追究

2025年09月30日

メディアプロデュース専攻 宮田ゼミ 「演習Ⅰa」 JR壁面デザイン提案最終発表会

2025年7月8日(火) 長久手キャンパス825教室

JR貨物 東海支社様とコラボした
JR「新守⼭」駅北側の地下道壁⾯デザイン提案の最終回
学⽣らしい斬新なデザインを発表してくれました。

 本学の創造表現学科 メディアプロデュース専攻では、デジタル化に伴って多様化が進むメディアの特性を理解し、適切な情報発信ができる人材育成をめざしています。宮田雅子ゼミでは「メディア社会とデザイン」をテーマに企業とコラボレーションするなど、地域のさまざまな課題にデザインの立場から取り組んでいます。
 今回は5月から継続している日本貨物鉄道株式会社(以下、JR貨物)様へのJR「新守山」駅北側の地下道壁面デザイン提案の最終発表会。学生たちが考えたアイデアをプレゼンテーションしていきます。当日、長久手キャンパス825教室にはJR貨物の皆さま総勢10名にお集まりいただきました。

●Aグループの提案
フィルムをイメージしたデザイン
路線図をモチーフとしたデザイン

 まずAグループは、2つの提案を発表しました。一つめは「フィルムをイメージしたデザイン」。地下道の壁面は約42mの長さがあるため、その長さを生かして守山区のいまをフィルムに見立てて構成。向かって左側を過去、右側を現在となるように配置しました。コマには竜泉寺や東谷山フルーツパークなど、守山区を代表するスポットのイラストを描いています。
 二つめは「路線図をモチーフとしたデザイン」です。金山から多治見までの駅名を記し、その上に貨物列車を描くことで、JR貨物様が地域にゆかりのある存在であることをさりげなく伝えています。また、守山区のマスコットキャラクターである「モリス」の足跡を入れ、一緒に歩いているかのようなわくわく感も演出しました。

●Bグループの提案
私たちの生活を照らす
通勤・通学のモチベーションになる
地域の人や親子に長く愛される

 Bグループは3つの提案をしました。一つめのコンセプトは「私たちの生活を照らす」とし、長さ約42mの壁面を生かし、夜中に貨物列車が街並みを照らしながら走っている様子をデザイン。生活に必要なものを運ぶことで、人々の生活を明るく照らしていることを象徴的に表現しました。二つめは「通勤・通学のモチベーションになる」。モリス、フルーツパーク、しだれ桜など、守山区のモチーフをイラストにして描き、それを見ることで親子や友だちとのコミュニケーションを創出。家から学校や会社に行く道のりを表現することで、仕事や勉強のモチベーションアップに貢献するのが狙いです。三つめは「地域の人や親子に長く愛される」。こちらの案も守山区のモチーフを描いたアイデアになりますが、それに加え、子どもの成長が感じられるよう身長測定のイラストも加えているのが特長。子ども「ぼく、もうパンダに届いたよ!」、親「わぁ、本当だ! すごいね!」といった親子の会話が生まれることを願って考えました。また、デザインには虹とレールが大胆に描かれています。これは「途切れないもの」を想起させる象徴として考え、永遠の発展や成長のモチーフとして取り入れたそうです。Bグループはデザインを考えるにあたり、現地でインタビュー調査までしていたのが印象的でした。

●Cグループの提案
四季と走る未来列車

 Cグループのコンセプトは「四季と自然を運ぶ未来への貨物列車」。守山区の自然や観光名所とJR貨物の環境活動をモチーフに、四季の美しさと現在の守山区の街の未来へ願いを込めました。デザインは守山区の街を俯瞰して描かれているのが特長。これには日常の景色を客観的に見直すきっかけにしてもらいたいこと、トンネルを通る人に自分の街が絵の中にあると感じてもらいたいという想いが込められています。そうした思いがより多くの方々に伝わるように、イラストが詳細まで丁寧に描かれていることが特長です。この案で伝えたいメッセージは、四季が失われつつある現実とそれに対する問題提起。さらにJR貨物様が環境活動や社会貢献活動に注力している企業であることもさりげなく添えています。

●Dグループの提案
Feel Wall(感じる壁画)
まるごともりやま!
守山みっけ!

 Dグループは3案を発表しました。一つめは「Feel Wall(感じる壁画)」。色や形で守山区らしさを表現した案で、ピンクはマメナシのつぼみ、水色は川の清らかさ、緑は森林といった色彩豊かなデザインになっています。あえてジオメトリック(幾何学模様)にすることで、さまざまな見方、捉え方ができるようにしたところが、他のグループにはない提案でした。二つめは「まるごともりやま!」この案は守山区の文化や自然、歴史をポップなステッカーボム(ステッカーで埋め尽くすこと)で表現。これによって物理的、心理的にも落書きをしにくい環境づくりにも貢献していると言います。トンネルの暗い印象を払拭し、守山区の魅力を再発見できる効果も期待しています。三つめは「守山みっけ!」。縁の下の力持ちをテーマにまだまだ知られていない守山区の魅力(自然、物流、歴史、共住)に着目することで、暮らしの足元にある豊かさを表現しました。デザインは大きな木の根が張る地下空間にモリスが暮らすシーンを描いています。地下の暮らしというユニークな発想に加え、各テーマ(自然、物流、歴史、共住)には「支える力」を表現できるよう心掛けました。地域への愛着が深まることをテーマとしながら、物流の仕組みも同時に描くことで、JR貨物様への認知度も向上させる狙いがあります。地下の暮らしはファンタジーの世界ですが、これによって想像力がふくらみ、会話のきっかけにもなると学生たちはアピールしました。

 全グループの発表が終わると、総務の鹿田さまより総評をいただきました。「どれも素晴らしい提案でした。さまざまな課題を解決するアイデアに学生ならではの発想力を感じました。またJR貨物の想いをくみ取っていただいた提案が数多くあったのも感謝です。皆さんの提案は会社に持ち帰り、経営陣に報告させていただきます。皆さんの努力の結晶が実現するように、次は私たちが努力する番です」と話していただきました。その他の皆さまからも「学生の皆さんは最初こそ遠慮がちなところがありましたが、約2ヶ月で見違えるように成長され、すばらしい提案をしていただき、うれしいです!」、「守山区の特色をしっかりと捉えてまとめてもらいました。私も刺激を受けました」などの意見をいただきました。
 今後はJR貨物様で学生たちの提案に対して議論し、実現可能かどうかを判断していきます。これらの提案が見事に実現し、JR「新守山」駅北側の地下道壁面を華やかに彩る日が来ることを期待しています!