躍動

2021年01月21日

「トビタテ!留学JAPAN」にチャレンジ。スウェーデンの先進的な保育に刺激を受けました。

vol.82

教育学研究科 子ども発達専修 2年

スウェーデンの保育の魅力に触れた大学時代。

 小学生のころ、研究者だった父の知り合いのスウェーデン人が家に来ることがあり、交流するうちにスウェーデンに興味を持つようになりました。その関心は福祉貢献学科 子ども福祉専攻に入学後さらに高まり、日本の保育・幼児教育だけでなくスウェーデンの幼児教育についても学修。3年次にはスウェーデンへの研修も経験しました。現地の就学前学校でおこなわれていた、世界をテーマにした活動は大人も楽しめるような高度な内容となっており、日本との違いに驚かされました。また、子どもたちが堂々と発言する様子や、保育者が子どもに対して大人と同じように接している姿も印象的でした。このような保育なら日本の保育者ももっと楽しく働くことができるのではないかと感じ、スウェーデンの保育についてもっと深く学びたいと感じるようになりました。

「トビタテ!留学JAPAN」にチャレンジ。スウェーデンの先進的な保育に刺激を受けました。

父との約束を果たすため、トビタテ!留学JAPANに応募。

 4年次には保育者か研究者のどちらの道を選ぼうか悩み、父に相談。「若いうちにやりたいことをやった方がいい。留学も行きたいなら行った方がいい」というアドバイスをきっかけに、大学院への進学とスウェーデンへの交換留学を決断しました。目標実現に向けて準備を進めるなか、突然、父が他界。いつも背中を押してくれた、かけがえのない父との別れに目の前が真っ暗になりました。涙をふいて立ち上がることができたのは「留学するという父との約束を果たしたい」との思いです。そして、留学に向けて一歩を踏み出すため、文部科学省の官民協働海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN」にチャレンジ。審査に必要な申請書類の作成や、審査員へのプレゼンテーションの準備に全力を注いだ結果、2020年2月頃に派遣留学生に合格しました。

オンライン留学で学んだ、スウェーデンの先進的な保育。

 保育園のボランティアやアルバイトでの実践活動と、大学院での研究活動をおこなってきた私は、理論と実践の橋渡しとなる専門家になりたいと考えていました。そのため留学ではスウェーデンの保育の中心的な存在であるストックホルム大学で理論を学ぶ傍ら、就学前学校での実践活動にも取り組もうと計画。しかし世界で新型コロナウイルスの感染が拡大。スウェーデンへの渡航が難しくなり、2020年7月から2021年1月にかけてオンライン留学で学ぶことになりました。
 この期間内に実践活動は実現できませんでしたが、授業で就学前学校の先生と対話する機会がありました。そこで学んだことは、スウェーデンの保育理念が現場の先生たちに広く浸透しているということ。大学で学ぶ保育理念が、しっかりと実践に活かされていると感じました。また、授業で学んだスウェーデンの保育には、社会とのつながりを感じることが多くありました。持続可能な開発のための保育など、現代社会に応じた先進的な保育観に日本との違いを強く感じました。

「トビタテ!留学JAPAN」にチャレンジ。スウェーデンの先進的な保育に刺激を受けました。

「トビタテ!留学JAPAN」にチャレンジ。スウェーデンの先進的な保育に刺激を受けました。

保育者と研究者の垣根を超えた存在に。

 現在は大学院の修士課程で日本の保育理念の課題について、歴史的な側面からも考察しています。今後は博士課程に進み、この研究を発展させるとともに、留学での学びを活かしてスウェーデンの保育理念についても研究を深めていきたいと考えています。実践活動にも力を注いで、保育者と研究者の垣根を超えた専門家の在り方を社会に示し、現場が抱える課題解決に役立ちたいと思います。

ストックホルム大学のホームページにインタビューが掲載されました。

 幼児教育について学んだ経験に関するインタビューが、ストックホルム大学のDepartment of Child and Youth Studies(子ども・青年学科)のホームページに掲載されました。

下記URLからご覧いただけます。
Stockholm University【Meet exchange student Nagomi from Japan】>