追究
2026年01月14日
創造表現学会 学生企画対談「私たちはなぜ書くのか」

2025年11月7日(金) 長久手キャンパス 133教室
「書くこと」は、どうすれば仕事になるのか。
創作活動と社会をつなげていく方法を学びました。
愛知淑徳大学の創造表現学会では、学生が主体となって講演会や展覧会などを企画・運営しています。2025年11月7日(金)には、創作表現専攻の学生たちによる企画イベント「私たちはなぜ書くのか」が開催されました。文章を書くことを仕事にしている教員から、出版や文学の現場について生の声を聞き、社会と創作をつなげていく対談企画です。今回は松田樹先生が担当する授業「現代小説」に、ノンフィクションライターで本学の非常勤講師でもある藤井誠二先生をお招きしてイベントを開催しました。


冒頭で松田先生は、現代小説の傾向について言及。「学生の作品を読んでいても多くは僕と君の中でしか作品世界が展開されず、どこか内向的で窮屈なところを感じる。だから、現実の社会の出来事、ノンフィクションとの接点を探したりして、フィクションの世界を豊かにしていく必要がある。」と述べました。
続けて藤井先生は、ノンフィクションの基本を説明。自身を取材に駆り立てるものについて、「これを書かなければ前へ進めない」という強い思いだと語りました。ノンフィクションの授業で、ある学生が通学路で見かけるホームレスの支援雑誌を売る人々に取材したエピソードにも触れ、「その取材をきっかけに、学生は自分を取り巻く世界との付き合い方を少し変えたようです」と話しました。取材とは、人とつながり、その人のことを先入観なしに知りたいという好奇心を抱えながら、少しでも信頼関係を築くことにつなげていき、できることならわかり合うこと。しかし、敵対的な取材や、対象を批判するケースも多々ありますから、相手のことを知り、理論武装し、生身の自分をさらけ出す姿勢を忘れてはならないという藤井先生。その感覚を少しでも伝えたいと、授業で取材しなければならない課題を設けたと言います。
松田先生は、「ライターや取材者はマレビト(部外者)で、外部から来るからこそ、普段とは違う見方や化学反応が起きる。小説家も同じ」と続け、作家の中上健次氏が被差別部落を「路地」と表現し、その内部の共同体とも外部の人々とも違う角度から人間を描いた作品について紹介。そして、この作品を読んで現地へ行ったとき、自分の好きな文学が本当に現実の世界に息づいていて、足元に着いた感じがしたと語り、「創作活動と現実をどう紐づけるかは、クリエイターそれぞれが生み出す化学反応。そういった感覚を体験してほしい」と話しました。藤井先生も「頭の中で考えるだけでなく、身体で感じてほしい。行動するとおもしろいことが起こる」と述べました。


松田先生は批評についても触れ、「批評とは、社会の動向や気になるニュースと、自分とのつながりを作品を間に置いて探すこと。いろいろなコンテンツを知り、議論を重ねなければ、批評はできない」と熱を込めます。さらに、「小説家も現場へ行く人もいれば、いろいろなコンテンツをつぎはぎして書く人もいる。自分の適性を探して、内にだけこもらず、この間を行き来する感性を身につけてほしい」と学生たちにエールを送りました。
書き手になる方法として、自身の経験を語る場面もあり、藤井先生は雑誌やラジオに投稿したことや、気になる著名人に仲間と作ったミニコミを送るなどを繰り返していたことがきっかけで東京の出版社から声がかかり、デビューにつながったと話しました。松田先生は、文学フリマで書いたものが売れた時の手触りやライブ感が楽しく、書き手として続けることができたと言い、「読者がいてこそ商品になるため、評価を恐れずに発信し書き続けることが大事だと思います」と学生たちに伝えていました。
後半の質問タイムでは、学生の発案で手を挙げにくい人のためにオープンチャットを活用。「実際のところ作家は稼げますか?」「ライターや批評家になるまでの挫折、就いた後の挫折があれば聞きたい」「今までで一番スリリングだったことは?」などの質問に対し、藤井先生と松田先生はアドバイスを交えながら答えてくださいました。




学生コメント

主催者
創造表現学部 創作表現専攻3年
安藤麻衣子さん
イベントの準備段階から、藤井先生と松田先生がたくさんお話をしてくださいました。書くことを仕事にしている方々は、こういうことを考えているのだと感銘を受け、私も文学フリマに出展してみようという決意につながりました。今回の企画が、ほかの学生のみなさんにとっても、いい刺激になればうれしい限りです。








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