追究

2025年07月22日

建築学部 志摩市の空家等利活用に向けた産官学連携プロジェクト

2025年5月24日(土)三重県 志摩市総合教育センター

三重県志摩市における空家活用に関するプロジェクトにおいて、
地域住民の方々と協働しながら、具体的な活用プランを提案しました。

 建築学部では、建築・まちづくりから住居・インテリアまで幅広いスケールで人と環境の関わりを探求する教育に取り組んでいます。中でも久保井ゼミでは、建築設計や表現の探究、建築意匠や表象の研究を専門とし、理論構築を目的とする研究活動と実践的な設計活動という両輪によって学びを深めています。
 その一環として、久保井ゼミでは「志摩市の空き家等利活用に向けた産官学連携プロジェクト」に参加しています。このプロジェクトでは、三重県志摩市大王町波切にある空家の活用について、現地調査や住民との意見交換を重ねながら、具体的な再生案の提案に取り組んでいます。

 2025年5月24日(土)には、志摩市総合教育センターにてワークショップが開催。このワークショップには、志摩市、地域建設業会、一般社団法人じゃまテラス、愛知産業大学寺嶋ゼミなどで構成されたメンバーが参加しました。今回は、これまでの現地調査や対象空家の実測調査に続く3回目の活動であり、「この地域を今度どのようなまちにしていきたいか」について、具体的なプランを話し合う機会となりました。

 当日は、まず学生たちがグループに分かれ、地域住民の方の思いや意見に耳を傾けながら、それぞれが事前に考えてきたプランを説明。その後、各チームによるプレゼンテーションがおこなわれ、具体的な提案内容が共有されました。
 提案されたアイデアの中には、対象空家の前面に道路があるという特徴を活かし、壁を取り払って全面にガラス窓を設置することで、道行く人が気軽に立ち寄れる空間とする案や、足湯スペースと畳敷きのイートインスペース、チャレンジショップを設け、地域の人や観光客が自然に交流できる場をつくる案などがありました。また、「観光客のために銭湯が欲しい」という声を取り入れ、サウナを設置する案や、1階全体を温泉施設とし、2階を民泊スペースとして活用する案も提案されました。

 その後、出てきた意見を集約し、浴室やサウナの設置場所、更衣室の有無、チャレンジショップの運営方法など、実現に向けた具体的な課題を洗い出しました。そこで一同は、改めてまちのコンセプトを「まち全体がホテル」と位置づけ、共通の意識を持って進めていくことを確認しました。次回のワークショップでは、各チームが図面を持ち寄り、より現実的なプランの検討に取り組む予定です。最後に地域の方より「10年後を見据えて、子どもたちも集まれる空間にしたい」「自分自身が来たいと思えるような設計にしてもらえたらうれしい」といった声がかけられ、会は温かな雰囲気の中締めくくられました。

 地域住民の声を受け止め、そのニーズを具体的な空間デザインへと落とし込もうとする経験ができた学生たち。建築を通じて地域の未来を形づくる手応えと責任を実感しながら、今後も真摯に提案に取り組んでくれることでしょう。本学は、これからも学生たちの学びと成長をサポートしていきます。

学生インタビュー

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻* 3年
青井 咲都さん、蜷川 凜さん、久保井聡先生
吉川 世雄さん、竹内 萌華さん

 地元の方々と関わる中で、自分たちだけでは思いつかないアイデアが生まれるのがとても面白く、貴重な経験だと感じました。自分たちのリサーチだけでは気付かないことが多くあり、会話を重ねることで見えてくる気付きの大切さを実感しました。また、今回のワークショップでは、地域の声を伺いながら、それを図面として形にしていく過程を経験できたことで、ただ考えるだけでなく、「実際に形になる」という実感を持つことができ、とてもワクワクしています。
 今年度から新たに開設された久保井ゼミに参加したのは、設計の実践だけでなく、論文を通じて建築を理論的にも深めることができるからです。新しいことに挑戦できるのではという期待があり、参加を決めました。今後のワークショップも楽しみです。

*創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻は2025年4月より建築学部となりました