追究
2025年10月14日
ビジネス学部 中小企業を学ぶ パネルディスカッション

2025年7月11日(金)星ヶ丘キャンパス55C教室
中小企業の経営者の方々に気になる質問をし、
将来、自分たちが働く姿を考えました。
ビジネス学部の授業「中小企業を学ぶ」は、愛知中小企家同友会の協力を得て、同会に所属する経営者の方々にご登壇いただき、ビジネス学部の浅井先生がコーディネーターとなってさまざまなテーマで授業を進めていくオムニバス形式の授業です。なお、浅井先生は、中小企業対策についての講義を担当しています。
この授業で学生たちは、中小企業対策の変遷、中小企業の経営戦略や中小企業が担う役割を学び、自ら働く意義について考えるきっかけを得ています。
7月11日(金)の授業では、愛知中小企業同友会の事務局次長である池内秀樹様に加え、株式会社トヨコン 明石耕作様、重機商工株式会社 城所真男様、有限会社ノエル 近藤泰子様、株式会社マイゾックス 溝口博己様の4名の経営者の皆様をお招きして、パネルディスカッションを行いました。
ディスカッションのテーマは事前に学生から募集した3つが選ばれました。
最初のテーマは「顧客満足と従業員満足はどちらを優先すべきか」です。近年では人手不足やワークライフバランスの観点から従業員の働き方改革が企業の大きな課題になっています。しかし、この質問からは、働く人に優しい働き方や環境を重視するがあまり、お客様へのサービスが手薄になるのではという懸念があります。
この質問に対し、登壇した3名の経営者は「従業員満足を優先しています」と答えました。しかし、有限会社ノエルの近藤社長は「当社は顧客満足を優先しています」と断言されました。その理由として近藤様は「職種によると思いますが」と前置きし、従業員が直接お客様にサービスをする職種の場合、お客様の喜んだ表情や感謝の言葉がそのまま従業員のやりがいにつながっているため、従業員の満足度を高めるためにもお客様の満足度を高めていると説明されました。
一方でこの質問に対しては、従業員満足を優先すると答えた経営者の中には、従業員満足を高めるために待遇面などの改善を試みているが、現実的にはまだ理想に及んでいないと答える方も。従業員を大切にしたいという気持ちがあるが、実際にはなかなか環境を整えられないという中小企業の悩みを垣間見ました。
次のテーマは「中小企業経営者の視点から考える安定性、不安定性について」。就職活動を控える学生にとって、中小企業の安定性は気になるところです。大企業と比べてどう違うのかをお答えいただきました。
この質問に対しては、多くの経営者が大企業に比べて中小企業は意思決定が早く、小回りがきく点について優位性を強調しました。さらに株式会社マイゾックスの溝⼝様はチーム単位が少人数であるため、自分のアイディアや意見が通りやすく、仕事のやりがいを得られやすいことも中小企業ならではのメリットであると付言しました。しかし肝心の安定性においては、中小企業は取引先企業の業績や社会情勢に大きく左右されることもあり、今後は自社の強みを活かした製品やサービスの開発が急務であることも多くの経営者が頷くところでした。
最後は「人生をやり直せるなら、もう一度経営者になりますか」という質問が投げかけられました。すると経営者の皆様からは一斉に笑みがこぼれ、言葉を濁す方も。しかし、ここで学生たちに力説されたことは、経営者になるかならないかに関わらず、働くことを通じて「自分が人生の主役」になることの大切さです。
ディスカッションではテーマ外の質問が飛び交うシーンもあり、学生から「就職活動では有名大学の方が優位ではないか」という質問があった際も、「有名大学だからいいということはない。学業はもちろんのこと、アルバイトやサークル活動など学生だからできることに全力で取り組む姿勢があれば、それを評価してくれる人はいる」と伝えられました。
また経営者側から「現在のアルバイト先に就職したいと思う人はいますか?」と質問されると、手を挙げた学生は少なく、これには経営者の皆様も採用のヒントを得た様子でした。アルバイトでは飲食店を中心にさまざまな経験をしたいが就職先は別と考える学生のリアルを知り、「今後の採用活動の参考にしたい」と話されました。
ディスカッションはあっという間に時間が過ぎ、学生も経営者もまだ話し足りないといった表情を見せていましたが、学生が働く意義を学べただけでなく、経営者にとっても学生たちの思いに触れることができ、非常に有意義な時間となりました。
「働くとは何か」という問いは、授業だけで答えが得られるものではありません。今回の授業を通じて、大学生活やアルバイト、そしてインターンシップなどを通じて、自分は何をしたいのかと考え続けてください。
ビジネス学部では、自らの人生を切り拓くことができるように自分と向き合う場を用意して、学生たちの将来を全力でサポートしていきます。