追究

2017年04月12日

文学部 授業風景 国文学演習Ⅱ

文学部 授業風景 国文学演習Ⅱ

専門ゼミナールでは、4年間の集大成として
卒業論文を執筆。その成果を発表しています。

 日本の文学や国語学、中国文学を広く深く学び、創造的思考力を磨くことを目的としている愛知淑徳大学文学部の国文学科。3年次からはゼミナールが始まり、学生一人ひとりが自らのテーマを追究していきます。そのゼミの一つが、小倉斉教授が担当する「近代文学Ⅰ」です。主に明治・大正時代の文学を対象とし、4年次には「学生生活の集大成であり、卒業後の生き方の礎ともなる」卒業論文執筆に取り組みます。

文学部 授業風景 国文学演習Ⅱ

文学部 授業風景 国文学演習Ⅱ

 卒業論文は、読解力、課題解決力、創造的思考力、論理的文章力を身につけることを目的として作成。小倉ゼミではプレゼンテーション力を鍛えるために、卒業論文の発表会をおこなっています。授業内やゼミ合宿の時間を活用し、学生たちは自らの論文に込めた思いや執筆活動から得られた学修成果などを、ていねいに振り返り、ゼミの仲間にわかりやすく伝えました。

文学部 授業風景 国文学演習Ⅱ

文学部 授業風景 国文学演習Ⅱ

卒業論文発表 一部抜粋

川端康成『伊豆の踊り子』論、「私」の自立―川端の生涯と<美>の発見―

 「ボーイミーツガール」の作品として読まれることの多い『伊豆の踊子』を、主人公の成長譚ととらえ、分析をした論文です。さらに、読み手に美しいと感じさせる川端康成の文体の秘密にも迫りました。分析の方法として川端康成の生涯を紐解いたり、ハワイ大学での講演・「美の存在と発見」と題したスピーチの内容を検討したり、さまざまな角度から考察を加えた論文となりました。

評論文学教育の方法―文学を楽しんでもらうための前段階―

 「活字離れ」が叫ばれる中、文学が世間一般に受け入れられるためには、現在の国語教育のあり方を考え直すべきだと主張。設定したゴールは「国語が実用的な科目だ」と感じてもらうこと。そうすれば、読書の必要性が見直され、それに伴い、文学への抵抗感が軽減されるのではないかと論じました。そして、読解する技術を身につけるためには、単一の教材を扱うのではなく、広く浅く評論文学に触れることが重要だと指摘し、新たな国語教育の方法を提唱しました。

『きらきらひかる』、原作と映画との比較―<三位一体>についての考察―

 江國香織の『きらきらひかる』について、小説と映画を比較することで、それぞれの特性や表現方法について論じました。特に映画での「オリジナルストーリー」「オリジナルキャラクター」「カメラワーク」について言及。「お見合いのシーンでは、登場人物が家単位で切り取られていることから、結婚は家同士のものであったことが表現されている」と解釈するなど、シーンを細かく分析することで、小説と映画の本質に迫りました。