力と取り組むべき課題を見つけながら作品づくりに取り組みました。
 「全国まちづくり会議2024」では、設計演習に取り組んだ数々の作品のうち、学内コンペで選ばれた9作品がプレゼンテーションを実施。模型やスライド資料を用いながら、コミュニティや住まい、商業などあらゆる観点から那古野のまちづくりにおけるさまざまなアイディアが披露されました。
 そのうちの1人である3年生の細江さんは「分かれ、集まり、暮らす」をテーマに集合住宅を設計。歴史的町並みの保存を意識した外観をデザインし、1階には商業空間を設けてコミュニティや商業活動の促進を提案。その上で、木造家屋や細い路地などが多く火災に対して脆弱な地域性を補う工夫も随所に盛り込まれ、地域の人たちに建築・インテリアデザイン専攻での設計演習の成果を広く知っていただく機会になりました。

■学生コンペ「建築・まちづくり学生活動コンペ」公開審査会
(会場:なごのキャンパス体育館)

 建築を学ぶ学生が取り組むさまざまな活動報告を募集する「愛知建築士会学生コンペ」の第一次審査を通過した10作品が、「全国まちづくり会議2024」にて第二次審査に臨みました。
 愛知淑徳大学からは、まちづくりや都市計画を学ぶ永柳ゼミの学生がエントリー。「軽トラで元気になる街 〜まちが再生する可動式商店街〜」をテーマに新城市での軽トラ市の実態を調査しました。軽トラ市は全国各地で開催されており、まちと農山漁村をつなぐ可動式商店街として人気が高まっています。永柳ゼミの学生たちは「空間」「時間」「循環」の3つの観点から、可動式商店街と連動する商・住の空間提案とまちづくりで地域活性化を提案しました。
 参加した学生たちは「お互いの進捗を把握したり、良好なコミュニケーションを図ったりして、チームで活動するために大切なことも学べました」とコンペを通じた人間的成長も感じているようでした。

■まちづくりにつながる空き家・空き店舗リノベーションを考える
(会場:ワイナリー COMMONE 3F)

 空き家・空き店舗を活用したまちづくりのあり方を考えるセッションが、愛知淑徳大学 永柳ゼミ(都市計画・まちづくりゼミ)の主催にて開催されました。空き家や空き店舗のリノベーションに関わる専門家3名のプレゼンテーションがおこなわれ、愛知淑徳大学の非常勤講師である宮本久美子先生と卒業生の田原由紀子さんが登壇。プレゼン後の質疑応答の司会進行は、建築・インテリアデザイン専攻の中島菜月さん(4年生)と赤田啓輔さん(3年生)が努めました。

 宮本先生は名古屋市南区にあり日替わりシェフによるシェア食堂「かさでらのまち食堂 」の運営に関わり、キッチンと営業日を複数のシェフが共有する新しいレストランの仕組みを紹介。笠寺のまちの人やモノ、イベント、趣など、まちの魅力発信による地域活性化の取り組みについてもお話しいただきました。

 田原さんは岐阜県美濃加茂市太田宿を中心に、アートを通じて川・町・人をつなぎ、地域の魅力を発信するプロジェクト「きそがわ日和」の一員として活動。2023年7月にオープンしたレンタルスペース「Empty Space」にも関わり、アート・音楽・演劇・ファッション・食の展示会やポップアップショップなどジャンルにこだわらず、幅広いアートや文化によってまちの活性化を図る様子をプレゼンテーションしてくださいました。
 その他、設計事務所「studio36」の畑克敏さんからは岡崎市のイノベーション事例が紹介されるなど、新たな発想で取り組まれるまちづくりに、参加した学生たちは今までと違った着眼点を得たり、自身の将来の仕事について深く考えていたようでした。
 司会進行を努めた中島さんと赤田さんは「リノベーションは古い建築物をキレイに修復するものと思っていましたが、リノベーションによって人やまちの在り方も変わっていくと知り、建築という仕事の幅の広さを学べました」と話してくれました。