追究
2024年12月11日
交流文化学部 ランゲージ専攻 特別講演会

2024年10月15日(火) 星が丘キャンパス 講堂
韓国短編文学アニメーション映画を鑑賞。
監督によるトークショーを経て、作品や異文化への理解が深まりました。
交流文化学部では、「国籍や文化を超え、さまざまな価値観を認め合う、多文化共生に貢献できる人材を育てる」ための学びを提供しています。なかでもランゲージ専攻では英語、中国語、韓語・朝鮮語、日本語教育のスキルアップにつながる専攻プログラムを用意。海外研修などの実践的な学びを通して、現場で活躍できる人材の育成を目指しています。
2024年10月15日(火)星が丘キャンパスで、韓国短編文学原作のアニメーション映画『にわか雨』のアン・ジェフン監督をお招きし、上映会とトークショーがおこなわれました。一般の方にも公開された今回の講演会は、学生をはじめ地域の方も参加し、映画鑑賞後、監督のトークにより作品をより深く知ることができる時間となりました。
『にわか雨』とは、韓国では中学校の教科書に収録されている作品で言わずと知れた名作です。「治癒力を持つ絵、感動を呼ぶ色」に価値を置いた作品を制作する「鉛筆で瞑想」スタジオの設立者であるアン・ジェフン監督が、原作をもとに映画化しました。小川での少年少女の出会いから、山の麓までの探索、雨宿り、そして少女の死までを描いた美しく哀しい作品で色彩豊かに表現しています。
上映後、チョ先生とアン・ジェフン監督によるトークショーが開催されました。「短編文学をアニメーションとして再創作したきっかけは?」という問いに対し、「『にわか雨』は、幼い時の自分に格別な思いを残してくれました。その時からこのような素晴らしい作品を手がける作家になりたいと思っていました。その後、アニメーション作家として短編アニメーションを作ることになり、この『にわか雨』を創作したいと思うようになりました」と話されました。続けて、登場人物の描き方については、「主人公なのにどうしてかわいい顔にしないのか」とよく聞かれますが、作品の主人公であってもなるべく時代に合った平凡な顔でキャラクターを描くという写実性を重んじ、どうすれば登場人物がより魅力的に映るかについて悩みました。また、全体的に「夏の出来事」という印象が強い作品ですが、原作には晩秋の植物が描かれており、アニメーションでも、秋の色彩を豊かにするため木綿の花などを描きいれるなどで工夫してみました。などと制作の裏側について語ってくれました。
この作品を2度鑑賞したという学生からは「この映画を見た人たちにどんな思いを伝えたかったのか」との質問があり、「韓国的な情感や情緒の細密な描写により作品の基調となっている韓国文化が伝わるだけでなく、人々の中に内在する高潔な思いを奮い立たせる作品にしたいと思いました。瞬間的に生じる出会いがあり、その後は悔いなく人を愛そうという思いがメッセージとして伝わるといいな〜と思っております」と答えました。
最後にチョ先生が、「本日、韓国純文学の短編『にわか雨』をアニメーションとして再創作されたアン・ジェフン監督とのトークを通じて確認された、韓国純文学が描く韓国的な情感や情緒の動きや現れ、それを受け止める監督の目線や美意識、創作者として作品に込める思いなどは、多方面から韓国文化を理解する端緒になり勉強になったのではないかと思います」と述べ、上映会とトークショーは幕を閉じました。
短編文学アニメーションの鑑賞、監督によるトークショーを通じて、学生たちは言語に触れるだけでなく、歴史や文化についても理解を深めることができました。今回の鑑賞を契機に韓国文学にも興味を持ち、さらに理解を深めてくれることでしょう。本学は、今後も学生たちに深い学びを提供していきます。