追究

2025年09月22日

愛知淑徳大学開学50周年記念講演会 「万博:多様性とつながり」

2025年7月19日(土) 長久手キャンパス7号棟741教室

多様な個を尊重しながら、つながりを生む。
藤本氏の建築から「違いを共に生きる」心を学びました。

 2025年4月、愛知淑徳大学に建築学部が開設されました。前身の専攻・コースから25年以上続く伝統や実績のある教育・研究を進化させ、建築、インテリア、都市計画、まちづくりにおける問題解決や、より豊かで質の高い生活創生に貢献する人材を育成します。7月19日(土)には、愛知淑徳大学開学50周年と学部開設を記念して、建築学部が講演会「万博:多様性とつながり」を開催しました。会場となった長久手キャンパスの大教室には、開場前から長蛇の列ができ、学生だけでなく地域の方々も大勢お集まりくださいました。

 ご登壇いただいたのは、世界的な建築家である藤本壮介氏です。会場デザインプロデューサーを務める大阪・関西万博の会場デザインテーマ「多様でありながら、ひとつ」が、愛知淑徳大学の理念「違いを共に生きる」に通じることから依頼に至りました。
 また、藤本氏と本学建築学部には10年前からつないだご縁があります。2015年度に、前身である都市環境デザイン専修(旧メディアプロデュース学部)の授業の一環として、「藤本壮介展 未来の未来」愛知巡回展を長久手キャンパスで開催。会場の企画から、設計、設営、会期中の運営まで学生が主体となって取り組み、藤本氏をお招きした講演会も行いました。
 今回の講演会では、藤本氏が近年に関わられた国内外の7つのプロジェクトを紹介し、建築や都市、社会における「多様性とつながり」への考察を語ってくださいました。

 “多様な個”をリスペクトしながら“つながり”をいかに生み出すか、“自然と建築”“日本の伝統建築と現代技術”など異なるものをいかにつなげるか、藤本氏はプロジェクトごとに考えを深め、建築の新たな可能性を探求されています。講演会では、スクリーンにアイデアスケッチや設計図、完成後の写真などを映し出しながら丁寧に解説くださいました。取り上げられたのは、フランス・モンペリエの集合住宅、ハンガリー・ブダペストの音楽施設、太宰府天満宮仮殿、飛騨古川駅東開発など。それぞれのプロジェクトに込めた思い、新たな建築・空間が生み出す人々の暮らしや活動の広がり、人と人、人と自然の関わり合いといったお話に、学生や地域の方々は熱心にメモをとりながら聞き入っていました。

 最後に紹介されたプロジェクトは、開催中の大阪・関西万博でした。「分断の時代といわれる今だからこそ、世界の多くの国がリアルに集まり、“多様性とつながり”を体感することに万博開催の価値がある」との思いを、会場デザインとして形にした藤本氏。大屋根リングの上から望む夕陽や、その美しい風景を多様な人々が一緒に見ていることに感動されたそうです。「万博で何らかの衝撃や希望を受け止め、多様な人々と共に世界の未来を考えていくことを体感して、この先の50年を築く力にしてほしい」と、次代を担う学生たちに語りかけてくださいました。

 講演会の締めくくりとして、質疑応答の時間が設けられました。卒業制作・卒業論文に関する学生からの質問には「今、自分がおもしろいと思うことを掘り下げることが大切。楽しみながら全力でやろう」と答え、激励のメッセージを送ってくださいました。
 2時間以上にわたり貴重なお話の数々をお聞かせくださった藤本氏の講演会。建築や空間設計から「違いを共に生きる」を学び、考える、意義深いひとときとなりました。