追究

2014年07月28日

心理学部 坂田ゼミ × 株式会社NTTドコモ東海支社 タブレットと知育アプリを活用した幼児教室

心理学部・坂田ゼミ × 株式会社NTTドコモ東海支社 タブレットと知育アプリを活用した幼児教室

タブレット端末を使った実験を、学生たちが保育園で実施。
企業と連携し、幼児の健全な発達を探究しています。

 「デジタル・ネイティブ」と称される現代の子どもと、スマートフォンやタブレット端末などのデジタル機器の関係のあり方に、心理学の視点から迫る坂田ゼミ。6月2日(月)、株式会社NTTドコモ東海支社と連携し、名古屋市内の保育園で「タブレットと知育アプリを活用した幼児教室」を実施しました。その内容は、デジタル絵本の読み聞かせ。タブレット端末から自動で流れる機械音声と、その場で読み上げる肉声では、子どもの文章理解や記憶に差が生じるのか、23人のゼミ生たちは客観的にデータを収集・分析しました。明らかになったのは、年少の子どもたちは学生が自らの声で読み聞かせたときの方が、子どもの理解度が高まったということ。この実験結果は、今後タブレットを活用した幼児教育やコンテンツ開発をめざす企業の基礎的なデータとなります。今後、学生たちはさらに実直に研究を積み重ね、「子どもの知力や感性を豊かに伸ばすデジタル機器の活用方法」を探っていきます。

心理学の学修・研究やボランティアで培った力を発揮し、企業との協働に挑む。

 認知発達心理学を専門とする坂田陽子先生のもと、坂田ゼミでは子どもの発達などを研究しています。記憶や注意能力など、日常生活に必要な認知能力が年齢とともにどう変化していくのか、実験もおこないながら追究しています。学生たちは子どもへの理解を深めるため、保健所や保育園でのボランティア活動、名古屋市内の子ども会との協働などにも主体的にチャレンジ。自ら考えて行動を起こし、学内外のさまざまな人と関わり合いながら専門性を養って、思考力、傾聴力、分析力、コミュニケーション能力、実践力などを培っています。
 こうした多様な力を発揮し、新たに挑んでいるのが、株式会社NTTドコモ東海支社との協働。スマートフォンやタブレット端末の知育アプリを提供する企業活動と、坂田ゼミの専門的な研究活動を活かし合い、デジタル世代の幼児教育の可能性を模索するプロジェクトです。

子どもたちの笑顔があふれた、デジタル絵本の読み聞かせ。

 この研究プロジェクトの目的は、子どもの力を伸ばすためのツールとして、タブレット端末や知育アプリの新たな利用方法を創出すること。その第一歩となったのが、もりの風保育園でおこなった「タブレットと知育アプリを活用した幼児教室」でした。参加したのは、年少・年長クラスに通う元気いっぱいの園児たち計55人。タブレット端末に映し出したデジタル絵本を学生たちの声で読み聞かせるグループと、機械音声を聞かせるグループ。それぞれの子どもたちがストーリー内容をどれほど理解し、記憶しているか、聞くときの集中力に差があるか、実験の一環として比較・検討しました。
 保育園でのボランティア経験を活かし、同じ目線でやさしく語りかけ、園児の笑顔を引き出した学生たち。ただ単に研究データを得ようとするのではなく、協力してくれた子どもたち一人ひとりが楽しいひとときを過ごせるよう、感謝の気持ちを込めて読み聞かせに取り組みました。

客観的、論理的な研究活動が、社会で活きる力を育む。

 読み聞かせの後、園児に対しておこなったクイズの解答をもとに、内容の理解度などを点数化。年長クラスでは肉声と機械音声の違いによる点差はないものの、年少クラスでは肉声の場合の方が高得点であることが判明しました。この数値データをもとに考えられるのは、年齢が低い子どもほど、保護者などの大人が付き添い、やりとりをしながらタブレット端末にふれさせることの大切さ。好奇心を刺激し、気づきや考えを引き出す「関わり合い」が、子どもの知力や感性を豊かに育むのです。こうした実験結果をより深く分析、考察し、学生たちは次の研究ステップへ確かな歩みを進めています。
 目には見えない心や認知能力などを研究対象とするからこそ、科学的なデータの検証、客観的・論理的な考察に努め、根拠のある成果を一つひとつ積み重ねる――研究活動の意義も学ぶ学生たちは、誠実さや粘り強さ、探究心、主体性を身につけ、あらゆる分野で活躍できる社会人へと成長しています。

※この取り組みは、メディアでも多く取り上げられました。
2014年6月2日(月) 東海テレビ「スーパーニュース」内
テレビ愛知「NEWS アンサー」内
2014年6月3日(火) 日本経済新聞(朝刊)
岐阜新聞(朝刊) 掲載記事はこちら
2014年6月4日(水) 毎日新聞 中部版(朝刊) 掲載記事はこちら
2014年6月5日(木) 毎日新聞(夕刊)