追究

2026年03月02日

建築系愛知16大学共同企画展 合同講評会/設計競技

2025年12月14日(日)名古屋都市センター

愛知県内の建築系学生が集う共同企画展に参加。
学生がプレゼンテーションに挑み、
設計競技では諸江ゼミの2チームが優秀賞を受賞しました。

 12月14日(日)、愛知県内の大学で建築やまちづくりを志す学生が作品を展示・発表する「建築系愛知16大学共同企画展 合同講評会/設計競技」が開催されました。毎年恒例となっているこの企画展には、本年度は県内16大学が参加しました。参加した学生たちは、合同講評会でのプレゼンテーションや、設計競技に挑戦し、日頃の学びの成果を発揮しました。

 合同講評会では、各大学の授業で取り組んだ設計課題の代表作品が一堂に展示・発表されました。各作品について、学生自身がプレゼンテーションを行い、各大学の教員が講評します。多様な作品が並ぶ中、創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻*2年 久保下さやかさんが、「空間設計Ⅱ」の授業で制作した作品「ウラをみせる ― 名古屋市美術館増築計画 ―」を発表しました。

 名古屋市美術館は、1988年に黒川紀章氏の設計によって開館しました。現在は展示スペースの狭さや老朽化が課題となっており、2033年には増築を伴うリニューアルが計画されています。久保下さんは、美術館において展示品が主役である一方で、裏方である収蔵庫などの機能も美術館を支えていると考え、“表”と“裏”の関係性を再考する増築案を提案しました。具体的には、既存美術館の背後にあたる東側に新規の展示室を配置し、収蔵庫を既存展示室と新規展示室を繋ぐように設けることで、収蔵庫も来館者の目にふれる表の空間として計画しました。さらに、既存美術館の軸線やフレームを活用しながら、プログラム上の“裏”や建築的な“裏”を改変した、都市に開かれた美術館を提案しています。
 当日は、設計プランの意図を明確に伝え、審査員の先生方からの質問にも的確に答えるなど、素晴らしいプレゼンテーションとなりました。

 続いて行われたのは、設計競技作品の公開審査です。こちらは、「にぎわいの質を問う 久屋大通南エリアへの提案」をテーマに事前に作品を募集。提出された45作品の中から優秀賞と最優秀賞が選出されます。本学からは、諸江ゼミに所属する2チームの作品が1次審査を通過し、プレゼンテーションをおこないました。

 1チーム目の作品は「換気×喚起×歓喜」。学生たちは、久屋大通公園の地下駐車場が地上と分断された存在になっていること、地下と地上には温度差があることに着目し、地下駐車場の空気を地上に排気する機能をもつ屋根を公園に設置する提案を行いました。夏は地下から屋根へと運ばれてくる冷たい空気によって太陽の熱を遮り、地面はひんやりとします。冬は地下から運ばれてきた暖かい空気によって屋根下の空気や地面があたたかくなります。この屋根の設置により、地下駐車場は栄の賑わいを静かに支える存在となり、公園は人々の活動を喚起し、人々が歓喜する賑わい空間となります。プレゼンテーション後の公開審査では、地下駐車場の空気や温熱環境に注目して発想を得ている点、屋根下に子どもたちのための空間をつくった点などが評価されました。

 2チーム目の作品は「起伏に沿う日常と祝祭-地形と賑わいのデザイン-」。こちらの作品は、久屋大通南エリアの賑わいは日常的な通行量や常設機能よりもイベント開催によって一時的に生まれるエネルギーに支えられていること、公園と周辺道路に高低差があり回遊性が乏しいこと、さらにイベント利用に偏りがあり十分に活用されていない場所が存在することなどをリサーチ。公園を日常利用するための地形の傾斜、人々が滞留する屋根の設置などにより、久屋大通南エリアに点在する広場に異なる用途を生み出し、イベント時の使いやすさと日常利用のしやすさを両立することを提案しました。公開審査では、公園の地形やイベント利用状況のきめ細やかなリサーチに基づいたプランである点、日常利用への配慮が行き届いている点などが評価されました。

 設計競技公開審査に参加した2チームは、久屋大通南エリアの課題を丁寧に読み解いた独自の提案が評価され、優秀賞を受賞しました。学生たちは、授業やゼミで積み重ねた思考と表現を存分に発揮し、地域社会の課題に建築的アプローチで向き合う姿勢を示す貴重な機会となりました。

学生コメント

創造表現学部
建築・インテリアデザイン専攻* 2年
久保下さやかさん
「ウラをみせる-名古屋市美術館増築計画-」

 名古屋市美術館は収蔵品が多く、リニューアルでは収蔵庫を拡大する必要がありましたが、来館者から閉じられたスペースが大きくなると美術館全体が閉鎖的に見えてしまう懸念がありました。それならば収蔵庫を来館者の動線として取り込み、“裏”ではなく“表“に変えればいいのではないかというアイデアが今回のプランの発端となりました。工夫したのは、裏側の大切な機能面と来館者の動線が交錯しないようにどう設計するかということです。たくさんの方が集まっていてプレゼンテーションは緊張しましたが、諸江先生に指導していただきながら練習した成果を十分に発揮することができました。

創造表現学部
建築・インテリアデザイン専攻* 3年
大村果乃子さん、山田陽人さん、棚橋美咲さん、上田彩月さん
「換気×喚起×歓喜」

 自分たちが夏に久屋大通公園の地下駐車場で涼しさを感じた実体験から、地下の空気を活用するプランを提案しました。温熱環境は私たちの専門分野ではありませんが、詳しい先生方から話を聞くなどして検証し、プランを詰めていきました。公開審査では、専門的な知識をもった建築家の方や行政の方から、自分たちの発想だけでは得られない意見やフィードバックをいただくことができ、大きな学びとなりました。初めて組んだチームでコンペティションに挑み、当初は意見の食い違いもありましたが、ディスカッションを重ねながら一つのプランに落とし込む経験ができてよかったです。

創造表現学部
建築・インテリアデザイン専攻* 3年
松澤凜さん、渡邉悠生さん、梅村慎吾さん、藤本紫乃さん、上出英翔さん
「起伏に沿う日常と祝祭-地形と賑わいのデザイン-」

 私たちは久屋大通公園の地形やイベント利用状況などを念入りにリサーチして計画・設計をおこないました。公園のイベント情報については資料がまとまっておらず、自力で検索をかけたり図書館のレファレンスサービスを利用したりするなどして、しっかりとした根拠を提示しました。そのリサーチを行政の方に高く評価してもらえたことには手ごたえを感じました。久屋大通公園は道路に囲まれており、公開審査では公園の周辺道路やインフラに考慮した案が高い評価を得ている印象でした。最優秀賞に届かなかった私たちの案には、周辺状況を読み解く視点が足らなかったと気付かされました。