追究
2025年02月17日
創造表現学部 創作表現専攻 大前粟生さん講演会&ワークショップ

2024年12月13日(金)長久手キャンパス 232教室
作家・大前粟生さんによる講演会を開催。
モノの声に耳を傾け、創作するワークショップをおこないました。
本学の創造表現学部 創作表現専攻では、小説、評論、詩歌、児童文学、戯曲、映画シナリオ、漫画などさまざまなジャンルの創作表現を学んでいます。学生主体で企画・運営をおこなう創造表現学会があり、ゲストスピーカーを招いた講演会や展覧会、舞台鑑賞などのイベントを定期的に開催しています。
2024年12月13日(金)、作家・大前粟生さんをお招きし、講演会&ワークショップ「モノの声は聞こえる?」が開催されました。大前さんは、2016年に短編小説『彼女をバスタブにいれて燃やす』でデビューし、小説・劇作・短歌などの創作活動をおこなっています。2020年発刊の『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』は2023年に映画化されました。今回の講演会は、この作品を主に取り上げながら進めました。
イベント前半は、大前さん、創作表現専攻 松田樹先生、大学院文化創造研究科2年 吉川結衣さんの3名によるトークセッションがおこなわれました。作家デビューについて「就職活動の気分転換のために小説を書き始めました」と振り返る大前さん。短編作品の数をこなすことで、デビューにつながったと話されます。進行役の松田先生が「小説家の意識が芽生えたのはいつですか」と質問すると、大前さんは「4年前ぐらいです。当時は書きたいと思う主題がありませんでした。何か縛りがあると、語り手がゲームの主人公のように書けるようになりました」とご回答いただきました。また、大前さんは代表作『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』を例に挙げ、小説に「モノの声」を取り入れる理由について「人間は予測不可能な行動をする存在であり、人間と対話するための準備としてモノを取り入れています。いわば、おままごとのようなものです」と説明されました。場面に登場する人物が2人だと閉ざされた関係になってしまうため、モノの視点を取り入れて3人の構成にすることで、その場を開く効果もあるそうです。
後半は、ぬいぐるみや人形の表象を研究されている大学院生の吉川さんが企画された「モノから聞こえる声に耳を傾け文章に表す」というワークショップをおこないました。学生たちはぬいぐるみや水筒などの身の回りのモノの声を想像し、書いた文章を共有。その中で最もよかったものを大前さんに評価していただきました。浴衣を着たクマの人形から想像して書いた文章に対して、「短い文章の中で時間の幅が感じられるのがよかったです」とコメントをいただきました。
質疑応答の時間では、作中で「大丈夫」という言葉を使う意図、作品を届ける層への意識、短編小説を書くコツなどの質問が学生から挙げられました。
最後に大前さんは「人の評価を気にすると創作に迷いが生じてしまいます。参考にすることはもちろん大切ですが、一文、構造などどうしても譲れない部分があれば、それを一番大事に創作を続けてください」と学生たちに向けてメッセージを送ってくださいました。
プロの作家から創作のヒントをもらえた学生たち。モノと同じ目線に立って考えた経験が、今後の創作活動に活かされることでしょう。創造表現学部では今後も、学生たちの主体的な取り組みをサポートしていきます。