追究
2026年01月08日
令和7年 心理学会講演会「医療の中の心理臨床―寄り添い、支援し、検証する―」

2025年11月14日(金)長久手キャンパス 7号棟4階741教室
心理職が医療現場でどのように活躍しているのか。
さまざまな実例を通して理解を深めました。


愛知淑徳大学心理学部では、毎年、学外から講師を招き、講演会を開催しています。今回ご講演いただいたのは、臨床心理士・公認心理師の郷実保子先生です。「医療の中の心理臨床―寄り添い、支援し、検証する―」をテーマに、総合病院の小児科や産婦人科の医療現場で携わってきた事例や研究を通じて、寄り添うこと、支援すること、そしてそれらを振り返り検証していく流れについて、わかりやすくお話しいただきました。
最初に述べられたのは、精神疾患を有する患者数が増加傾向にあることです。がんや心筋梗塞などの身体疾患にうつ病が合併すると、身体疾患そのものの経過や予後にも悪影響が及ぶことがわかっています。また、身体的・心理的変化が生じやすい周産期についても言及されました。医療現場における心理職の活躍の場は、さまざまな医療領域へ広がり、心理的支援への関心が高まっていることが学生たちに伝えられました。
医療の進歩により身体疾患の治療成績は向上していますが、患者の心の問題が取り残されることへの懸念もあります。「そうならないように、人間をトータルに見る姿勢が求められている」と語り、全人的医療について解説されました。
医療現場に従事する中で、事例の検討や振り返りを重ねてきた郷先生。講演の中盤では、「慢性的な身体疾患を有することによる心理的問題と支援」「心身症におけるアセスメントと心理支援」「周産期における心理問題への支援」という3つの研究について、実例を用いて説明されました。


1つ目は、不整脈悪化の告知後に過呼吸症状を呈した中学生女児との心理面接の経過についてです。病を抱えて生きることに加え、思春期特有の課題や過呼吸のメカニズムにも焦点を当て、本人を取り巻くさまざまな環境を調整しながら支援を行ったそうです。こうした複合的なアプローチこそが、医療における心理臨床のあり方そのものだと語られました。
2つ目は、起立性調節障害で入院となった患児の3症例を比較検討したケースです。それぞれの症例に影響していると考えられる心理状態や環境因子、そして支援のあり方について解説されました。


3つ目は、産科病院における精神的リスクを抱えた妊産婦への心理支援です。妊娠中から産後まで、周産期を通したメンタルヘルスケアは重要な課題とされています。産科病院での心理相談や、連携支援の流れなどについて説明がありました。
最後に3つの研究を振り返り、郷先生は「看護師や医師など、他職種の支えがあって心理職が活躍できる」と述べました。心理職が関わっていない時間に思いを馳せること、そして心理職の役割を他職種に理解してもらうことの大切さについても語られました。
今回の講演会は、約200名の学部生や大学院生にとって、公認心理師・臨床心理士が医療現場でどのように活躍しているのか理解を深める、有意義な時間となりました。












