追究

2025年04月02日

福祉貢献学部 学術講演会「スウェーデンの就学前教育における具体的で遊び心のある教えることと学ぶこと」

2025年2月15日(土)長久手キャンパス ミニシアター

スウェーデンの就学前教育を研究する先生をお招きし、
学術講演会を開催しました。

 本学の福祉貢献学部では、あらゆる人がその人らしく豊かな人生を送ることができる社会の実現をめざし、福祉マインドと、専門職としての実践力を備えた人材を育成しています。学部の専攻の1つである子ども福祉専攻では、保育士や幼稚園教諭を目指す学生が多く学んでいます。
 2025年2月15日(土)に開催された祉貢献学部 学術講演会では、世界で注目を集めているスウェーデンの就学前教育(小学校就学前の乳幼児を対象とした教育)について、スウェーデンのストックホルム大学で研究しているアンナ・ギュンテーハンセン先生をお招きして、具体例を交えてご紹介いただきました。

 講演のテーマは「スウェーデンの就学前教育における具体的で遊び心あふれる教えることと学ぶことーSTEAM教育プロジェクトの実践例からー」です。まずアンナ先生は、スウェーデンの就学前教育について解説。1998年に就学前教育のためのカリキュラムの策定があり、策定されたカリキュラムにおいては子どもたちの学ぶことへの焦点が当たったことを説明されました。遊び、ケア、学ぶこと、涵養、発達を統合させた内容で、子どもたちは遊び、社会的な相互作用、探求、創造を通して学ぶことを重視。観察、会話、振り返りによって学ぶことを強化する内容へと変化していきました。
 続いて2010年の改定では、学ぶことについての具体的な目標策定はないものの、就学前学校が子どもたちの発達の状況に合わせて提供すべきことの目標として、「算数、科学、言語」「ドキュメンテーション、評価」「投資としての教育」に比べ、「総合的なアプローチ」「遊び」「ケア」「子どもたちの影響」を重視することが示されました。
 現在のカリキュラムである2018年の改定では、「教える」ことを明確に定義。教えることは、子どもたちの発達と学びが常に起こるものとして、計画された内容もしくは自発的に表れた内容に基づくべきであると記載されました。さらにこの改定では、遊びの重要性を強調することを強化。遊びは発達や学ぶこと、幸福の基盤であり、子どもたちにとって遊びはそれ自体が重要な活動であると明言されています。

 スウェーデンの就学前教育の歴史について紹介した後は、アンナ先生が研究対象としているSTEAM教育について具体例を挙げた紹介がありました。STEAM教育とは、科学、技術、工学、数学に加え、芸術(ダンス、演劇、音楽、視覚芸術)を含んだ概念。「性別に関係なくすべての子どもたちにとって、より創造的でインクルーシブな教育をおこなうこと」と話されました。
 さらにアンナ先生が実施したSTEAM教育プロジェクトの具体例について写真を用いながら紹介。絵や表情の変化、個々の差などの事例を見ながら、参加者は先端教育の効果について実感したようでした。

 教育先進国・スウェーデンにおける子どもへの向き合い方や教育方法の歴史や、具体例を学ぶことができた今回の講演会。就学前教育における、教育先進国の具体的な事例は、これから保育士や幼稚園教諭をめざす学生たちのみならず現場ですでに保育者として働かれている参加者の方々にとっても、大きな学びとなったといえるでしょう。
 福祉貢献学部では、幼児教育の専門家として中心的な役割を担い得る人材、幼児教育の範囲にとどまらず社会福祉の知識をも利用して、社会が必要とすることに積極的に関われる人材の育成をめざしていきます。