追究
2026年02月05日
創造表現学会主催 講演会 「デザインをつかまえる」

2025年11月5日(水)長久手キャンパス5号棟 512教室
プロが手がけた多様な事例を通して、
デザインとは何か、ブランディングとは何かを深掘りし、
解像度を上げる機会となりました。
創造表現学部 創造表現学科 メディアプロデュース専攻の宮田雅子教授がオーガナイザーとなり、創造表現学会主催の講演会が開催されました。ゲストスピーカーは、札幌を拠点に全国各地で地域ブランディングを手がけ、話題となるプロジェクトを多数生み出しているアートディレクターの鎌田順也氏です。講演会では鎌田氏が手がけた事例を見ながら、デザインにどんな意図が組み込まれているのか、そしてアートディレクションとは何か、ブランディングとは何かを紐解いていきました。


最初に触れたのはグラフィックデザインの事例。わけあり野菜をモチーフにした農園のロゴ、「塩のみ」というネーミングのトマトジュース、わけあり野菜を表現した正円をほんの少しだけ歪ませたロゴ、寿司店の店舗ロゴや商品パッケージなど、どれもブランドの価値をイメージさせるデザインになっており、ビジュアルアイデンティティの重要性を伝えていただきました。さらに、ニセコ町役場で実現した数字のサインや子ども目線の仕掛け、庁舎に隠れる動物モチーフなどを提示。町が大切にしている子ども教育や環境問題への意識をサインに盛り込んだ例として挙げていただきました。
次はブランディングを手がけた事例として、稚内市のスーパーマーケットが運営する「北のはしベーカリー」を紹介。日本の最北端にあるパン屋であることを端的に、チャーミングに伝えるネーミングやロゴは、世界最高峰のデザイン賞で四冠を達成。それにより、広告費用をかけずに話題化し、メディア露出を増やすことに成功しました。もう一つは、北見市にある環境大善株式会社のブランディング。同社は牛の尿を発酵させて作る天然成分100%の消臭液や土壌改良材を製造していますが、牛の尿へのネガティブなイメージや科学的データの不足、パッケージデザインなどの要因から商品の本質的な良さを伝えられていませんでした。そこで鎌田氏は、商品や会社の価値を根底から見直し、リブランディングすることを提案。科学的データを証明するための研究所を設立し、社名は「環境ダイゼン」から「環境大善」へ、商品名は「KIE〜RU」から「きえ〜る」へと変更してパッケージデザインを刷新。社内の意識向上を図るインナーブランディングもおこないました。3年の月日をかけてブランディングを進めた結果、売り上げは大きく近く伸び、採用にも良い影響が出て、若い働き手が北見市に流入することになりました。
鎌田氏は、「デザインは意図的にメッセージを伝えるための計画的行為であり、ブランディングはデザインによってさまざまなものの整合性をとり、価値を磨き、それを世の中に正確に伝えることで、長期的安定経営を目指す取り組みである」と言います。さらに、「安定経営を目指すというのは、好きになってもらうということ。好きだから選ぶという状況をつくることがブランディングです」と噛み砕いた説明がありました。




質疑応答では、学生から「鎌田さんのデザインには、ひらがなや曲線を意識的に使っているのでしょうか」と質問があり、「日本語を大事にすると、曲線やひらがなが多くなります」と、答えていただきました。
講演の最後は、北海道・安平町立早来学園の校歌のミュージックビデオを視聴。校章のコンセプトを歌詞に盛り込んでキャッチーな曲にのせるなど、多岐にわたって学校のブランディングをしたケースです。多くの事例を見ながらデザイナーという仕事の領域の広さを知り、デザインとは何かを深く考える機会となった講演会。デザインに必要な知識や技術を日々学ぶ学生にとって、有意義なものとなりました。


参考: 講演会のお知らせのサイトはこちら。 鎌田氏に制作していただいたフライヤーの画像も載っています!
https://souzou.aasa.ac.jp/momp/archives/5147












